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2021-07-27
経済成長の速度はきわめて不確実です。このような状況下で、テクノロジーに投資することによって内部プロセスの改善や製品・サービスのポートフォリオの拡充を目指すべきであるという議論は、直観には反しますが説得力があります。とはいえ、単にテクノロジーを購入し、導入するだけでは、優位性は獲得できません。テクノロジーを使って、ビジネスを変革する必要があります。いわば、「コーナーで加速する」のです。
このフレーズは自動車レースに由来します。コーナーに近づいたらドライバーは減速しなければなりません。しかし、コーナーへの入り方によって、その後の展開は全く変わってきます。正しいラインを取り、的確なタイミングでアクセルを踏み込めば、はるかに強い勢いでコーナーを通過することができます。
ビジネスで言えば、不確実性がますます高まる中、今企業がどんな対策を講じるかが、今後何が起きても耐え抜けるかどうかに、大きな影響を及ぼすのです。正しいアプローチを取れば、競合に先んじるための準備を整えられます。そのために企業が取るべきラインは、デジタル化することです。
これまでの成長サイクルでは、企業は低成長期への備えを固めるため、コスト削減と投資の圧縮を行っていました。市場で強い立場にある企業ならば、行き詰まった競合企業の買収資金をかき集めたかもしれません。しかし現在は、その戦略だけでは機能しないでしょう。
現在の環境がこれまでと違うのは、成長の減速と、第4次産業革命(4IR)という大きなディスラプションが同時に発生しているという点です。4IRは、データアナリティクスから人工知能(AI)や機械学習に至るまで、あらゆる種類の新たなテクノロジーを融合します。その結果、企業はこれまでのようにこれらの分野への投資をコストとして扱うのではなく、価値への扉を開く手段と見なさなければならなくなっています。
社内では、4IRのテクノロジーは企業のプロセスや機能を合理化、改善し、効率の向上とコストの低下を実現します。また、新たなソリューションによってデータを活用してインサイトを生み出し、それを基にマネージャーや幹部らがより客観的で事実に基づく決定を下せるようになることで、業績向上につながります。例えば、AIを活用したサプライチェーンテクノロジーに投資すれば、正確な需要予測が可能になるほか、特定のリスクによってサプライチェーンに発生し得る機能不全の程度と範囲を予見することもできるようになります。
一方、デジタルテクノロジーには顧客対応の要素もあり、新たな種類の製品やサービスを中心に据えたビジネスモデルのイノベーションも可能です。例えば、企業が製品よりもクラウドベースのモバイルサービスの提供に力を入れる傾向は強まっています。また、顧客はもはや、ソフトウェアを単に購入するのではなく、SaaS(Software as a Service)としてサブスクリプション方式で利用するようになっています。数十年にわたり同じ方法で自動車を販売し続けてきた自動車メーカーでさえ、ビジネスの方法を見直しています。
大部分の4IRテクノロジーは、進化は急速であるとはいえ、リスクが高いわけではありません。むしろ、幅広い産業ですでに利用されている、市場でのテストを経たソリューションなのです。これらのテクノロジーを獲得することは、不確実性の時代に突入しているほぼ全ての企業にとって、優先事項と言えます。
不確実性の高まりに対してより適切に備えるため、企業はすでに保有しているテクノロジーと、今後獲得するテクノロジーについて検討したうえで、次の3つの取り組みに着手する必要があります。
自動化が可能な業務は全て自動化することを念頭に置き、役割とプロセスを見直す必要があります。自動化のテクノロジーをすでに有しているのであれば、これはすぐに始められるでしょう。そうでないなら、テクノロジーを獲得し次第、すぐに行動できるよう準備しなければなりません。判断や裁量が要求されない機械的・反復的な作業は、アルゴリズムに行わせるべきです。これによって効率性の向上と作業コストの低下を実現する(ボットは休憩を取りません)だけではなく、正確なデータが生成されるため、それを集約して活用することでインサイトを得られるようになります。さらに、効率性の向上により資本に余裕が生まれるため、新規サービスの提供やイノベーションへの投資など、他の分野への再配分が可能になります。
アナリティクスやAI、その他の4IRテクノロジーなどの新たなツールの活用方法について、従業員のトレーニングが必要になるでしょう。こうしたトレーニングを今から始めておけば、テクノロジーの導入後に時間を無駄にすることがなくなります。ただし、これまでのような「研修プログラムを作りさえすれば、受講してもらえる」といったアプローチではなく、より先を見据えた従業員主導型アプローチを取るべきです。
ビジネスリーダーは、トレーニング全体の方向性と目標を設定し、従業員が新たなスキルを習得・活用するための時間とツール、リソースを提供すべきです。これによって、従業員はソリューションを革新、構築、共有、試行しながら、自らのスキル向上の主導権を握ることができるでしょう。ソリューションの開発に直接参加することで、従業員はやる気にあふれ、活発にアイデアを共有するようになるはずです。このような熱意は他の人々の関心を集め、変化は組織全体にすぐに広がっていきます。最終的には、全員の成長が促されるようになるのです。
データを収集、集計、整理、標準化するための適切な能力を構築する必要があります。多くの組織は大量のデータを保有していますが、データが構造化されておらず、かつつながりのない複数のデータベースに保存されているため、データの意味を理解することができていません。重要なのは、データを統合し、日々活用することが可能な明確なインサイトや実行可能な措置へと変換できるようにすることです。
データの処理・管理方法を改善することにより得られる副次的なメリットは、他の企業を買収・統合しやすくなることです。不確実性が続く現在、買い時の企業は数多く存在するでしょう。デジタル化に後れをとった企業はさまざまな問題に見舞われ、買収の対象として魅力的な企業となるからです。
不確実な時代には、手に負えない強大な力に翻弄されているような気分になるかもしれません。しかしまだ、企業は自社の命運を十分にコントロールできるはずです。今すぐデジタルテクノロジーに投資して、組織のデジタル化への準備を進めれば、成長を加速し、より強くなってコーナーを曲がり切ることができるでしょう。
本コンテンツは、「strategy+business」に掲載された「Use technology to accelerate through uncertainty」の編集版を翻訳したものです。
翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
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