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2025年の金融犯罪は一段と拡大しました(図表1)。
特殊詐欺をみると、2025年の被害額は2024年の約2倍の1,414億円に達し、過去最高を更新しました。オレオレ詐欺の被害額が全体の約8割を占め、警察官等をかたり、捜査名目で現金等をだまし取る手口(ニセ警察詐欺)による被害も顕著です。また、SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の被害額は前年比44%増の1,827億円に増加しました。特殊詐欺とSNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の被害額の合計は前年比1.6倍の3,241億円に達しています。犯罪資金の送付はインターネットバンキングを利用するもののほか、暗号資産送信型も目立ちます。
また、インターネットバンキングの口座から資金を詐取、送金するといった、インターネットバンキング不正送金被害額は、前年比約2割増の104億円と、こちらも過去最高を更新しました。法人を狙ったボイスフィッシング(犯人が銀行関係者を装い企業に電話、メールアドレスを聞き出してフィッシングメールを送付、偽サイトへ誘導して情報を騙し取り、不正送金する手口)の被害が発生し、2025年前半に急増、一旦沈静化したものの、2025年後半に再発・増加しました。
これらの犯罪の背後には「匿名・流動型犯罪グループ(SNSを通じて募集する闇バイトなど緩やかな結び付きで離合集散を繰り返す集団)」が存在しており、警察はその摘発を最重点に対策を進めています。
このほか、2025年には証券会社を語るフィッシングメールの送付や証券口座への不正アクセス・取引の被害も発生しました。この事案は、第三者への出金に至った事例はなく、低位株を中心とした国内外の株式を買い付け、犯人サイドが、株価が値上がりしたところで、別に保有していた当該株式を売却して利益を得るという、新たな不正の手口であり、相場操縦のための不正取引といえます。2025年の不正売買額は7千億円を超えました。クレジットカード不正利用被害額は、過去最高を記録した2024年からは減少しましたが、2025年も500億円を超える高水準の被害となっています。
図表1:2025年の主な犯罪種別被害額等
|
2024年 |
2025年 |
増減率 |
特殊詐欺(被害額) |
719億円 |
1,414億円 |
97% |
SNS型投資詐欺・ ロマンス詐欺(被害額) |
1,272億円 |
1,827億円 |
44% |
インターネットバンキング不正送金(被害額) |
87億円 |
104億円 |
20% |
証券口座への不正アクセス(不正売買金額) |
― |
7,408億円 |
― |
クレジットカード不正利用(被害額) |
555億円 |
511億円 |
▲8% |
(出典)警察庁資料などを基にPwC作成
金融機関への対策強化の要求水準も引き上げられました。金融機関は、とくに2つの対策・要請に留意が必要です(図表2)。
まず、2025年4月に犯罪対策閣僚会議で決定された「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」(以下、総合対策2.0)です。金融機関への要請の基本は、入口の予防措置「口座開設の厳格化、注意喚起」、期中管理の「モニタリングや取引制限・停止(不正口座、被害者口座双方への対応)」、出口対応「口座凍結、警察連携、補償・分配」であり、従来から不変な事項ではありますが、迅速な情報提供などの捜査協力、システムのセキュリティ強化がより強く求められる内容になっています。なお、総合対策2.0では、SNS事業者への対策強化(本人確認厳格化、不審サイトの検知・閉鎖)などインフラ提供事業者への要求の詳細化・厳格化も注目すべき点です。
また、2025年9月には警察庁・金融庁から「インターネットバンキングの利⽤を含む⼝座の不正利⽤等防⽌に向けた対策強化に係る要請」が発出されました。当初の2024年8月の要請も、入口、期中、出口の対応を基本としつつ、リアルタイムモニタリングを求めるなど厳しい要請でしたが、今回はさらに「インターネットバンキングに係る対策の強化」「振込名義変更による暗号資産交換業者及び資金移動業者への送金停止等」を追加しています。
図表2:2025年の主な対策・要請
時期 |
対策・要請 |
概要 |
2025年 4月 |
「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」 |
「国民を詐欺から守るための総合対策」(2024年6月)に「いわゆる「闇バイト」による強盗事件等から国民の生命・財産を守るための緊急対策」(2024年12月)を統合する形で改正 |
2025年 9月 |
「インターネットバンキングの利⽤を含む⼝座の不正利⽤等防⽌に向けた対策強化に係る要請」 |
|
(出典)PwC作成
今後は、これら2つの要請に基づく捜査協力の強化、セキュリティ対策強化などを通じた実効性向上が求められます。
まず、警察への不審取引の情報連携に関しては、金融機関がモニタリングを通じて詐欺被害に遭われている可能性が高いと判断した取引・口座に関連する情報を警察に迅速に共有する「情報連携協定書」を随時締結しています。2025年2月末時点で警察庁と主要30行が締結、都道府県警察と多数の地域金融機関の締結も進んでいます。
また、2026年1月には警察庁主催の会議において「金融サービスを悪用したマネー・ローンダリングへの対策に関する報告書」が取りまとめられ、口座譲渡に対する罰則の強化の方向性が打ち出されました。これにより、金融機関において課題とされてきた口座売買に対し、一定の抑止効果が期待されます。さらに、有償で他人に財産を移転させる行為(送金バイト)に対する罰則の創設の方向性が示されたほか、「架空名義口座」を利用した事案に関する新たな捜査の必要性などについても協議結果が公表されています。金融機関は、現場対応も含め、従来以上に踏み込んだ捜査協力が求められる局面にあります。
このほか、金融機関間での情報共有に関しては、全国銀行協会で検討が進められ、協会の子会社にて不正利用口座の情報を共有するシステムが2027年4月にリリースされる予定です。また、近年増加しているサイバーリスクへの対応を強化するため、2026年2月に金融庁の監督指針が改正され、インターネットバンキングに関してフィッシングに耐性のあるセキュリティ対策(認証強化)の実装が求められています。
水が高きから低きに流れるように、犯罪者は対策の甘い金融機関を狙ってきます。金融機関全体での対策の底上げが必要であり、役職員全てが手口、対策を理解して、意識を高く持ち、能動的に対処することが求められます。
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