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昨今、企業を取り巻く経営環境はグローバルスケールで急速な変化を遂げています。このような状況下、企業においてはこれまでの地域・拠点最適から脱却し、グループ全体最適による経営管理体制を構築することが求められます。これを下支えする基盤として、グローバルでの業務やシステムの標準化/高度化が必要となってきます。
そのため、多くの企業が大規模DXプロジェクトを立ち上げ、グループ横断での業務・システムなどの変革に取り組んでいます。しかしながら、変革の各施策が経営課題やプロジェクト目標と十分に紐づけられないまま、プロジェクトが遂行されているケースが散見されます。このような場合、プロジェクトが本番稼働にこぎ着けたとしても、経営課題の解決にまでは至らないのが実情です。
本稿では、大規模DXプロジェクトの現状と課題、そしてPwCコンサルティングが取りまとめている構想策定プレイブックを概説します。
PwC Japanグループが実施した「日本企業のグローバル戦略動向調査 2023-2024」によると、「社内のシステム連携」「業務全体の最適化」「データガバナンス強化」など、グループの全体最適の観点からの課題を、多くの企業がシステム導入を伴うDXプロジェクトによって解決しようと試みています(図表1)。
図表1:システムを導入することで、中長期的に解決したい課題(したかった課題)
しかしながら、そのDXプロジェクトで課題が解消されたとする企業は少数にとどまります。その課題解決が達成されない原因として、「経営ビジョンとの紐づけ不足(21%)」が「人材不足(33%)」、「導入システムの課題(30%)」などと並んで上位に挙げられています(図表2)。
図表2:課題解決が達成されない要因
多大な資金と人的リソースを投入する大規模DX導入プロジェクトですが、経営ビジョンとプロジェクトの目指す姿の紐づけが不十分なまま作業を遂行している場合、全社でのDXを目指すはずが、単なるシステムの置き換えにとどまってしまい、当初の効果が見込めず、壮大なリソースの無駄遣いになってしまいます。
このような状況を踏まえ、PwCコンサルティングではグループ横断大規模DXプロジェクトにおける経営テーマと対応策を、具体例とともに整理したドキュメントパッケージである「構想策定プレイブック」を提供しています。本プレイブックをプロジェクトの構想策定フェーズで活用し、経営ビジョン、プロジェクト目標、具体的施策を一貫性のある形で定義することで、プロジェクトを通じた経営ビジョンの実現を支援します。プレイブックでは、あるべき構想策定の進め方として、経営課題(レベル1)とプロジェクト目標(レベル2)を紐づけた上で、具体的施策(レベル3)を、テンプレート化された具体例を参考にしながら定義します(図表3)。
図表3:あるべき構想策定の進め方
一方で、上記のようにレベル1→2→3の紐づけが十分に整理されないまま、要件定義フェーズ以降を推進する予定、または推進中の場合は、対応策としてリカバリーソリューションを行います。
リカバリーソリューションは、具体的施策(レベル3)からプロジェクト目標(レベル2)、経営課題(レベル1)へとボトムアップでの紐づけを整理するアプローチです(図表4)。
すでに想定されている具体的施策をプロジェクト目標と紐づけ、各施策が目標達成に資する内容となっているかを再点検し、必要に応じて具体的施策を改善します。また、プロジェクト目標に対応する具体的施策が不足している場合は、新たに施策を定義します。
経営ビジョンとプロジェクト目標を紐づけ、具体的施策へと落とし込む際には、自社の現在地を正確に見極め、実行可能性と目指す水準の双方を踏まえた適切な施策レベルを設定することが重要です。
本プレイブックでは、「低」「中」「高」の3段階の難易度に応じて具体的施策を定義します(図表5)。施策の難易度は「業務変更のインパクト」と「システム仕様の複雑性」の2軸で評価し、決定します。これにより、企業の現在地を踏まえた実現可能な水準でありながら、一定の挑戦度を備えた目標設定が可能となり、プロジェクト効果の着実な創出につなげます。
図表4:事業・セグメント別KPI評価例
構想策定プレイブックを活用することで、「トータル期間・コストの抑制」「デリバリー品質の向上」「目指す姿のレベル明確化」の3つの観点から、プロジェクトの成功確度を高めることが可能です(図表6)。新たに発足するプロジェクトはもちろん、すでに進行中のプロジェクトにおいても活用できます。さらに、プロジェクト終了後もプレイブックを参照し、より高度な施策を継続的に定義していくことで、中長期的な経営管理の高度化にも寄与します。
図表5:構想策定プレイブック活用の具体的な効果
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