
中国「個人情報保護コンプライアンス監査管理弁法」の概説 個人情報保護コンプライアンス監査で注意すべき点
2025年5月1日に施行された中国の「個人情報保護コンプライアンス監査管理弁法」およびその別紙「個人情報保護コンプライアンス監査ガイドライン」について解説します。
産官学金が連携した地域共創を実現するため、岡山に移住したPwCコンサルティング専務執行役パートナー・安井正樹。中国銀行(2022年10月3日に株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループを設立し、持株会社体制に移行)が新たに立ち上げたコンサルティング会社「Cキューブ・コンサルティング」を代表取締役としてリードするため、移住するだけではなくPwCコンサルティングの退職を決断した西原立――岡山への郷土愛を共有しながら、それぞれの立場で連携する2人が、地域共創における成功のカギを「岡山モデル」を事例に語り合いました。
地方銀行を中心に地域のプレイヤーを共創に導く「岡山モデル」は、全国の自治体や地方銀行、地域に興味がある大手企業にとって役に立つナレッジがあります。対談の議事進行は、PwCコンサルティングの地域共創推進室事務局長として、自らも地域の課題解決に取り組む井村慎が行いました。
西原氏:
「Cキューブ」という社名には「ちゅうぎんフィナンシャルグループ」「コミュニティ」「コ・クリエーション(共創)」の「3つのC」という意味合いが込められています。弊社では岡山の自治体や企業を中心に、デジタル化や脱炭素化の推進を支援しています。設立からまだ数カ月ですが、企業における脱炭素の戦略や方針の策定をサポートするなど、すでにいくつかの成果事例ができています。
また、自治体も弊社のクライアントとなります。いくつかの自治体では、デジタル化やDX、SX(サステナビリティトランスフォーメーション)の勉強会を実施し、職員全体のレベルを引き上げることで首長と職員との意識のギャップを埋め、実際に変革できる組織作りをご支援しています。
多くの自治体は以前からデジタル化に取り組んでいますが、住民が何を望んでいるか、職場のメンバーの業務フローを具体的にどうすべきなのかを把握できず、現場の細かなところに手が届いていないことも分かってきており、弊社としてサポートしていきたいです。
中国銀行は2022年10月3日付で持株会社体制に代わりましたが、グループ各社でテーマを共有し、ワンストップでサービス提供しようとしています。そのときにCキューブ・コンサルティングがリーダーシップを発揮して引っ張っていけたらと思っています。
安井:
PwCコンサルティングはCキューブ・コンサルティングが中心となって取り組んでいる事業をお手伝いしていますが、PwC単体ではできないコンサルティングの未来像を垣間見ているように思います。
Cキューブ・コンサルティングはクライアントのDXやSXのレベル向上を支援していますが、それだけにとどまりません。例えば、企業規模が小さくて後継者問題があるところには、ちゅうぎんヒューマン・イノベーションとして人材を送り出してハンズオンの支援を行うことができます。フィナンシャルグループとしてエクイティを持つこともできますので、リスクマネーを使った投資もできます。Cキューブ・コンサルティングは、フィナンシャルグループとして融資やアセット利用につなげられるなど、エクゼキューションの幅が広いのです。
Cキューブ・コンサルティングと連携した様々な支援策により、PwCコンサルティング単体や競合他社の大手コンサルティングファームなどではできないような新しいスタイルのコンサルティングが提供でき、地域にインパクトをもたらすことができます。岡山のポテンシャルを最大限発揮させる方程式の中には、Cキューブ・コンサルティングやちゅうぎんフィナンシャルグループとの連携が絶対に必要だと考えています。
西原氏:
人材の話は、組織の変革が短期間で終わらないことにも関わります。Cキューブ・コンサルティングでは、クライアントの変革をなし遂げるために伴走し続けるほか、人材を送り込む、クライアントにおいて変革のドライバーとなる人材を育て上げるなど、人材に関わる総合的な支援を継続的に行っていきたいと考えています。
安井:
Cキューブ・コンサルティングやちゅうぎんフィナンシャルグループ、それらをサポートするPwCコンサルティングとして何をやるべきかについては、岡山の企業が一番求めている売上と収益を引き上げること、また、地域全体でみたときのデジタル投資コストを引き下げることではないでしょうか。
売上や収益の拡大については、例えば越境ECを作ってブランディングをしながら岡山以外に販路を拡大することなどが考えられ、Cキューブ・コンサルティングではハンズオンでの支援が可能です。また、コストについては、事業規模が小さくて単体では投資できない企業を含め、多くの企業を束ねてデジタル化・DXを支援し、1社当たりのコストを抑えることも良いのではないでしょうか。こうした支援により、岡山全体の産業の生産性を上げるべきだと考えています。
自らの経験や知見を踏まえて対談を進める井村
井村:
従来にないビジネスを加速させるため、PwCコンサルティングでは業界をまたいだ組織横断的な取り組み(Cross-Industry & Service Initiative)を行っています。私が所属している地域共創推進室においても組織横断的な取り組みは重要テーマの1つなのですが、どのような思いで始めたのでしょうか。
安井:
業界をまたいだ組織横断的な取り組みは、社内と社外の双方における効果を期待しています。まず社内についてです。業界別の縦割りの組織形態はガバナンス上の効率は良いですが、それだけですと広域のアジェンダが解きづらくなってしまいます。「みんなで頑張って連携しよう」と掛け声をかけるだけでは難しいため、「この領域で連携しよう」と経営的な観点で補助線を引いたものが組織横断的なテーマとなります。
また、社外、つまりクライアントの目線に立つと、業界をまたぐ課題が経営課題の一丁目一番地となっています。社内のサイロ化を防ぎたいという事情とは別に、クライアントにとって重要なアジェンダを組織横断的なテーマとして設定しています。
井村:
組織横断的なテーマの1つとなっている地域共創は、PwCコンサルティングのクライアントにとって重要なアジェンダだと捉えているということですね。最後に岡山の未来について、どのように考えているのか教えてください。
西原氏:
Cキューブ・コンサルティングとしては冒頭に申し上げたとおり、岡山のポテンシャルを最大限引き上げたいと考えています。その先にある姿のヒントとなるのが岡山の西粟倉村です。この村は人口約1400人のうち15パーセントが移住者であり、「日本に住むなら岡山」「日本と言えば岡山」と世界が憧れる故郷とすることに貢献したいです。
安井:
いま地域にあるのは課題ではなく、希望です。私たちは地域で脈打つような心臓になりたいと考えています。ポテンシャルを秘めてはいるが、平均値にとどまっている岡山の経済の地力を上げ、より住みやすく、より明るい街にしたいと思っています。そのために私が取り組みたいのが、岡山における中小企業の生産性向上など、経済的なアプローチからの貢献です。
産官学金の連携は静的なものではないと考えています。岡山のようにキープレイヤーが揃って連携すると、大きなエコシステムとして機能するはずです。そうした大きなエコシステムの中に新しい案件が投げ込まれるたびに、持続的に小さなエコシステムが作られていくイメージです。このように平均的な地域で生み出された「岡山モデル」は全国展開しやすいものであり、別の地域にも展開していきたいと考えています。
井村:
地域共創と言うと、地域の課題を解決するために何かをしてあげるという「For地域」になりがちです。そうではなく「From地域」に変えなければいけません。仕組みやモノなど、何か新しいものを地域において生み出し、全国や海外に持っていくべきだと、PwCコンサルティングの地域共創推進室ではメンバーたちが議論を重ねています。
産官学金が連携した「岡山モデル」がそうしたケースになればと思います。大きなエコシステムの中で柔軟に生まれる小さなエコシステムの話は興味深い話でした。さまざまな人がエコシステム形成の重要性を唱えていますが、実際に具体的な取り組みにつながっているものは少ないように思います。連続的に小さなエコシステムが作られ、持続的にインパクトを出すために、ハブになるのがCキューブ・コンサルティングやちゅうぎんフィナンシャルグループであり、それらをPwCコンサルティングがサポートしているのだと理解しました。
西原氏:
米国のように活力がある国は大きな都市をいくつも抱えており、一極集中ではなく、分散型で発展しています。分散型の地域づくりは、予算をばらまきさえすれば成立するわけではなく、地域自らが立ち上がり、地域「から」実現すべきものです。岡山はそれができるはずであり、希望を持っています。そして、それが日本全体の成長につながると信じています。
安井:
デジタル田園都市構想の方針には、地域に人を呼び込み、人が定着するプロジェクトを作り、地域をサステナブルに成長させるという考えが見られますが、Cキューブ・コンサルティングはこうした点でも好事例となっています。
Cキューブ・コンサルティングで働きたいという人材はすでに東京から集まっています。しかも、大手コンサルティングファームからCキューブ・コンサルティングに転職するため、わざわざ岡山に移住している人材もいます。そして、同社のプロジェクトによって安定的な雇用が生まれ、岡山の課題が次々と解決されようとしています。岡山にとっての勝ちパターンになろうとしているのではないでしょうか。
西原氏:
本気で地域を変えたいと思っている地方銀行や自治体、大手企業の方には、産官学金が連携し、Cキューブ・コンサルティングがビジネス的・社会的に重要な役割を担っている「岡山モデル」について、ぜひ話をさせていただきたいと思っています。実際、すでに複数の地方銀行がちゅうぎんフィナンシャルグループやCキューブ・コンサルティングに強い関心を持ってくださっており、ヒアリングにお越しいただいています。
安井:
この対談では「岡山モデル」の核心についてはまだ十分に話せていませんからね。地方銀行や自治体、大手企業の方には広く門戸を開き、ご相談に乗りたいと思っています。
井村:
実際に地域の現場を見ていただくことも大切ですよね。
対談からは、地域愛に基づき、安井さんや西原さんが移住して地域共創に取り組んでいることが信頼につながり、産官学金の連携や「型化」がスムーズに行われていると感じました。やはり地域共創にとって地域愛は大切です。
PwCコンサルティングの地域共創推進室としては、地域愛に基づき、さまざまな関係者と信頼を構築しながら連携を図り、地域社会全体の利益を実現すべきと考えています。岡山はそうした好例の1つと捉えています。地域共創推進室としては、こうした事例をこれからも次々に生み出し、活力のある地域の実現に貢献していきます。
PwCの地域共創推進室は、地域に寄り添いながら、さまざまな専門人材の組織の枠組みを越えた連携を促進するための横断組織です。地域における共創を実現するためには、地域社会全体にとっての利益を意識し、地域愛を共有しながら、多様なステークホルダーの考え方やリソースを包摂すること、そしてその活動を全体的な観点から最適にファシリテートすることが重要となります。地域共創推進室では専門性の高い知見やスキル、高度な調整力および実行力を活かしながら、地域に関わる当事者の1人として望ましい地域を創っていきたいと考えています。
2025年5月1日に施行された中国の「個人情報保護コンプライアンス監査管理弁法」およびその別紙「個人情報保護コンプライアンス監査ガイドライン」について解説します。
西村あさひ法律事務所・外国法共同事業の石川智也氏と個人情報保護委員会の小川久仁子氏をお招きし、グローバルでの規制動向を踏まえ、日本企業が個人情報を適切に取り扱うためのリスク管理のあり方、求められるプライバシーガバナンスについて伺いました。
PwC IntelligenceとPwC中国のメンバーが、「分断で変わる中国・インド・ASEANと日本企業のビジネスチャンス」をテーマに議論しました。後編では、世界の変化とリスクを踏まえた日本企業のビジネス戦略を考えます。
PwC IntelligenceとPwC中国のメンバーが、「分断で変わる中国・インド・ASEANと日本企業のビジネスチャンス」をテーマに議論しました。前編では、中国・インド・ASEANの最新動向を検証します。