地域には希望がある

地域共創の新たな方程式「岡山モデル」を全国へ(後編)

  • 2023-05-17

産官学金が連携した地域共創を実現するため、岡山に移住したPwCコンサルティング専務執行役パートナー・安井正樹。中国銀行(2022年10月3日に株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループを設立し、持株会社体制に移行)が新たに立ち上げたコンサルティング会社「Cキューブ・コンサルティング」を代表取締役としてリードするため、移住するだけではなくPwCコンサルティングの退職を決断した西原立――岡山への郷土愛を共有しながら、それぞれの立場で連携する2人が、地域共創における成功のカギを「岡山モデル」を事例に語り合いました。

地方銀行を中心に地域のプレイヤーを共創に導く「岡山モデル」は、全国の自治体や地方銀行、地域に興味がある大手企業にとって役に立つナレッジがあります。対談の議事進行は、PwCコンサルティングの地域共創推進室事務局長として、自らも地域の課題解決に取り組む井村慎が行いました。

地方銀行のコンサルティングファームだからこそできる幅広い実行支援

西原氏:
「Cキューブ」という社名には「ちゅうぎんフィナンシャルグループ」「コミュニティ」「コ・クリエーション(共創)」の「3つのC」という意味合いが込められています。弊社では岡山の自治体や企業を中心に、デジタル化や脱炭素化の推進を支援しています。設立からまだ数カ月ですが、企業における脱炭素の戦略や方針の策定をサポートするなど、すでにいくつかの成果事例ができています。

また、自治体も弊社のクライアントとなります。いくつかの自治体では、デジタル化やDX、SX(サステナビリティトランスフォーメーション)の勉強会を実施し、職員全体のレベルを引き上げることで首長と職員との意識のギャップを埋め、実際に変革できる組織作りをご支援しています。

多くの自治体は以前からデジタル化に取り組んでいますが、住民が何を望んでいるか、職場のメンバーの業務フローを具体的にどうすべきなのかを把握できず、現場の細かなところに手が届いていないことも分かってきており、弊社としてサポートしていきたいです。

中国銀行は2022年10月3日付で持株会社体制に代わりましたが、グループ各社でテーマを共有し、ワンストップでサービス提供しようとしています。そのときにCキューブ・コンサルティングがリーダーシップを発揮して引っ張っていけたらと思っています。

安井:
PwCコンサルティングはCキューブ・コンサルティングが中心となって取り組んでいる事業をお手伝いしていますが、PwC単体ではできないコンサルティングの未来像を垣間見ているように思います。

Cキューブ・コンサルティングはクライアントのDXやSXのレベル向上を支援していますが、それだけにとどまりません。例えば、企業規模が小さくて後継者問題があるところには、ちゅうぎんヒューマン・イノベーションとして人材を送り出してハンズオンの支援を行うことができます。フィナンシャルグループとしてエクイティを持つこともできますので、リスクマネーを使った投資もできます。Cキューブ・コンサルティングは、フィナンシャルグループとして融資やアセット利用につなげられるなど、エクゼキューションの幅が広いのです。

Cキューブ・コンサルティングと連携した様々な支援策により、PwCコンサルティング単体や競合他社の大手コンサルティングファームなどではできないような新しいスタイルのコンサルティングが提供でき、地域にインパクトをもたらすことができます。岡山のポテンシャルを最大限発揮させる方程式の中には、Cキューブ・コンサルティングやちゅうぎんフィナンシャルグループとの連携が絶対に必要だと考えています。

西原氏:
人材の話は、組織の変革が短期間で終わらないことにも関わります。Cキューブ・コンサルティングでは、クライアントの変革をなし遂げるために伴走し続けるほか、人材を送り込む、クライアントにおいて変革のドライバーとなる人材を育て上げるなど、人材に関わる総合的な支援を継続的に行っていきたいと考えています。

安井:
Cキューブ・コンサルティングやちゅうぎんフィナンシャルグループ、それらをサポートするPwCコンサルティングとして何をやるべきかについては、岡山の企業が一番求めている売上と収益を引き上げること、また、地域全体でみたときのデジタル投資コストを引き下げることではないでしょうか。

売上や収益の拡大については、例えば越境ECを作ってブランディングをしながら岡山以外に販路を拡大することなどが考えられ、Cキューブ・コンサルティングではハンズオンでの支援が可能です。また、コストについては、事業規模が小さくて単体では投資できない企業を含め、多くの企業を束ねてデジタル化・DXを支援し、1社当たりのコストを抑えることも良いのではないでしょうか。こうした支援により、岡山全体の産業の生産性を上げるべきだと考えています。

自らの経験や知見を踏まえて対談を進める井村

本気で地域を変えたい方に伝えたい「岡山モデル」の核心

安井:
デジタル田園都市構想の方針には、地域に人を呼び込み、人が定着するプロジェクトを作り、地域をサステナブルに成長させるという考えが見られますが、Cキューブ・コンサルティングはこうした点でも好事例となっています。

Cキューブ・コンサルティングで働きたいという人材はすでに東京から集まっています。しかも、大手コンサルティングファームからCキューブ・コンサルティングに転職するため、わざわざ岡山に移住している人材もいます。そして、同社のプロジェクトによって安定的な雇用が生まれ、岡山の課題が次々と解決されようとしています。岡山にとっての勝ちパターンになろうとしているのではないでしょうか。

西原氏:
本気で地域を変えたいと思っている地方銀行や自治体、大手企業の方には、産官学金が連携し、Cキューブ・コンサルティングがビジネス的・社会的に重要な役割を担っている「岡山モデル」について、ぜひ話をさせていただきたいと思っています。実際、すでに複数の地方銀行がちゅうぎんフィナンシャルグループやCキューブ・コンサルティングに強い関心を持ってくださっており、ヒアリングにお越しいただいています。

安井:
この対談では「岡山モデル」の核心についてはまだ十分に話せていませんからね。地方銀行や自治体、大手企業の方には広く門戸を開き、ご相談に乗りたいと思っています。

井村:
実際に地域の現場を見ていただくことも大切ですよね。

対談からは、地域愛に基づき、安井さんや西原さんが移住して地域共創に取り組んでいることが信頼につながり、産官学金の連携や「型化」がスムーズに行われていると感じました。やはり地域共創にとって地域愛は大切です。

PwCコンサルティングの地域共創推進室としては、地域愛に基づき、さまざまな関係者と信頼を構築しながら連携を図り、地域社会全体の利益を実現すべきと考えています。岡山はそうした好例の1つと捉えています。地域共創推進室としては、こうした事例をこれからも次々に生み出し、活力のある地域の実現に貢献していきます。

〈地域共創推進室について〉

PwCの地域共創推進室は、地域に寄り添いながら、さまざまな専門人材の組織の枠組みを越えた連携を促進するための横断組織です。地域における共創を実現するためには、地域社会全体にとっての利益を意識し、地域愛を共有しながら、多様なステークホルダーの考え方やリソースを包摂すること、そしてその活動を全体的な観点から最適にファシリテートすることが重要となります。地域共創推進室では専門性の高い知見やスキル、高度な調整力および実行力を活かしながら、地域に関わる当事者の1人として望ましい地域を創っていきたいと考えています。

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主要メンバー

安井 正樹

代表執行役CEO, PwCコンサルティング合同会社

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井村 慎

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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