地域には希望がある

地域共創の新たな方程式「岡山モデル」を全国へ(前編)

  • 2023-05-17

産官学金が連携した地域共創を実現するため、岡山に移住したPwCコンサルティング専務執行役パートナー・安井正樹。中国銀行(2022年10月3日に株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループを設立し、持株会社体制に移行)が新たに立ち上げたコンサルティング会社「Cキューブ・コンサルティング」を代表取締役としてリードするためPwCコンサルティングを退職し、同じく移住することを決断した西原立氏。岡山への郷土愛を共有しながら、それぞれの立場で連携する2人が、地方銀行を中心に地域のプレイヤーを共創に導く「岡山モデル」を事例に、地域共創のカギについて語り合いました。

今回の対談を通じ、「岡山モデル」には全国の自治体や地方銀行、地域に興味がある大手企業にとって有益なナレッジが次々と浮かび上がってきました。対談の議事進行は、PwCコンサルティングの地域共創推進室事務局長として、自らも地域の課題解決に取り組む井村慎が行いました。

対談風景(右からCキューブ・コンサルティング代表取締役社長・西原立氏、PwCコンサルティング専務執行役パートナー・安井正樹、同社地域共創推進室事務局長・井村慎)

大手企業にとっての岡山の魅力はさまざまな実証実験のフィールド

安井:
岡山で地域共創に取り組んでいる大きな理由は、まず私や西原さんが岡山出身であり、郷土愛があるからです。「岡山をよくしたい」「岡山を持続的に成長させたい」、そのために、自分たちの力が役に立つのではと考えています。実際、岡山には私たちを頼りにしてくれるニーズがあります。

また、マクロ的な観点からの理由もあります。現在、日本のGDPは東京都・大阪府・愛知県・神奈川県を合わせても全体の4割程度であり、実はそれ以外の地域で6割を占めています。また、2100年に日本の人口は半減するという推計があり、人口ベースで考えると、将来的に日本のGDPの6割を占める地方のGDPは半分になります。人口減少のスピードは地方のほうが速く、地方の生産性を劇的に高めなければ、日本のGDPは縮小していく可能性が高いと言えます。一方、PwCコンサルティングがこれまでに培ってきたケイパビリティを活用すれば、岡山において劇的な生産性の向上を実現できると考えています。

また、地域に着目してビジネスを立ち上げ、日本全国や海外で展開したいという大手企業は増えており、一緒に課題解決に取り組みたいというニーズがあることも理由の一つです。地域共創の取り組みはPwCのパーパスである「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」にも適合した取り組みとして推進しています。

西原:
岡山はさまざまな領域で都道府県ランキングでも中庸な順位になることが多いですが、平均的であるがゆえに、どの地域でも岡山での成果を展開しやすいと考えています。岡山における地域共創の取り組みを「型化」すれば、全国展開するための起点となれる可能性が高く、これからの社会に対して、岡山が果たせる役割は大きいと考えています。

PwCコンサルティングに在籍していたときに訪れた全国各地と比較し、故郷を振り返ったときに「もっと岡山のポテンシャルを引き出したい」「同じく郷土愛を持っている安井さんが切り開いた地域共創の道を自分も歩いていきたい」と思いました。移住して地域に寄り添うことが地域共創にとって重要だと考え、PwCコンサルティングを退職し、ちゅうぎんフィナンシャルグループのコンサルティングファームの社長に就任することを決断しました。

安井:
平均的で展開しやすいこと以外に、大手企業の視点に立って岡山の魅力を考えると、岡山には多様な産業が揃っており、さまざまな課題に関して実証実験できるフィールドがあることも特徴の一つです。また、ちゅうぎんフィナンシャルグループをはじめ、大学・行政・病院・メディアなどのキープレイヤーが比較的つながりやすく、オープンイノベーションを行いやすい素地もあります。そのため、大手企業にとって岡山はオープンイノベーションの実証実験を行い、その成果を東京や全国で展開するためのフィールドと言えるでしょう。

郷土愛に根差した地域共創について語る安井

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主要メンバー

安井 正樹

代表執行役CEO, PwCコンサルティング合同会社

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井村 慎

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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