
PwC Japanグループでは、Disability(障害)とは、個人の心身機能の障害と社会的障壁の相互作用によって創出されるものと捉えています。
PwC Japanグループ ダイバーシティ推進リーダー 梅木 典子
Disabilityは、個人の心身の状態によって社会との関わりの中で起きる障壁であり、誰もが経験する可能性があるという点で、他のI&Dの領域と異なります。Disability Inclusionは全ての人に関連する共通のテーマであり、PwCが掲げているPurpose(存在意義)実現のために重要な要素と位置付けて、活動を推進しています。
専門家集団である私たちPwCが課題解決のために社会から求められる専門性は、これまで以上に複雑で高度になっています。どれだけ新しい要素を取り入れて自分を進化させ、組織全体を成長させることができるかが重要です。そのためには、一人ひとりの異なる能力や考え方、違った視点をIncludeし、多様な人材が活躍できるインクルーシブな職場環境が必要不可欠です。
Disability Inclusionが推進されると、周囲のメンバーとの関係性がより強くなり固い絆が生まれます。それぞれがどのような障害を抱えた状況にあるのか、大切にしている価値観は何か、どのような働き方をしているのか、相手にとってベストな伝え方はどのようなものか、相手を理解することから始まります。合理的な配慮によって、同じスタートラインに立つための必要なサポートと調整をし、その人が本来持っている能力を発揮することができるようになります。革新的なソリューションはそのようなインクルーシブな環境から生まれてきます。相互理解が進み、お互いの置かれている状況に合わせたコミュニケーションがとれる、メンバー同士の絆が強い組織は、多様な人材が生き生きと活躍して、社会の変化に柔軟に対応しながら成長し続けることができるのです。
Human Capital(人事)リーダー/Partner 福井 泰光
「心身の違いにより、ある人は機会やリソースにアクセスでき、ある人はできない」。そのようなことが職場で起こることなく、誰もが活躍できる環境づくりを目指していくこと、これがDisability Inclusion推進の目指す方向性だと思っています。
推進していく上でまず大事なのは対話だと思います。一人ひとりが対話を通じて、個々の違いに気づき、Disability(障害)がどこにあるのか、どのようなサポートが必要なのかを知ることができます。それに自然と気づくような人が多く集う職場、カルチャーを目指していきたいと思っています。
「苦手なこと、できないこと」がある場合、それはその人の能力によるものだけではないこともあります。苦手なことに対して、個人が努力することはもちろん必要ですが、能力発揮を妨げるのは環境におけるDisabilityが原因であることもあり、それは世の中の多数派が少数派の事情を理解せずにつくった環境に起因していることを理解する必要があります。うまくできない原因はどこにあるのかについて対話を通じて少数派のレンズで見てみるとさまざまな発見があるはずです。本人の能力だけの問題とはせず、対話を通じてDisabilityを発見し一緒に解決していくことが重要です。したがって、私はマネジメント層のリテラシー向上が必要不可欠であると思っています。マネジメント層が社会の構造を理解し、Disability Inclusionにコミットし、具体的にアクションを取っていけるような仕組みづくりを考えていきたいと思います。
「自分の障害が原因で今までできないと思っていたことが、環境を変えただけでできるようになる」。Disability Inclusionを推進することで、このような変化が起こることに期待をしています。一つ事例をお伝えすると、私がリードするOffice Support Team(OST)には個人の特性で対面でのコミュニケーションが苦手な人、人混みのなかを出勤するだけで疲弊してしまう人、車いすの人などさまざまな方が在籍しています。リモートワークを始め柔軟なワークスタイル(働き方)を導入したことで、環境上のDisabilityが解消されて本来の能力を発揮しやすくなった方がたくさんいます。ともに働く仲間の能力をどうしたら引き出せるか、解消するべき環境上のDisabilityがないか、そういった視点を全員が自然に持てるカルチャーを目指していきたいと思っています。
社会の障壁を取り除き、インクルーシブな環境と文化を育てていきます。障害を経験している人々をインクルードし、一人ひとりが自信を持って力を発揮できるように必要なサポートと適切な調整を行っていきます。これをVisionに掲げ、社会のスタンダードを進化させていきます。
6つの注力領域
見える見えないに関わらず、脳の多様性も含め、障害がある人々の活躍を増やしていきます。また、あらゆるレベルで目に見えるロールモデルを増やします。障害がある人々がもたらす独自のスキルが活用され、真に評価されるように、各国や地域と協力しながら、採用、人材育成、リテンションなどのアプローチを見直し、強化をサポートします。
障がい者がそれぞれの特性を活かして活躍できる環境を構築しています。
PwC Japanグループでは、2016年に、グループ内各法人におけるさまざまな業務を請け負い、サービスを提供する社内におけるアウトソーシング組織として「Office Support Team(OST)」を立ち上げました。OSTには、発達障がい、精神障がい、身体障がいなど、さまざまな障がいのあるスタッフが在籍しています。現在、OSTが請け負っている業務は約170種にのぼり、翻訳、広報など、専門性を持った業務から、採用のエントリーサポートなど多岐にわたります。個々の抱えている障がいの特徴や、本人のスキルなどを踏まえて、業務マッチングがなされ、一人一人が強みを生かして活躍しています。
障がいのあるスタッフが持っている力を最大限発揮できるよう、以下のような取り組みを重点的に支援していきます。
*1:障がいを抱えた人たちの社会参画を促進したいと思う全てのPwC Japanメンバーが参加できる有志のネットワーク。主に障がいの理解を深めるためのセミナー、障がい者の活躍を広げるためのイベントを実施しています。
パラスポーツと仕事、両方に関われる機会と場を作り、段階的で長期的なキャリア形成に繋げるプログラムを推進しています。また、Challenged Athleteの特徴を活かした独自の価値を生み出し、社内外で活躍する機会を作っています。