足元の中国では、外資企業の投資など対内直接投資が急速に減少トレンドを辿っており、今後の動向が注目されている。2024年4-6月期の対内直接投資(ネット)は-148億米ドルとなり、2023年7-9月期(-120億米ドル)に続いて二度目のマイナス転落となり、流出超過額は過去最大となった。暦年ベースでみても、2023年は427億米ドルと前年比-77.5%となり低水準で着地したほか、2024年上半期(1-6月)には-46億米ドルとマイナスを余儀なくされており、2024年通年でも、1980年代の改革開放路線の下で外資誘致を推進してきて以来、初めて流出超になる可能性も指摘されている。
足元の中国経済が長引く不動産不況や雇用不安などから厳しい状況にあるうえ、欧米諸国との貿易摩擦にも直面しており、先行き不安が払拭されないなか、外資企業の中国離れが進展している様子もうかがえる。中国が標榜する「中国式現代化」の実現を見据えつつ安定的かつ相応の水準で経済成長を続けるためには、質を伴った対内直接投資を受け入れる必要があろうが、政府当局の対内直接投資に対するスタンス次第とも考えられ、今後の動向が注目される。以下では、中国の対内直接投資を取り巻く足元の状況や背景を踏まえつつ、今後の方向性などについて筆者の見解を述べていく。
中国では1980年代に改革開放政策が打ち出されて以降、海外諸国から流入してきた対内直接投資が経済成長の原動力となってきた。これまで外資による投資を積極的に受け入れてきたことを通じて、「世界の工場」としてのプレゼンスを確立した。ただし、図表1でみるとおり、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けた2022年以降は減少トレンドが顕在化しており、2024年4-6月期の対内直接投資(ネット)は-148億米ドルとマイナス転落を余儀なくされた。2023年7-9月期(-120億米ドル)に続いて二度目の水面下への転落であり、マイナス額は過去最大となった。このように中国の対内直接投資が大幅な減少基調を辿っている詳細については後述するが、中国経済が足元で減速傾向を強めており先行き不安が払拭されないうえ、近年は米中対立の激化などに伴い、外資企業の中国離れが進展している様子がうかがえる。
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