PwC Intelligence ―― Monthly Economist Report

全人代後の中国経済の行方-「政府活動報告」からみる「5%成長」の実現可能性(2024年3月)

  • 2024-03-25

中国では2024年3月5日~3月11日の7日間、第14期全国人民代表大会第2回会議(以下、全人代)が開催された。中国経済が厳しい環境に直面しているなか、大規模な景気刺激策や不動産不況の克服に向けた抜本的な具体策が期待されていたが、李強首相による「政府活動報告」で示された経済成長率や物価など主要項目の目標は前年からの据え置きが多く、総じて目新しさに乏しいものであった。政府当局としては、まずは目先の経済安定を維持するため、積極的な財政政策と穏健な金融政策の下で景気動向を睨みつつ政策運営を進め、状況に応じて柔軟な対応を重ねていく方向にあるとみられる。

また、「政府活動報告」の各項目を個別にみると、超長期特別国債の発行のほか、外資企業に対する投資誘致に向けた動きなど、2024年の経済運営に止まらず、中長期的な目線を踏まえた政府当局の政策スタンスもうかがえる。以下では、「政府活動報告」で示された主要なポイントを踏まえつつ、2024年の中国経済の展望について筆者の見解を述べていく。

前年からの据え置きが多い政府の主要目標―2024年も実質GDP成長率5%前後を目指す方針

李強首相による「政府活動報告」で示された政府の主要目標のなかで、最も注目されていた2024年の実質GDP成長率の目標は前年と同様、「5.0%前後」とされた(図表1)。2023年は5.2%の経済成長を実現し目標を達成したが、これは新型コロナ流行の影響を受けて低水準の伸びであった2022年(同+3.0%)からのベース効果によって押し上げられたところも大きい。2022年と2023年の平均の経済成長率は4.1%となっており、ここ数年経済成長のペースは鈍化基調を辿っている。


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執筆者

薗田 直孝

シニアエコノミスト, PwCコンサルティング合同会社

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