日本の四半期別GDP(2023年10-12月期、2次速報値)が公表された。結果は1次速報の前期比年率-0.4%の実質成長率が同+0.4%へと上方修正された。10-12月期の法人企業統計の結果を受けた設備投資の上方修正が主因である。もっとも、民間消費や政府支出は下方修正となっており、内容は良くない。消費については財に加え、サービスについても価格上昇が進む中で拡大がピークアウトしてきている。今回のプラス改定でも7-9月期の落ち込み(前期比マイナス0.8%)をクリアできておらず、足元の景気は停滞しているとみるべきだろう。
1月以降も設備投資の回復が持続的するか、が注目される。1月の機械受注統計は、船舶・電力を除く民需(コア民需)は-1.7%となり、前月(12月)も下方修正された。内閣府は基調判断を「足元は弱含んでいる」へと下方修正した。GDPの実質消費は、3四半期連続で前の期よりも減少した。1月の家計調査における消費は、名目で前月比-1.2%(前月:同-0.7%)、実質で同-2.1%(前月:同-0.5%)となり、前月よりも減少幅が拡大した。また、需要の弱さが価格の押し下げ要因となっていることが確認できる。2月の商業動態統計では、名目の小売業販売額では前月比・前年比ともに伸びが加速した。また、実質化した小売業販売額は2024年に入り、やや横ばいでの動きとなっている。もっとも商業販売は供給側からみており、海外からの観光客向けの販売額も含んでいることには留意が必要であろう。一方、家計調査は国内消費者の需要側からみており、国内消費の弱さが窺える。1月の景気動向指数における一致指数は110.2となった。前月(12月)から-5.8と大幅な落ち込みとなり、COVID-19下の2020年5月以来の大幅減少となった。生産や出荷が大きく押し下げた。基調判断は、「足踏みをしている」に下方修正された。2月以降の指標によっては、「下方への局面変化」へとさらに下方修正される可能性がある。2月の鉱工業生産では、生産が前月比-0.1%、出荷が同-0.4%とそれぞれ2か月連続の減少となった。3月の予測指数を踏まえると、2024年1-3月期の生産は前期比-5%を超える減少となる。同期の実質GDPは再び減少に転じる公算が大きい。2月の貿易統計では、輸出金額は前年比+7.8%となり、3か月連続で増加した。輸送用機器、一般機械、電気機器が押し上げた。輸出数量は前年比-1.5%となり3か月ぶりに減少に転じた。また、輸入金額が前年比+0.5%となり、11か月ぶりに増加した。衣類・同付属品や一般機械等幅広い分野で増加がみられた。
物価面をみると、2月の企業物価指数では、国内企業物価指数が前年比+0.6%となった。2022年終盤から横ばいでの推移となっている。2月の全国消費者物価は、総合で前年比+2.8%(前月+2.2%)、生鮮除く総合で同+2.8%(同+2.0%)となり、前月より伸びを強めた。これは、再エネ賦課金による電気料金の値上げの影響に加えて、政府のエネルギー負担軽減策の縮小による。2月の食料(酒類除く)及びエネルギー除く総合で同+2.5%(同+2.6%)となり、上昇幅は縮小している。
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