2023年も早くも12月に入った。日本の2023年7-9月期のGDP(1次速報値)は実質-0.5%(年率-2.1%)となり、3四半期ぶりに減少に転じた。海外経済は減速懸念が強いとされながらも、輸出がGDPを押し上げている一方、民間需要は2年半ぶりに前年から減少に転じた。今年度の日本経済は、5月のCOVID-19の5類への移行に伴う経済活動の回復を予想していた。実際、サービス消費は堅調であるものの、財や非耐久財といったそれ以外の消費の落ち込みが大きい。9月の家計調査の実質消費は、前月比+0.3%(前月+3.9%)と勢いが減速した。また、贅沢品の価格は2022年4月以降プラスとなり、伸びを強めていた。しかし、2023年9月にはこれまでの状況とは異なり+3.8%と伸びが減速した。また、この消費の弱さを反映して、好調な企業収益や強気な設備投資計画に対して、実際の設備投資の動きは2四半期連続で前期比減少となっている。機械受注統計のコア受注(船舶・電力を除く民需)も、4-6月期・7-9月期の2四半期連続で減少となった。9月の機械受注統計で示された10-12月期のコア受注の見通しは前期比+0.5%と微増となった。製造業の減少が見込まれるものの、非製造業主導で増加が見込まれている。9月の景気動向指数では一致指数で緩やかな改善が続いているものの、改善度合いは鈍化している。輸出数量の増加が改善の多くを占め、出荷指数、商業販売額は押し下げ要因となった。
10月の経済指標をみると、貿易統計では輸出金額は輸送用機械を中心に増加しているものの、輸出数量は2か月ぶりに減少に転じた。10月の鉱工業生産は、生産が前月比+1.0%となり、輸送用機械に加えて半導体関連でも増加した。出荷・在庫とも増加した。在庫率は微増となり、先月大きく減少した半導体・電子部品デバイスが再び増加した。一進一退の動きが継続している。10月の商業動態統計では、小売業販売額が前月比-1.6%と4か月ぶりに減少した。7月から9月にかけて猛暑効果もあり小売業販売額は増加したが、10月は一転して減少している。今後減少傾向が続くかどうかが注目だろう。10月の一般職業紹介・労働力調査は、有効求人倍率がやや改善し、労働力人口・就業者数は増加、失業者数は減少し、労働市場が逼迫した状態が継続している。景気の先行指標である求人数は、わずかながら減少している。物価面では、10月の全国消費者物価は、総合で前年比+3.3%(前月+3.0%)、生鮮除く総合で同+2.9%(同+2.8%)、食料(酒類除く)及びエネルギー除く総合で同+2.7%(同+2.6%)となり、前月より伸びを強めた。これは、10月より政府のエネルギー負担軽減策(「電気・ガス価格激変緩和対策事業」)による物価押し下げ幅が半減したことによる。基調的な動きには大きな変化はない。また、10月の企業物価指数では、国内企業物価指数が前年比+0.8%となった。その他工業品、電子・都市ガス・水道が伸びたが、石油・石炭製品、農林水産物が押し下げ要因となり、2021年3月の同+1.0%以来の小幅な増加となった。同物価は、2020年度にCOVID‐19で下落し、2022年度には前年比2桁の増加となった後、プラス幅を縮小している。国内経済は、民間需要が軟調な動きとなっている。消費者物価は政策効果の剥落もあり伸びを強めている一方、企業物価は増加に落ち着きがみられる。物価は海外要因による押し上げの継続か、民間需要の弱さによる押し下げ圧力拡大かを注視すべきであろう。
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