PwC Intelligence ―― Monthly Economist Report

2023年の中国経済展望-第1四半期の経済指標を踏まえた今後の展望(2023年4月)

  • 2023-04-26

中国国家統計局が発表した2023年第1四半期(1-3月)の実質GDP成長率は前年同期比+4.5%となった。足元では昨年12月以降のゼロコロナ政策解除に伴いリベンジ消費はじめ個人消費を牽引役とする経済回復を期待する声が多く聞かれていた中、大方の市場予想(同+4.0%内外)を上回る水準で着地した。

世界第2位の経済大国として動向が注目される中国経済は、2023年にまずまずの滑り出しでスタートしたとも言え、すでに市場の一部からは経済成長の先行きに対する期待感も窺える。但し、結論を先取りすると、中国国内では不動産ほか固定資産投資の復調の足取りは重い上、欧米景気の先行き不透明感が増す中で外需を取り巻く環境も楽観視し難い。こうした状況下、消費、投資および外需においていかに持続性が担保されるかが注目され、足元で実感される回復トレンドを維持しつつ、今後いかに経済成長を持続していくのか慎重に見極めていく必要があると考えている。以下では、今般公表された2023年第1四半期の主要統計を踏まえつつ、中国経済の現状および2023年を通じた今後の展望について筆者の見解を述べていく。

消費の伸びに牽引されたGDP成長率

まずGDP統計を確認しておこう。図表1で実質GDP成長率の各項目の寄与度をみると、2023年第1四半期(1-3月)の実質GDP成長率前年同期比+4.5%のうち最終消費が3.0%ポイントを占めており、経済成長の力強い牽引役となった。詳細は後述するが、昨年末以降のゼロコロナ政策解除に伴う経済活動の正常化を背景として、外食のほか、アパレルや化粧品といった生活関連の個人消費が大幅に伸長した結果、GDP成長に大きく貢献した。財政出動を背景とした総資本形成や純輸出の伸びに過度に依存することなく、最終消費を牽引役として市場予想を超える経済成長を実現したことから、2023年通年の中国経済を見通す上で幸先の良いスタートを切ったと言えよう。


続きはPDF版をご覧ください。

レポート全文(図版あり)はこちら

( PDF 794.31KB )

執筆者

薗田 直孝

シニアエコノミスト, PwCコンサルティング合同会社

Email

PwC Intelligence
――統合知を提供するシンクタンク

PwC Intelligenceはビジネス環境の短期、そして中長期変化を捉え、クライアント企業が未来を見通すための羅針盤となるシンクタンクです。

PwC米国の「PwC Intelligence」をはじめ、PwCグローバルネットワークにおける他の情報機関・組織と連携しながら、日本国内において知の統合化を推進しています。

詳細はこちら

本ページに関するお問い合わせ