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4Dプリンティングはその名のとおり、3Dプリンティングに「時間経過による変化」という追加の次元をもたらす。「4Dプリンティングは積層造形における次世代技術であり、無生物に生物のような環境刺激への反応能力を与えることで、その柔軟性をさらに高める」と、PwC米国法人 グローバルAI・イノベーションテクノロジーリーダーのScott Likensは述べている。
4Dプリンティングは、柔軟なポリマー(例えば、セルロースを含浸させたハイドロゲル)を、製造工程において本来は硬い構造物に埋め込むことで機能する。これらの柔軟な部分は、水に浸したドライフラワーが再び「開花」するのと同じように活性化する。
4Dプリントされた物体は、プリンタから取り出した直後から、移動、変形、さらには自己組織化が可能となる。それには熱、光、水といった単純な外部刺激を与えるだけで十分で、モーターなどの追加部品は必要ない。開発中の4Dプリンタの多くは既存の3Dプリンタを利用しているが、メタマテリアル(自然界に存在する物質には通常見られない、特殊な特性を持つ合成材料)といった、より革新的な技術を活用したものもある。つまり、潜在的なユースケースが非常に豊富であるということが示唆される。
4Dプリンティングは、革新的な新製品の開発を可能にするだけではない。この技術を効果的にスケールアップできれば、企業は3Dプリンティングによる製造・サプライチェーンの革新と、自己組立型の流通モデルによる経済効率を融合させることが可能になる。場合によっては、製品の自動的な組み立てを実現できる可能性もある。
「最も基本的な形態では、平らな板を消費者に配送し、ヘアドライヤーを当てるだけで複雑な家具に変身させることができるだろう。さらに、このコンセプトは、送電塔、タービンブレードiv、緊急時のシェルターといった大型の物体にも応用できる可能性がある」とLikensは述べている。「これらのアプリケーションは、スマートシティやコグニティブビルディングと密接に連携する。4Dプリンティングによって形成された物体は、設計上の固有の特性として、自動的にその役割を果たす。電力供給を必要とせず、交換すべき可動部品がないため、メンテナンスコストが大幅に削減されることになる。これは新たな産業革命につながる重要な推進力となるだろう」。
このテクノロジーは製造業のイノベーションの最前線にある。航空宇宙・防衛、都市・インフラ、重工業・エンジニアリング、建設、産業機械、運輸・物流などの業界のCOO、CTO、CSO、CIO、CRO、主任エンジニア/研究開発リーダーなどのリーダーは、4Dプリンティング技術が自社のビジネスにどのような影響を与えるかを検討する必要がある。
4Dプリンティングが組織に応用できそうな場合、Likensは、ワーキンググループを設置してこのトピックを徹底的に調査し、4Dプリンティングが製品の設計、製造、流通の領域で自社のビジネスに与えうる影響を特定することを推奨している。「潜在的な応用がバリューチェーン全体に影響を及ぼす可能性に留意すべきだ。その影響を評価する際には、エコシステム全体を考慮することに価値がある」とLikensは述べている。社内で、あるいは他の組織と連携してR&Dに投資することで、先行者利益を獲得し、新たな収益源を開拓できる可能性が生まれる。
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