将来財務へのインパクト可視化支援:Sustainability Value Visualizer

サステナビリティに関する企業活動の将来財務へのインパクトとその経路を、PwC保有のESGデータセットにより可視化することで、戦略から経営管理、社外コミュニケーションまで支援します。

Sustainability Value Visualizerとは

PwC Japanグループが独自に開発した、サステナビリティ経営における企業活動のインパクトを可視化するサービスであり、2つのインパクトを対象としています。

A 企業活動が自社の将来財務に与えるインパクト(将来財務インパクト)
B 企業活動が自然資本/社会・関係資本(環境/社会)に与えるインパクト(環境・社会インパクト)

このページでは、Aをご紹介します。Bはこちらから。

サステナビリティに関する企業活動と将来財務をつなぐPwCのアプローチ

サステナビリティ経営を実践していくためには、非財務情報開示の流れを受けたコンプライアンス対応に留まらず、サステナビリティ経営の本質的な意義に立ち返り、将来的な財務価値の創出による競争優位の向上に向き合う必要があります。昨今、将来財務へのインパクトの可視化の重要性とニーズが高まり、多くの企業がさまざまなアプローチを試みていますが、未だ有効なアプローチは確立されていないのが現状です。

過去データを使った統計的手法により企業価値を予測するアプローチが有用なケースもありますが、サステナビリティを取り巻く環境が刻々と変化する中では、不確実性の高い将来に向けて、企業活動が自社の将来財務にインパクトを与える経路「インパクトパス」※1を可視化し、未来志向、長期志向のサステナビリティ経営を進めるための具体的なアクションと利益や機会損失との因果関係を説明する仮説検証のアプローチが有効です。

PwCがこのアプローチをとる背景として、2018年に非公開でサステナビリティ先進企業22社を対象に行った非財務情報管理に関する調査があります。この調査の結果、欧米のサステナビリティ先進企業は、単に形式的に非財務指標を設定しているのではなく、測定している非財務指標がどのように将来財務価値向上につながっているのか明確に理解した上で計測・価値評価していることが判明しています。これは、2013年にIIRC(International Integrated Reporting Council:国際統合報告評議会)が発表した「統合報告フレームワーク」の中で提示された「統合思考」という考え方と合致します。

「統合思考」は、長期的視点に立ち、経済活動の前提としての社会があり、さらに社会が成り立つ前提として環境があると考え、その上でどう経済活動を行い、企業価値を創造するかという点を意識して作られています。すなわち、環境価値・社会価値を毀損すれば経済価値も損なわれ、向上すれば経済価値も高まるという関係性にあります。ただ、環境価値・社会価値の増減が経済価値の増減に及ぼす影響は見えにくく、容易に把握することができません。

企業はこの統合思考フレームワークの解像度を高め、さまざまな経営課題に対応できるようにする必要があります。PwC Japanグループでは、サステナビリティ経営における企業活動の財務インパクトの経路を可視化することで、長期目線での企業価値向上を支援するサービスSustainability Value Visualizerを開発しました。

本サービスは、企業活動と将来財務を結び付ける7つの「未来の稼ぐ力」※2という考え方を用いながら、企業活動が自社の将来財務に与える経路(インパクトパス)と影響(財務インパクト)を可視化することを可能にしています。

さらに、将来財務へのつながりを可視化するのみでなく、インパクトパス上で定量化可能なものについては指標化し、インパクトパス上における指標の相関関係を検証します。

これらインパクトパス、指標、データによって相関関係を明らかにしながら将来財務への経路を可視化しつつ、インパクトの大きい活動については、自社の将来財務に与える潜在的な影響額(財務インパクト)を試算します。

本サービスにより、例えば以下のような問いへの対応が可能になります。

  • 従来の経営戦略とサステナビリティ戦略を統合するにはどうすれば良いか?
  • 経営資源を集中させるべき環境・社会価値は何か、すなわち、将来財務に結びつく環境・社会価値は何か?
  • 将来財務を生み出す環境・社会価値を創出するために、どのような資本を強化する必要があるのか?
  • サステナビリティをめぐる将来財務へのリスク・機会として何があり得るのか?資本の正の循環を生み出すには、どういった指標で管理・モニタリングすべきなのか?
  • 将来財務につながるアクションを取れているか、つながらないアクションを取っていないか?
  • サステナビリティの戦略やアクションを社外へ発信し、企業価値向上につなげるには、どうすべきなのか? 

Sustainability Value Visualizer の活用方法

本サービスにより、サステナビリティ経営の実現に向けて以下の支援を行います。非財務情報に関して、ステークホルダーの要請を起点とした受動的な対応を回避し、主体的な「統合思考型サステナビリティ経営管理」を可能にします。

Sustainability Value Visualizerの有効性を支える価値の根幹は、「資本別ベースフォーマット」として、インパクトパスのひな型を整備している点にあります。サステナビリティの戦略・活動が、環境・社会価値を高め、未来の稼ぐ力を強化し、最終的に将来財務へつながるインパクトパスを、主要な非財務資本別に汎用的・網羅的に描いています。各社のインパクトパス作成においては、「資本別ベースフォーマット」を活用することで、品質の担保および効率的な初期検討が可能になります。その上で各社の実態に沿ったカスタマイズをすることができます。

① 戦略立案への活用

  • 経営資源を集中させるべき環境・社会価値は何か?すなわち、将来財務に結びつく環境・社会価値を明らかにする(マテリアリティと中長期戦略の融合)
  • 将来財務を生み出す「価値創出」を強化するために、どのような「資本」を強化する必要があるのか、を明らかにする(価値創造プロセスの精緻化)

② 施策の検討・検証への活用

  • 新規の施策:施策が将来財務に及ぼす影響の可視化と試算を行うことで、施策の効果(利益増/機会損失減)を明らかにし、投資のGo/No Goの判断のインプットとする
  • 既存の施策:施策が将来財務へのインパクトパスがつながっているか、アクションの洗い出し/抜け漏れの確認ができる

③ 経営管理(KPI・データ)への活用

  • インパクトパスおよび指標間の相関検証に基づくKPI設定により、将来財務につながる納得感のある指標の設定ができる
  • 一部指標については、 PwC保有のESGデータセットを活用した他社比較も可能となり、自社の立ち位置を明確にし、戦略・計画のPDCAにも活用できる

各種非財務情報開示基準をもとにモデリングされたPwC保有のESGデータセットと、各社保有のデータを組み合わせることで、データドリブンなサステナビリティ経営管理が可能になります。企業活動が将来財務に与える経路であるインパクトパスを可視化するだけでなく、インパクトパスに基づき設定したKPI間の相関関係を定量的なデータで検証することができます。

  • PwC保有のESGデータセット:統合報告フレームワークであるIIRCが定義する6つの資本を基軸とし、各種非財務情報開示基準(WEF、GRI、ESRS等)よりデータ項目を抽出・データセット化した「PwC独自のESGデータセット」を構築しました。本データセットは、上場企業を中心に、過去10年以上にわたる1,000以上の項目からなる各社の開示データや、アンケート調査結果などから構成されています。
  • インパクトパスの仮説検証:自社内データ、PwC保有のESGデータセットをインパクトパスに基づき設定したKPIへとマッピングすることで、自社のサステナビリティの取り組みの状況を可視化できます。KPI間の相関関係を算出することにより、インパクトパスが存在するか(相関関係の有無)、どのインパクトパスが有効に作用しているか(相関係数の大きさ)を確認し、将来財務へとつながるアクションが実行できているかを検証することができます。

④ 開示・コミュニケーションへの活用

  • 戦略からアクションの実行まで、サステナビリティの取り組みの理由や効果を社内外ステークホルダーに説明することが可能となり、企業価値向上につながる質の高い開示・コミュニケーションができる
  • マテリアリティ特定において、Sustainability Value Visualizerの「環境・社会インパクト」可視化サービスと併せて検討することによって、CSRDが求めるダブルマテリアリティ※3にも対応できる

※1:インパクトパス:PwCが独自に設定した、企業活動のサステナブル化(未来志向、長期志向に立って企業活動を変革していくこと)が環境・社会や自社の将来財務にインパクトを与える経路。

※2:未来の稼ぐ力:IIRCにおける6つの資本の考えに基づいて、企業活動のサステナブル化と将来財務価値をつなぐサステナビリティ経営に必要となる力(オペレーション力、イノベーション力、人材活用力、原材料調達力、顧客ニーズ適合力、規制・社会要請適合力、資金調達力)。

※3:ダブルマテリアリティ:サステナビリティ経営における重要課題を、環境・社会が企業与える財務的な影響(財務マテリアリティ)と、企業活動が環境・社会に与える影響(インパクト・マテリアリティ)という二軸に基づき特定する手法。CSRDに基づいて報告しなければならない報告主体は、ダブルマテリアリティに基づく評価が義務づけられている。

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主要メンバー

磯貝 友紀

パートナー, PwCサステナビリティ合同会社

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林 素明

パートナー, PwCサステナビリティ合同会社

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齋藤 隆弘

パートナー, PwCサステナビリティ合同会社

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屋敷 信彦

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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服部 真

Strategy& Leader, PwCコンサルティング合同会社

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三善 心平

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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