ガバナンス・リスク管理・コンプライアンス(GRC)ツール導入支援

成功を収めている組織の多くは、強固なビジネス戦略を支える重要な三本柱であるガバナンス、リスク管理、コンプライアンス(GRC)をどのように確立するかに注意を払っています。これら3つの要素が一体となることで、業務の円滑な運営、事業の継続性、法的・倫理的基準の遵守が保証されます。PwCは、GRCツール、GRCソフトウェア、GRCプラットフォームと呼ばれる最先端のデジタルツール(以下、「GRCツール」)の活用を支援し、その効果を最大限引き出すためのサービスを提供しています。

GRCツールの理解

GRCツールとは、ガバナンス、リスク、コンプライアンスに係る活動を強化するために特別に設計されたITツールやソフトウェアを包括的に指す言葉です。そしてその核心は、組織のガバナンス、リスク管理、コンプライアンス機能を有機的に統合させ、組織の運営を円滑に回転させるデジタルピボットとして機能することです。

ビジネスの3本柱としてのGRC

GRCツールは、具体的には以下の実現に寄与します。

ガバナンス:
ガバナンスは組織の軌道と日常的な機能を正しい方向へと導く方針と目標の枠組みを構築するにあたって、重要な要素となります。また、全ての業務が設定された道筋と確実に整合するように、必要な監督メカニズムを整理・整備・運用することが求められる領域となります。

リスク管理:
今日の企業には、リスクを迅速に特定し、徹底的に分析し、慎重に対処し、常に監視することが求められています。GRCのリスク管理要素は、組織がこれらのリスクをうまく切り抜けるための弾力性と適応性を備えていることを保証する、重要な領域となります。

コンプライアンス:
コンプライアンスは、倫理的および法的機能の基礎となります。特にキャンセルカルチャーの傾向が強まっている今日においては、レピュテーションによるハザード回避とも密接に関係しており、全ての事業活動を支え、適用される法律、規制、倫理規範との整合性を確保することが求められる領域です。

GRCツールで実現できること

GRCツールは統合プラットフォーム型、総合機能型を念頭に、以下の事象の実現に貢献します。

ガバナンス構造とポリシーの可視化:
ガバナンス構造とポリシーを可視化し、組織のあらゆるレベルでの理解と関与を促進します。

情報の一元管理:
あらゆるリスクとそれに対応する統制を一元的に管理・監視し、効果的な連携とコミュニケーションを可能にします。

評価の自動化:
リスクと統制の評価を自動化することで手作業を減らし、ヒューマンエラーを軽減し、プロセスを迅速化します。

コンプライアンスチェックリストと教育プログラム:
組織全体におけるルールの理解と遵守を確実にするために、最新のコンプライアンスチェックリストとオーダーメイドの教育プログラムを提供します。

監査レポートの作成:
意思決定と戦略的計画を支援するため、構造化されたリスクと監査レポートを提供します。

図1 ガバナンス・リスク管理・コンプライアンス(GRC)ツール導入支援

GRCツール導入のメリット

GRCツールの導入は、ガバナンス、リスク管理、コンプライアンスへのアプローチに変革をもたらし、組織に大きなメリットをもたらします。

1. GRC情報の共有改善
GRCツールは、組織全体でリスクとコンプライアンスに関する情報や知識の共有することを容易にします。これにより、各部門がリスク管理とコンプライアンス活動を効果的に行うことができ、全体としてのリスク対策とコンプライアンス強化が可能になります。

2. GRC業務の効率性と品質向上
GRCツールは、リスクやコンプライアンスに関する業務の効率性向上に貢献します。一貫性を持ったデータ管理と自動化されたプロセスにより、誤ったデータ入力や過剰な管理作業の減少が見込め、企業のリソースをより価値ある活動に集中することが可能となります。また、自動化されたリスク評価や監査により、業務の品質向上にも寄与します。

3. GRCの意思決定と責任分担の明確化
GRCツールは、リスクとコンプライアンスに関する意思決定と責任分担を明確にします。これにより、企業はリスク対策とコンプライアンス確保に関する業務を、全体的で組織的な視点から推進することが可能となります。また、各ステークホルダーの役割と責任を明確にすることで、リスクとコンプライアンスの管理を一段と強化することができます。

4. GRCパフォーマンスと結果の計測
GRCツールは、リスクとコンプライアンスのパフォーマンスと結果を効果的に計測し、視覚化することを可能にします。これにより、企業はリスク対策とコンプライアンス強化の効果を定量的に評価し、必要な改善活動を適切に計画することができます。また、結果の透明性と信頼性が向上することで、ステークホルダーに対する信頼性も強化されます。

5. GRCに関する問題点と改善領域の特定
GRCツールは、リスクとコンプライアンスの問題点と改善領域を効果的に特定することを可能にします。これにより、企業はリスクとコンプライアンスに関する活動を継続的に改善し、企業全体のパフォーマンスを向上させることが可能となります。

これらのメリットは、企業がビジネス戦略を実行し、リスクを対処し、コンプライアンスを確保するために必要なガバナンス構造を構築することを可能にします。また、これにより企業の信用性と透明性を向上させ、ステークホルダーに対する信頼を強化できます。

6. データの一元化
GRCツールを導入する過程で、既存のデータはもちろん、新たに入力・獲得されるデータが統一化されます。データの統一にはそれなりに高いハードルがありますが、データを一元化することにより、GRCツールは組織全体におけるリスクとコンプライアンス情報の共有を促進し、透明性の高い情報に基づいて意思決定を行う文化を醸成することができます。

これらのメリットは、強固なガバナンス構造を構築し、リスクを巧みに管理し、シームレスなコンプライアンスを確保することを可能にします。さらに、これらのツールを通じて得られる信頼性と透明性は、利害関係者の信頼と信用を高めることが可能です。

また、資本のグローバル化が進む昨今においては、海外の投資家などによる厳しい目線にも耐えうる環境を構築するためにも、これらの整備は不可欠です。

PwCのGRCツールサービス

PwCの提供するサービスは、GRCツールの選定から導入、効果的な運用、継続的な改善に至るまで、あらゆる段階で組織をサポートするように設計されています。PwCはクライアントとの強固なパートナーシップの構築に努め、クライアントがGRCに係る取り組みを通じて最大限の利益を享受できるよう支援します。

私たちのサービスは以下のとおりです。

GRCツールに関するサービス

GRCツールの選定・導入支援:
クライアントのニーズに合わせ、最適なツール選定を支援します。

  • 統合プラットフォーム型
    全社改革と相性が良い仕組みです。データガバナンスを含むさまざまな態勢整備と平仄を合わせて進めることで、大きな成果を目指します。また、ERPパッケージのGRCオプションなどもここに含まれます。
  • 総合機能型
    機能を網羅的保有するタイプのツールです。レポーティング機能など、製品ごとに異なる特長があります。
  • リーズナブル・簡易型
    自由度の少ない製品も多いですが、内部監査業務の作業効率の向上など、ローコストで自動化・省力化というリターンを確実に狙っていく製品です。
  • 特化型・単機能型
    財務リスク管理や情報セキュリティ管理、サプライチェーン(取引先)管理など独自の強みを持つタイプのツールです。

PwCは、どのGRCツールのどの機能を利用すべきかを分析・評価し、クライアントにとって最適な組み合わせを提案します。以下の図は機能カテゴリの例示です。

リスク管理
  • リスクの特定、評価、優先順位付け、リスク軽減のための戦略策定を支援するツール群
コンプライアンス管理
  • コンプライアンス管理ソフトウェア:組織が法規制のコンプライアンスを管理し、コンプライアンス要件や義務を把握するのに役立つツール群
監査支援
  • 内部監査や外部監査の計画、実施、報告を支援するツール群
  • 報告書作成、チケット管理、コミュニケーション管理など
ポリシー・手順管理
  • ドキュメントの作成、レビュー、承認、配布など、組織のポリシーと手順の管理を支援するツール群
  • システム領域では、ドキュメント管理システムとしてとらえられるものと近似
インシデント・危機管理
(BCP管理ソフトウェア)
  • インシデントの報告、調査、対応、復旧など、インシデントやアクシデントの管理ツール群
  • システム領域では統合監視システム、ヘルプデスクシステム(ITIL管理など)といわれるものと近似
データプライバシー保護
セキュリティマネジメント
  • GDPRやCCPAなど、個人情報保護やプライバシーに関する規制の管理を支援するツール群
  • SaaS形式のセキュリティ認証取得・維持支援システムなどがここに該当(機能的には、ポリシー・手順管理と類似)
サードパーティベンダー管理
  • 組織がサードパーティのリスクを管理し、サプライヤーが組織のリスクおよびコンプライアンス要件を満たしていることを確認するため業務を支援するツール群
  • 委託先の信用リスク、法令遵守、ガイドライン、規程類の整備・遵守状況などを管理
サプライチェーン
サイバーセキュリティ管理
  • サプライチェーン上の企業の脆弱性やウィルス感染状況などを測定・監視し、セキュリティ状況改善のための活動を支援するツール群
サイバーセキュリティ管理
  • 自社、グループ会社のサイバーセキュリティの状況(堅牢性や脆弱性)を測定・ベンチマークするためのツール群
  • EDR製品、AM製品群やタスクマイニングの一部もこのカテゴリに該当

GRCツールを利用した業務設計のカスタマイズと最適な構成検討支援:
PwCは数多くのクライアントを長年支援してきた経験により、1つとして同じ組織はないということを強く認識し、また同じ組織であっても時代の変遷に伴って変わっていくということを理解しています。その上で私たちはTOBEモデルを直接適用することは困難であることや、ベストプラクティスやベンチマークモデルに参考にすべき点があることも踏まえ、組織の状態や導入の狙い・目的に合わせてGRCツールを選択し、その利用方法と構成の検討を支援します。

GRCツールの運用・保守体制構築支援:
PwCはクライアントのGRCツールの運用・保守体制の構築を専門的な知見に基づいてサポートし、常に最適なパフォーマンスで、メリットを享受できるようなあり方をクライアントと一緒になって検討します。

GRCツール活用のベストプラクティス提案:
GRCの専門家として、ベストプラクティスを実現するために効果的な提案を行い、クライアントの組織がGRCツールを最も効果的に活用できるようサポートします。

PwCはGRC領域の専門知識を活かし、クライアントのニーズと課題に最適なソリューションを提供します。私たちは、クライアントと強固なパートナーシップを構築し、そのGRC活動を強力なビジネスアドバンテージに変えるお手伝いをしたいと考えています。

GRCの最適化についてご質問やご相談がございましたら、ぜひお問い合わせください。

主要メンバー

高木 和人

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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八木 晋

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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駒井 昌宏

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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辻田 弘志

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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夛田 桂子

マネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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小林 明日香

マネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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