リスクフリー金利計算ツール

ポストLIBOR:後決め複利金利計算の課題に対するクラウドベースのソリューション

2012年に発覚したLIBOR*算出に関わるパネル銀行による不正操作事件を契機に、金利指標改革が進められました。この改革の一環として、金融市場で広く利用されていたLIBORは2023年6月末をもって公表が停止されました。各主要通貨の検討体においてはLIBORの後継金利の検討が行われ、指標の信頼性や頑健性などの観点から、翌日物金利であるリスク・フリー・レート(RFR)が採用されました。

しかし、LIBORと同様に運用できるTIBOR(Tokyo InterBank Offered Rate)などの前決めターム物金利も存在する中、RFRを用いた後決め複利金利にはオペレーション上の課題が指摘されています。具体的には、後決め複利計算においては参照期間の日数分の翌日物金利を考慮する必要があり、従来の金利計算と比較して手間がかかる点が問題となっています。

このような課題に対して、PwCはこれまで国内外の金融機関のLIBOR移行を支援してきた経験と豊富な知見を活かし、後決め複利金利計算のための主要な業界慣行(コンベンション)を網羅するとともに、業務に簡単に適用できる金利計算ソリューションを提供しています。

LIBORはLondon Interbank Offered Rateの略で、ロンドンの銀行間資金貸借市場において主要な銀行が無担保で資金を調達する場合の調達コストを示す金利指標。金融機関、機関投資家や事業法人などの金融市場参加者により、金利スワップをはじめとしたデリバティブ取引、債券、ローンなどの参照金利として30年以上にわたり利用されてきたが、2023年6月末をもってその算出を終了した。

後決め複利金利計算の課題例

1) RFR導入による金利計算のオペレーション負荷

  • LIBORなどのターム物(3カ月など)の前決め金利は、取得した金利を直接適用して金利を計算することができた
  • 一方、RFRは翌日物金利(1日)であり、日次の金利を積み上げて期間内の利息を計算する必要がある
  • このため、利息が確定するのが利払日の直前となり、オペレーション上の負荷が高い

2) 複数の金利計算の業界慣行(コンベンション)

  • 後決め複利金利を計算する場合、①利払日までの日数を確保するための計算方法、②金利フロアの適用方法、③端数処理方法などのコンベンションを考慮しなければならない
  • コンベンションは複数存在するため、商品・通貨によってコンベンションを使い分ける必要性がある
  • 複数のコンベンションに対応しながら金利計算機能を構築するには十分な検討とリソースが必要となる

(図表注) Plain/Baseline:金利計算期間(金利期間)の各営業日は当日のRFRを参照、n-day LB:金利期間の各営業日は、そのn営業日前の営業日のRFRを参照(各RFRは金利期間の暦日を参照)、n-day OS:金利期間の各営業日は、そのn営業日前の営業日のRFRを参照(各RFRは金利参照期間の暦日を参照)、n-day LO:金利期間の最終営業日から起算してn営業日前の営業日のRFRを残りの営業日で参照(各RFRは金利期間の暦日を参照)。Day count は360日を想定。休前日営業日に割り当てられるday count fractionは、(1+休日数)/360。金利額は複利平均金利×(金利期間の暦日数)/360 で算定。rdは営業日dのRFR (公表日は翌営業日)。

PwCのリスクフリー金利計算ツール

PwCが提供するリスクフリー金利計算ツールは以下のような課題の解決をご支援します。

  • RFRの計算機能の構築、文書化、テスト、保守にかかるリソース・時間の負荷
  • 複雑でさまざまなコンベンションに対応する、詳細な計算仕様の設計
  • 金利データの取得、複数案件の管理、計算実行、システム連携など煩雑なオペレーションをサポートするツールの不在

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対応している計算コンベンション

計算方式

  • Compound the rate (Cumulative / Non-cumulative)(UK・USの検討体が貸出契約で推奨するもの)
  • Compound the balance/Daily Simple(USの検討体が貸出契約で推奨するもの)
  • Simple Average

コンベンション

  • Lookback without observation shift
  • Lookback with observation shift (=Backward-shift)
  • Lockout
  • Delay

片端・両端

  • 前入片端、後入片端、両端
フロア
(適用対象の値)
  • 平均金利
  • 平均金利+スプレッド調整値
  • 平均金利+スプレッド調整値+適用スプレッド
  • 日次金利
  • 日次金利+スプレッド調整値

端数処理

  • 平均金利の任意の桁に端数処理(平均金利を計算する計算方式のみ)
  • 利息額の任意の桁に端数処理

対応可能な商品

  • RFRを参照する利息が発生する金融商品(金利スワップ:OIS)、ローン、変動利付債券、預金など)

主要メンバー

竹内 秀輝

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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小松 宏忠

ディレクター, PwC Japan有限責任監査法人

Email

西村 隆平

ディレクター, PwC Japan有限責任監査法人

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