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2020-04-10
PwCコンサルティング合同会社は厚生労働省令和元年度老人保健健康増進等事業(老人保健事業推進費等補助金)の国庫補助内示を受け、下記の事業を実施します。
【事業の概要】
介護保険施設に入所(短期入所)者の居住費・食費の一部を補助する「補足給付」制度は、受給要件として預貯金額等が「単身で1000万円超、夫婦世帯で2000万円超の場合は対象外」としている。
この基準は、過去の統計・調査等から入所者の生活や介護保険財政へ与える影響を加味して設定されたものであるが、財政制度等審議会で統計調査における高齢者の貯蓄分布の中央値(男性単身920万円、単身女性830万円、2人以上世帯1,560万円)を上回る水準であり、見直しが必要性、との指摘がなされている。
こうした状況を踏まえ、本調査研究では、預貯金要件の基準額を引き下げた場合の影響を分析・検討することを目的とし、平成30年度「介護施設におけるサービス利用者に関する調査研究事業」で実施した分析をもとに、①限度額認定申請者の預貯金額の実態把握、②保険者より提供を受けた一定期間に特別養護老人ホームに入所していた者の入所時要介護度及び入退所年月等のデータを用いた保険数理計算による入所時要介護度別の平均入所期間の試算を実施する。
地域包括ケアシステムでは、中心に「住まい」が位置付けられているが、本調査研究は、その一翼を担う高齢者向け住まい(有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅)を対象としている。これらの高齢者向け住まいは、量的に急増していることに加え、事業者像、入居者像やサービス利用/提供の形態などが多様化し、質的にも大きく変化してきている。
こうした変化を定点観測していくため、本調査研究では、平成26~30年度に行われた調査研究を踏まえつつ、住まい事業者の運営実態(定員数、職員体制、サービスの提供状況等)や入居者像(要介護度、認知症の程度等)、介護・医療サービスの利用/提供状況といった基礎的情報を把握・分析する。
今年度は、特に、看取りおよび人生の最終段階における医療・ケアに着眼し、各「住まい」における取組実態について実態把握を試みる。
介護保険制度上の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けていない高齢者向け住まい(住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅)は、サービス付き高齢者向け住宅が制度化された2011年以降急速に増加し、介護付き有料老人ホームに比べて安価な施設が多いことや入居金が不要な施設が多いため、低所得者や退院後自宅に戻れない高齢者にとって重要な選択肢(入居先)となっている反面、利用者を不当に抱え込んだり、介護保険サービスの過剰な利用を強いたりしている不適切な事業所の存在も指摘されている。
こうした状況を踏まえ、本調査研究では、一般社団法人高齢者住宅協会の協力のもと、サービス付き高齢者向け住宅入居者のケアプランデータを収集し、それらの定量的な分析およびケース分析を通じて、サービス付き高齢者向け住宅における介護サービス利用の特徴を明らかにする。
介護分野の有効求人倍率は3.5倍となっており、全業種の1.5倍を大きく上回っていることがわかる。さらに、都道府県の推計結果から、2025年度までに約65万人の新規介護人材を確保する必要があるとされる。このような介護人材確保に係る課題の打開策として厚生労働省では複数の取り組みが実践されており、「多様な人材の確保・育成」が重要な政策課題となっている。
以上の施策の一つである入門的研修は、「介護に関心を持つ介護未経験者に対して、介護の業務に係る上での不安を払拭するため、基本的な知識を研修することにより、介護分野への参入を促進する」ことを目的として実施されており、これらの事業所における業務に従事する人材と期待されている。
本事業では特にシニア(元気高齢者)に着目し、従来の「介護のしごと」のイメージを払拭し、誰もが従事できる仕事であるといった仕事イメージを持ってもらうことが必要である。そのためには、介護のしごとの業務分析等により、仕事の切り出しを行い、そういった「入門的な」仕事から、仕事に従事できるということを理解してもらうことが重要であると考えられる。
以上より、本事業では、元気高齢者に焦点を当て、どのようなアプローチが介護分野への参入に効果的かを明らかにする調査研究を実施する。
介護保険給付費が増加し、財政状況が厳しくなりつつあることを背景に、介護事業者に対して、生産性の向上や経営効率化が求められてきている。
特に、介護を提供する事業者の半数を占める社会福祉法人には小規模法人が多いことが指摘されており、法人の大規模化・協働化など、法人経営の観点からも経営効率化の取り組みが求められている。一部の先進的な法人では、経営統合のほか、複数の法人間で用・研修・品質向上等の観点の取り組みを共通化・集約化して効率化を図ろうとする動きなども見られてきている。
こうしたことを踏まえ、本年度研究では、経営統合・事業譲渡・法人間連携といった経営効率化のための取り組みを実践している法人に対するインタビュー調査を通じて、好事例の収集を行い、事例ごとの成功のポイント等についてケース分析を行う。また、平成30年度老人保健健康増進等事業「介護保険施設におけるサービス利用に関する調査研究事業」で実施したアンケート調査結果からアウトソースや直接雇用職員の雇用状況が経営に関する指標へ与える影響について追加分析を行う。
介護を要する高齢者にとっての“終の棲家”として位置づけられた特別養護老人ホームは、要介護高齢者数の増加とともにその数を増やしてきた。しかし、その一方で、特別養護老人ホームへの入所待ちをしている人が多く存在していることが指摘され、施設整備補助の前倒し交付や、重度者が優先的に入所できる仕組み作り等、入所ニーズを充足させるための施策が打たれてきた。
そうした中、平成27年4月介護保険制度改正で、特別養護老人ホームに入所できる人が原則として要介護3以上に限定されたことによって、地域によっては稼働率の低下が指摘される等受給を取り巻く環境にも変化が生じた。
これらの状況を踏まえ、本調査研究では、特別養護老人ホームの入所者像や運営状況等を把握することを目的として、実態調査を実施する。特に、介護分野で直近の重要課題となっている①介護人材の確保・育成と②介護現場の業務の生産性向上/経営効率化に着眼し、各施設における取組実態について実態把握を試みる。
※本事例の内容は2020年4月10日時点のものです。