持続可能なIT実践についての検討

持続可能なITインフラを構築するために

76%

の回答者が、ITの持続可能性と効率性は相互依存関係にあると考えています。

44%

の回答者が、持続可能なITによって自社のデジタルビジネス倫理を向上させられると考えています。

53%

の回答者が、持続可能なITが日常業務で果たす役割は小さいと述べています。

64%

の回答者が、専門知識の欠如を持続可能なITへの大きな障害と捉えています。

責任ある形で実行されるデジタル変革(DX)

グリーンテクノロジーを採用する企業は、その評判を高め、環境に配慮したビジネス分野のリーダーとしての地位を得ます。持続可能なITは、環境の観点から必要とされるだけでなく、コスト削減、効率性の改善、ブランド認知の向上をもたらす戦略的優位性でもあります。しかし、多くの組織は、エネルギー集約型であるITインフラの持続可能な変革に向けて具体的な施策を定義するという、困難な課題に直面しています。

私たちの最新の調査では、現在の機会、組織が直面している課題、持続可能なITの実現に向けた最初のステップについて分析 しています。今回の調査結果と提言は、さまざまな企業との対話と、2024年秋に実施した調査「持続可能なIT:企業の現状と可能性」を基にしたものです。

調査サマリー

多くの場合、持続可能なITの社会的側面とガバナンスの側面については説明が必要になりますが、環境的側面について今回の回答者は基本的に理解しています。実際、エネルギー効率と温室効果ガス排出量および運用コストとの関連性は、多くの企業で重要なトピックとなっています。回答者の4分の3が、持続可能性と効率性は密接に関連していると答えています。しかし、エコロジーの点で持続可能なITへの移行を達成するためには、単なる効率性の考慮を超えた、より全体的なアプローチが必要となります。これには、ITインフラ全体のライフサイクル管理を含めることが理想的です。例えば、企業は新しいハードウェアやソフトウェアを購入する際にサステナビリティ基準を検討することで、環境フットプリントを削減できます。同様に重要なのが、対象を絞ったメンテナンスと修理、機器の再利用などの持続可能な実践を、テクノロジー管理に統合することです。

デジタルアクセシビリティは「あれば便利」以上のもの

持続可能なITの社会的側面の重要な要素の1つが、デジタルアクセシビリティです。障がいのある人も、他の人と同じようにデジタル製品やサービスにアクセスできなければなりません。これは倫理上の義務であるだけでなく、法律上の義務でもあります。2025年6月28日には、アクセシビリティの強化に関する連邦法(BFSG)が施行されました。これは、障がいのある人がデジタルサービスをより利用しやすくすることを目的とした法律です。BFSGの対象となる企業には、Web上のコンテンツが知覚可能で、操作可能で、理解可能であり、かつ堅牢であることを求める「Webコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン」への準拠が義務付けられます。

私たちの調査によると、こうした課題に対する認識は高いとはいえません。自社のデジタルビジネス倫理を強化する上で、持続可能なITの可能性を認識しているとした回答者は半数を下回っています(44%)。

倫理原則に照らしたテクノロジーの評価

持続可能なITには、社会と環境への影響を判断し、責任を持ってデータとアルゴリズムを管理することが含まれます。包括的なガバナンスはその基盤となるもので、ITシステムが倫理原則に準拠していることを保証します。トレーニングデータのバイアスは社会的不平等を増幅し、特定のグループに不利益を与える可能性があるため、Alを使用する際には強固なガバナンスが求められます。従って、潜在的な差別を早期に特定し、それに対処するため、Alシステムの独立した監査が不可欠となります。

持続可能なITが開く、日本企業の新たな競争優位性

グローバルでSustainable IT(持続可能なIT)への関心が高まる中、その焦点は単なる環境配慮から、社会、ガバナンスの側面を含む、より統合的なアプローチへとシフトしています。この潮流は、日本企業にとって、固有の文化や強みを競争優位の源泉へと転換させる絶好の機会をもたらします。グローバルレポートが示すトレンドを踏まえ、日本企業が取り組むべき2つの論点を提示します。

【論点1:環境】コスト削減から価値創造へ ―デジタル時代のサーキュラーエコノミーを実装する―

グローバルでITインフラのライフサイクル管理が新たな経営テーマとなる中、この潮流は製品の長寿命化と高品質を追求してきた日本の「ものづくり」の思想と深く共鳴します。

エネルギー価格の高騰と安定供給への懸念は、特にAI時代の次世代データセンター運営において深刻な経営課題となっています。一方で、これは再生可能エネルギーの活用や抜本的な省エネアーキテクチャへの移行を加速させる契機とも捉えられます。

さらに、ハードウェアの修理・再生や部品の再利用といったサーキュラーエコノミーの実践は、単なるコスト削減にとどまりません。日本の高い技術力を活かせば、IT資産の価値を最大化する新たなサービス事業や静脈産業の創出にもつながります。また、複雑なサプライチェーン構造を持つ日本企業にとって、IT機器調達におけるScope3排出量の算定・管理は大きな挑戦ですが、これを克服することは、サプライチェーン全体の強靭化とグリーン化を主導するリーダーシップの発揮を可能にします。

PwC Japanグループ(以下、PwC Japan)は、IT戦略とサステナビリティ戦略の融合を起点に、企業の環境価値創造を支援します。グリーンIT戦略の策定から、IT資産のライフサイクルアセスメント(LCA)、Scope3排出量の算定・可視化、そしてサーキュラーエコノミーへの移行まで、包括的なソリューションを提供します。

【論点2:ガバナンス】「信頼」を競争力の源泉とし、責任あるAI活用を推進する

AIの社会実装が加速する一方で、その判断プロセスにおけるバイアスや透明性の欠如は、社会的な不平等を助長しかねない重大なリスクとして認識されています。この課題に対し、日本企業は独自の強みを活かすことで、世界をリードするガバナンスモデルを構築できるポテンシャルを秘めています。

日本市場において、企業の信頼性や安心感は、顧客の購買決定に極めて大きな影響を与えます。AIの判断プロセスの透明性や公平性を担保する仕組みの構築は、単なるリスク管理ではなく、顧客や社会からの揺るぎない信頼を獲得し、ブランド価値を高めるための戦略的投資に他なりません。さらに、製造業を中心に培われてきた継続的品質改善の文化は、AIモデルの精度や公平性を継続的に監視・改善していくAIガバナンスの運用プロセスにそのまま応用でき、持続的な信頼性の向上に貢献します。

PwC Japanは、AIがもたらすリスクを的確に管理し、その便益を最大化するガバナンス態勢の構築を支援します。経済産業省のガイドラインなどを踏まえたAI倫理方針の策定、AIのバイアス診断や説明可能なAI(XAI)の導入、責任あるAI(Responsible AI)に関する第三者評価・保証サービスを通じて、企業が「信頼されるAI活用」を確立し、イノベーションを加速させるための強固な基盤を構築できるよう支援します。

結論 ―持続可能なITを「攻めの戦略」へ―

持続可能なITは、もはやコスト削減やコンプライアンス対応といった「守り」の活動ではありません。日本企業が持つ文化や技術力といった独自の強みと掛け合わせることで、新たな事業機会を創出し、企業価値を飛躍的に向上させる「攻め」の戦略となり得ます。

PwC Japanは、戦略策定から実装、そしてモニタリングに至るまで、企業の持続可能なITへの変革を強力に支援するパートナーとして、その挑戦に貢献していきます。

持続可能なIT:より持続可能なITインフラを構築するための課題、機会および戦略

( PDF 459.87KB )

企業は取り組みの強化に前向き

回答者の半数超(53%)が、これまでのところ、持続可能なITは日常業務において小さな役割しか果たしていないと答えています。多くの場合、持続可能なITを一連の定義された実装ステップではなく、戦略上の概念として捉えています。その主な理由として、72%の企業が限られたリソースと高いコストを挙げており、特に中小企業が課題を訴えています。にもかかわらず、今回の調査結果は、ほとんどの組織が持続可能なITへの取り組みを強化することを受け入れていることを示唆しています。

変革を成功させる鍵となるのは、教育です。持続可能なITを総合的に実装する方法を知っている人はほとんどいません。そのため、トレーニング、ワークショップ、および社内啓発プログラムの開発が極めて重要となります。これらの取り組みは、抽象的なアイデアを具体的なアクションに変える上で役立ちます。

最初のステップでは迅速な成果を重視すべき

規制の増加に伴い、法的枠組みにおける持続可能なITの重要性が高まっています。組織は、早い段階でコンプライアンスを確保するために、新たな法律に備えておかなくてはなりません。そこで、変革を将来への投資と捉えることが不可欠です。持続可能なITをIT戦略に組み込むことで、組織は長期的な競争優位性の獲得とコストの削減を実現できます。

まずはITインフラの評価を行うことで、迅速かつ効果的に改善できる点を特定できます。小規模なパイロットプロジェクトは最初のステップとして効果的であり、持続可能なITアプローチをより広い範囲に実装するための構造化されたモデルを得る上で役立ちます。

「持続可能なITは、単なる技術的な流行語ではありません。将来を見据えたビジネス戦略に不可欠な要素なのです」

Silke Schelkmann、パートナー、PwCドイツ

※本コンテンツは、『Study: A focus on sustainable IT』を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

持続可能なIT:より持続可能なITインフラを構築するための課題、機会および戦略

( PDF 459.87KB )

主要メンバー

坂口 博哉

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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