
シリーズ「価値創造に向けたサステナビリティデータガバナンスの取り組み」 第2回:統合管理を含めたデータガバナンス/マネジメントの要諦
多様なテーマを抱えるサステナビリティの領域におけるデータガバナンス/マネジメントを推進するにあたり、個別最適に陥りデータの全社的な利活用に至らないことが課題とされています。本コラムでは、組織横断的なデータガバナンスが必要な理由、そしてその推進の要諦を解説します。
顧客体験(Customer Experience、以下CX)という概念が企業に認知されるようになってから長い年月が経過しました。PwCのグローバル調査によれば、企業のエグゼクティブの63%が、直近の事業計画において顧客ロイヤルティ向上のための予算を増額し、顧客理解の強化やチャネルのシームレスな統合によって、Painの削減、Gainの追求に取り組んでいます。
一方、消費者の立場から考えた場合、店舗での採寸結果がECでレコメンドされることで返品が減ったり、ECのUIが向上したり、メールで最新情報が共有されたりなど、部分的な体験向上は得られている状況です。しかし、ブランドスイッチに至る良質な体験や既存優良顧客との長期的な関係構築はいまだ不十分な企業が大半です。
CXの構成要素には、商品やサービスの機能・性能・価格といった合理的な価値だけではなく、感覚、情緒、価値観、ライフスタイルなど感情的な価値も含まれます。「どんなことができるのか」を考えて消費者に提供するのではなく、「消費者が何を求め、期待しているのか」、「その期待値をさらに超えるものとは何か」を仮説やインサイトを掘り下げて提供できた企業が、消費者に感動を与える良質な体験提供にたどり着くものと考えられます。
例えば保険は、家や車に次いで、人生で2番目、3番目に高い買い物と言われています。かつては、不安を埋めるために安易に勧められた商品を購入してしまい、自身がどんな保険に入っているのかもわかっていない人が多数いました。しかし現在では、家計・家族構成・収支・ライフプランのシミュレーションによる分析とコンサルティングで、個人ごとに向き合いながら保険を設計する提案型モデルに変革し、消費者が自身の希望に沿いつつ納得感を持って保険に加入できるようになりました。これはCXのわかりやすい事例の1つです。
昨今では、ニーズの多様化やコモディティ化、新型コロナウイルスの感染拡大によって、オンラインとオフラインの融合やAI(人工知能)、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)などのDXが加速し、それに伴いマーケットサイクルの高速化や、消費者の事前期待とのギャップの拡大が起こっています。さらに、CXの投資対効果の可視化、統合されたエクスペリエンスの提供、変革を推進するうえで必要となるケイパビリティを持つ人材の獲得など、CXに取り組んではいるものの課題が山積みで、何をどこから手を付けるべきなのか企業側の悩みは尽きない状況です。
消費者にシームレスかつ最適なタッチポイントで理想的な体験を提供するためには、顧客接点の改革にとどまらず、CX・デジタル文化の醸成、管理会計、ビジネスモデル、KPIや人事評価、教育、オペレーションも含めたチェンジマネジメントなど全社的な改革が必要になります(図表)。
本稿では、企業が抱える主な課題と解決策を基にCXを最大化するためにどのようなことに取り組むべきかを解説します。
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