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今号では、米ドルLIBORの公表停止延期案とこれに伴う今後の対応について解説するほか、各国の検討体で実施されている各種市中協議について取り上げます。
LIBOR の運営機関であるICE Benchmark Administration (IBA)は、LIBOR の公表停止時期に関し、いくつかの発表を行いました。まず近日中に、英ポンド、ユーロ、スイスフランおよび日本円LIBORの全テナーの公表を2021年12月31日以降停止する意向について協議を始めると発表しました。この翌々週には、2021年12月31日以降、米ドルLIBORの1週間物、2カ月物の公表を停止し、残りのテナーについては2023年6月30日まで公表を継続する意向であることを発表しました。IBAは、全通貨を対象とした市中協議を12月4日に公表し、2021年1月末までコメントを受け付ける予定です。
この計画についてIBAは、パネル銀行や公的部門とともに、より広く利用されている LIBOR のテナーと通貨の公表を継続する可能性について協議した結果であるとしています。
IBAの主要規制当局である金融行為規制監視機構(FCA)は、「パネル銀行との米ドルLIBORに関する協議を受けて発表された、パネル銀行とIBAによる米ドルLIBOR公表の延長と、米ドルLIBOR公表の明確な終了日に関する協議の提案を支持する」という声明を発表しました。
米国の連邦準備制度理事会(FRB)も同様の支持声明を公表しています。これと並行して、FRB、通貨監督庁(OCC)、連邦預金保険公社(FDIC)は、銀行に対し、米ドルLIBORからの可能な限り早急な移行を奨励するガイダンスを発表しました。また、同ガイダンスでは、2021年12月31日以降、米ドルLIBORを参照する新規取引を行うべきではないとしています。さらに、マーケットメイクや既存のLIBORベースのエクスポージャーをヘッジする目的など、米ドルLIBORベースの新規契約が適当と判断される限定的なケースはあり得るものの、当局は、米ドルLIBOR の新規契約に関する安全性と健全性への懸念(potential safety and soundness concerns)のもと、銀行の米ドルLIBOR利用について精査すると警告しています。
IBAの発表により、LIBOR移行は最終段階に入りました。米ドルLIBORの終了時期の延期は、IBAの市中協議の結果次第ではあるものの、先般FRBのRandal Quarles 副議長が議会で行った発言と整合しています。その中で、Quarles副議長は、LIBORを参照する一部のレガシー契約を既存の条件のまま満期まで維持する「メカニズム」の可能性に言及しました。現在のパネル銀行の呈示に基づく米ドルLIBORの公表によって、2023年6月以前に満期を迎える契約については既存の条件で満期を迎えることが可能になるでしょう。
延長の可能性により、2023年6月30日より後に満期を迎える契約については、市場参加者がフォールバック文言を修正したり、代替基準金利への事前移行を交渉したりする時間が延びることになります。また、LIBOR の公表停止時にフォールバック条項がない、あるいは不十分である契約に対処するため、法制上の解決策を制定する時間的な猶予も生まれます。
既存契約の修正にかけられる時間が増えたことで、契約書修正戦略を再考する銀行も出てくるでしょう。LIBORの2021年以降の流動性が不確実であること、特に新商品のリスクフリーレート(RFR)への移行が進んでいることを踏まえると、銀行は金利指標の変更のタイミングと経済的影響に対するコントロールを維持しておきたいと考えるかもしれません。一部の銀行は、ハードワイヤードのフォールバック条項ではなく、2023年6月の LIBOR 公表停止前に移行することを可能にする柔軟なオプトイン条項やスイッチメカニズムを利用すると考えられます。このような柔軟性は、特定の貿易金融取引のような、代替金利指標として先決めタームレートを必要とするエクスポージャーにおいても歓迎されるものと考えられます。
米国省庁間ガイダンスは、2021年以降、米ドルLIBOR の新規契約が締結されないことを明確に期待しています。しかし、 限られた範囲での例外(例えば、マーケットメイク活動、ノベーション、リスク管理などの目的の新規発行)は認められており、 これらは2022年1月1日より前に締結された LIBOR 取引に関連する契約であることが条件となっています。FRBが安全性と健全性に懸念があり得るとはっきり言及したことから、規制当局が米国に拠点を置く金融機関に対して いかにLIBOR の利用制限を遵守させることができるかが見て取れます。
またFCA も、米国の規制当局のアプローチに倣い、米ドルLIBORの使用を制限する可能性があります。2021 年末以降、米ドルLIBOR の使用を制限するために、FCA がどのような立法メカニズムに依拠するかは、まだ明らかになっていません。
米ドルLIBORの継続使用を避けるためにFCAがとる主要な手段に、代表性喪失の宣言があります。英国および EU ベンチマーク規制(BMR) の下では、監督当局であるFCAが米ドルLIBOR の代表性喪失を宣言することで、これらの国・地域の金融機関が米ドルLIBORを新規契約に使用することを防ぐことができます。また、既存契約については、a) LIBOR と代替金利指標との間にあるテナーとクレジットベーシスの問題に対処するスプレッド調整の計算を直ちに開始すること、b)国際スワップデリバティブ協会( ISDA) の IBORフォールバックサプルメント(追加条項)および関連プロトコルに記載されている停止前トリガーを含む全てのデリバティブ契約を、それぞれの代替金利指標であるRFR に移行させることを促すでしょう。
このシナリオでは、米ドルLIBOR が代表性を喪失した後、ISDAのフォールバックプロトコルに署名した市場参加者は、保全したいデリバティブ契約を修正する必要があります。例えば、米ドルLIBORの参照を継続するヘッジ対象のキャッシュ商品とのヘッジ整合性を維持するための契約修正などが挙げられます。代表性喪失の宣言は、清算機関が既存の LIBOR 契約を RFR に移行するためのルールブックをいつ変更するかを判断する際にも影響を及ぼす可能性が高いでしょう。
また、FCAが米ドルLIBOR の代表性喪失を宣言した後、FRB が提案するような例外を許容するかは不明です。このため、FCAは法的措置やそれよりも簡易なアプローチによって2021 年以降の米ドルLIBOR の使用を抑制しようとすることも考えられます。一方、FCAとIBA は、2021 年以降のLIBORの公表継続は、金利指標の代表性の継続に左右されると明言しています。FCA は現時点では米ドルLIBOR の代表性喪失を宣言することに消極的かもしれませんが、2022 年もしくは2023 年のどこかのタイミングでそのような判断を下す可能性はまだ残っています。
既存契約に対処するための時間の延長には、経済的コストが伴う可能性があります。新規LIBOR商品の発行中止を求めながら、米ドルLIBORの公表を継続することは、間違いなく米ドルLIBORの流動性に大きな悪影響を及ぼすでしょう。2021年以降、ヘッジ手段の流動性が現在の水準より大幅に低下し、米ドルLIBORエクスポージャーのヘッジとリスク管理にかかるコストが割高になる可能性があります。さらに、異なる金利に連動する商品については、延長された期間の金利計算に異なるコンベンションを採用する可能性があるため、バランスシートやポートフォリオの管理が複雑になるかもしれません。
今回の発表を18カ月間の休息期間ができたと解釈してしまうと、さらに後れを取る危険性があるだけでなく、規制当局から確実に注視されることになるでしょう。私たちがこれまで会話した市場参加者の多くは、スピードを落とすことなく取り組みを継続しています。また、既存契約に猶予が与えられたことで、規制当局は新しいRFRベースの商品を発行すること、あるいは少なくともグローバルな取り組みと目標日に足並みを揃えるよう努めることへの期待をさらに高めるはずです。
したがって、新しいRFR商品の開発推進と RFR 取引のための事務フローの確立が急務であることに変わりはありません。システムとプロセスの変更、モデルの修正と検証、契約ポートフォリオの完全な理解のための取り組みは、これまで通り継続する必要があります。
時間の猶予ができたことにより、2021年末までに既存の米ドルLIBOR契約を修正する緊急性は下がるかもしれません。しかし、2021年以降もLIBORエクスポージャーを維持することで、リスク管理、価格設定、評価、流動性の問題が生じる可能性はあります。
LIBOR公表停止の最終段階では、複数通貨間、業界と規制当局、またさまざまな現物市場とデリバティブ市場の間での慎重な調整が求められます。金融機関は、起こり得るさまざまなシナリオを慎重に検討するとともに、今後数カ月間における業界での重要な議論において、声を上げていく必要があります。
FCA は、新しい権限の適用に際し検討しているアプローチについて市中協議を公表し、1)FCAが金利指標を「重要(critical)」と指定する際に考慮すべき要素と、2)重要な金利指標の継続的な公表を要求する際に採用すべき方法(詳細は、『At a Glance: FCA consults on the proposed tough legacy powers』を参照)について、市場参加者の意見を求めています。重要な金利指標の継続的な公表を可能にするため、FCA は金利の計算方法をパネル銀行のレート呈示に依存しないよう変更することを義務付ける可能性があります。その結果、いわゆる「シンセティックLIBOR」と呼ばれる金利指標の使用は、狭義のタフレガシー契約、すなわち、LIBORの公表停止前に 契約書の修正や LIBOR からの移行ができない契約に限定されることになります。
本市中協議を後押しするため、FCA は英国財務省と共同で、協議に関する質問に回答するオンラインセミナーを開催しました。このセミナーでFCA は、英ポンドLIBORの1カ月物、3カ月物、6カ月物を含む最も広く使用されているテナーについて、公表継続を指示する権限を行使する見込みであると発言しました。またFCAは、日本円LIBORや米ドルLIBORについては引き続き明言を避けましたが、ユーロLIBORやスイスフランLIBORについては公表継続の指示が行使されない可能性が高いと考えられます。
今後利用が可能になるかもしれないシンセティックLIBORは、既存のあらゆるLIBORエクスポージャーに対応する普遍的な解決策とはならないでしょう。第一に、その利用は、LIBOR の公表停止前に修正できない契約など、特定の契約に限定されると考えられます。第二に、どのような通貨とテナーがこのような解決策の対象となるのかも不明です。仮に、FCA が実取引ではなく計算に基づいた LIBOR の継続的な公表を認める権限を行使したとしても、それは英ポンド LIBORの限られた テナーのみを対象とする可能性が高いといえます。そして第三に、既存契約、特に英国外の法域の法律に準拠する契約に関しては、シンセティック英ポンドLIBORを金利指標として使用することに異議が唱えられ、訴訟に発展することもあり得ます。
FCAと英国財務省が発信しているメッセージは、揺るぎなく、また明確です。企業は、シンセティックLIBORの可能性を理由に、移行への取り組みを制限すべきではありません。既存のLIBORエクスポージャーの積極的な移行を継続するだけでなく、その取り組みを可能な限り加速させるべきでしょう。このような助言に耳を傾けるべき理由は十分にあります。最も重要なことは、LIBOR が代表性を喪失するまでに修正されなかった契約の解決策として、シンセティック LIBOR に依存することにメリットはないということです。経済的観点からすれば、シンセティックLIBORは名ばかりのIBORです。計算方法の詳細はFCAとのさらなる協議が必要ですが、特定の LIBORからRFRへの切り替えと、推奨されるスプレッド調整がベースになると考えられています。言い換えれば、シンセティックLIBORと推奨されているハードワイヤードフォールバックとの間には、経済的に重要な差異は生じないと考えられます。一方、ハードワイヤードフォールバックを導入すること、または代替金利指標を直接参照するよう契約を修正することで、銀行はシンセティックLIBORへの依存により発生する不確実性や不測の事態を回避できるでしょう。
ユーロの移行検討体であるユーロRFRワーキンググループ(WG)は、EURIBORフォールバックトリガーイベントと、ユーロ短期金利(€STR)ベースのEURIBORフォールバックレートに関する市中協議を公表しました。コメントの提出期限は2021年1月15日であり、最終的な推奨は、2021年第1四半期末までに公表される予定です。最終的な推奨は、企業が参照金利の永久的な公表停止に向け堅牢なフォールバックを組み込むためのBMRの要件を遵守する際の指針になることが期待されています。BMR の対象にならない契約であっても、より堅牢なフォールバック条項を盛り込むことで、法的・経済的な確実性を高めることができるでしょう。
フォールバックトリガーイベントに関するワーキンググループの市中協議では、市場参加者がキャッシュ商品やLIBOR参照のデリバティブ契約に組み込むことができる7つの潜在的なトリガーを取り上げています。これらには、ISDA のIBOR フォールバックサプルメントに含まれるトリガーに類似した永久停止および停止前のトリガー、ユーロ圏の特定の法律上・司法上の独自性に対処する一連の追加トリガーが含まれます。
€STRベースのフォールバックに関する市中協議では、ISDAが採用したアプローチや米国代替参照金利委員会(ARRC)の推奨フォールバックに類似するウォーターフォール方式のフォールバック条項が推奨されています。推奨ウォーターフォールの最初のステップには、借り手の理解度と資産クラスに応じて、フォワードルッキングな€STRタームレート、またはバックワードルッキングな複利€STRが盛り込まれています。ユーロRFR WGはまた、EURIBORと€STRの間に発生する経済的差異を考慮したスプレッド調整方法の推奨とこれに対する意見、同WGが推奨するキャッシュ商品における複利€STRのコンベンションについても意見を求めています。
現在提案されているスプレッド調整方法とRFRの使用におけるコンベンションは、英ポンドRFRワーキンググループやARRCなどの他のワーキンググループによる推奨内容と概ね一致していますが、ユーロRFR WGは市中協議にて、単純平均金利の使用に関し強い反対姿勢を示しています。同WGは、単純平均金利の使用が「貨幣の時間的価値の基本原則を無視している」とし、RFR参照のキャッシュ商品への使用は不適切であると示唆しています。欧州中央銀行(ECB)は、2020年12月14日に市中協議に関するラウンドテーブルを開催する予定です。
現在のところEURIBORを廃止する計画はないものの、市場参加者はBMR で求められていることだけでなく、可能な範囲で、将来の契約を保証するために最大限の努力をすべきです。フォールバック条項がない、あるいは不十分なLIBOR 参照契約への対応に苦慮している現在の市場の状況は、将来に対する警告となり、今後EURIBOR 参照契約において同様の状況が発生することを防ぐための十分な動機付けとなるはずです。銀行はこうした努力をしておいてよかったと後から思うことになるでしょう。
ユーロRFR WGの具体的な推奨内容に関して驚くべきことはほとんどありません。他国のワーキンググループと同じく、デリバティブとキャッシュ商品間の調整の必要性が優先され、特にヘッジ関係の維持が重要な場合にはその必要性がより強調されています。同様に、推奨内容は、キャッシュ商品におけるフォールバックレートのオプションとしての€STRベースのフォワードルッキングなタームレー トに対する市場の要望を捉えています。このようなタームレートの利用可能性が保証されていないことを考えると、市場参加者は、EURIBOR が一時的または永久的に停止した場合に、バックワードルッキングの複利平均€STRを計算・処理できるだけのリソースをどのように確保するかを検討する必要があります。
資産運用会社は、この市中協議において各国ワーキンググループの中で初めて投資ファンドのフォールバックについても検討がされていることを高く評価するでしょう。ファンドベンチマークのフォールバックの選択は非常に複雑であり、ファンドに対する投資家の理解度を明確に把握し、目論見書などのファンドレベルの文書を更新するための正式なプロセスを必要とします。市中協議に具体的な提案内容は含まれていないものの、投資ファンドの課題と複雑さを浮き彫りにすることで、共通の業界標準の開発に向けた機運が高まるはずです。
ユーロRFR WGが、キャッシュ商品における RFR の使用に適切なコンベンションとして単純平均を明確に否定したことは、共通の業界標準の登場を期待していた一部の市場参加者を失望させる可能性があります。例えばLSTA(Loan Syndications and Trading Association) は、単純平均の使用を可能にする RFRベースのひな型を公表しています。フォールバックレートに関する市中協議への意見にはこのような不満が反映されると考えられ、各組織からさらなる柔軟性を求める声が上がるでしょう。
ARRC は、相対ビジネスローンにおける後決め担保付翌日物調達金利(SOFR)の使用に関する推奨コンベンションを公表しました。以前公表されたシンジケートローンに関する推奨と同様に、日次単純SOFRまたは日次複利SOFRの使用が提案されています。ARRC は、今回のガイダンスにおいても、営業日数ルックバック(business day lookback)、観測期間シフト(observation shifts)、日数コンベンション(day count conventions)、ラウンディングに関連する各コンベンションについて、具体的かつ拘束力のない推奨を行っています。ただし、特定の状況下においては市場参加者が異なるコンベンションに従うことを選択する可能性を認めています。
ARRC のシンジケートビジネスローンに関する推奨と同様に、市場参加者は「自分の道は自分で選択」することになります。デリバティブとキャッシュ商品の整合性、単純平均の計算の容易さと複合平均の正確さとのトレードオフ、その他の戦術的・戦略的な考慮事項など、金融機関によって優先順位が異なることを踏まえると、貸出市場において単一の業界標準が登場する可能性は低いでしょう。
今のところ、多くの金融機関が、複数のコンベンションに対応可能な能力の開発を求められることになるでしょう。いずれは貸し手がローン管理者やその他ベンダーとともに、複利の使用におけるオペレーション上の複雑さに対処するソリューションや基準、機能を開発できるはずです。そうなれば、最終的には単利ではなく複利の利用を選好する金融機関が増えると考えられます。しかし、それが現実のものとなるまでは(もし実現したとして)、引き続き市場参加者の多様な状況や優先事項に対応するさまざまな提案がなされるでしょう。
ニューヨーク連邦準備銀行(FRB NY)は、2020年初めに開催した Credit Sensitivity Group (CSG)ワークショップに続いて開催を予定していた 2つの追加ワーキングセッションの第1回目「商業貸出のための参照金利の継続的なイノベーションに関するフォーラム」の資料を公表しました。CSGは、SOFRが特にストレス期において資金調達コストを正確に反映していないのではないかという、多くの米国銀行から寄せられたSOFRの実現可能性に関する懸念を受けて招集されたグループです。セッションでは、IHS Markit、Antje Berndt教授、Darrell Duffie教授、 IBA、 Bloomberg、the American Financial Exchangeがそれぞれ、米ドル貸出市場で使用する信用感応度の高いスプレッド(credit sensitive spread、CSS)の開発に関する提案を行いました。本イベントの録画が公開されていますが、これらの提案が持つ潜在的なメリットについての議論は含まれていません。
それぞれのアプローチには、ニュアンスの違いはあるものの、全体としてCD(Certificate of Deposit)レートや債券スプレッド、その他の市場データなど、銀行の資金調達コストを示す長期・短期のデータに注目しています。
RFRを 参照する新商品の提供開始まで、時間は残されていません。2021年末以降も米ドルLIBORの公表が継続される可能性が出てきていますが、代替金利指標を参照する貸出の開始を求める規制当局の圧力は、今後数カ月で強まると予想されます。業界が新商品のCSSを短期間で導入できる可能性は低いと考えられるため、銀行は移行計画にそのような実体を反映する必要があるでしょう。また、誰もがこのような懸念を示しているわけではありません。例えば、私たちが把握する限り、英国においてポンド翌日物平均金利(SONIA) のCSSを開発する計画はありません。
時間が不足しているということだけでなく、CSSの導入には逆風が吹いているといえます。米国の規制当局が、このようなスプレッドの開発を促進し、採用を支持する上で中心的な役割を担うワーキンググループを招集したり、後援したりする予定は今のところないようです。SOFR の場合は、ARRC が、業界における複雑なオペレーション・法律・規制・会計・税務の面での課題の解決に重要な役割を果たしました。こうした努力の結果、米ドルLIBOR から SOFR への移行に伴う規制上の影響に対するさまざまな救済措置が講じられていますが、CSSがたとえ利用可能になったとしても、これらの措置をCSSに対して容易に拡大適用できるとは限りません。
CSSが市場に受け入れられるには、さらなる課題があるでしょう。借り手の中には、銀行の資金調達コストに伴うボラティリティは銀行が管理するのが最善であるとし、借り手に付加することを疑問視する声もあります。過去の CSG ワークショップや業界イベントでのフィードバックを踏まえると、資金調達リスクを明らかに借り手に寄せるような貸し出しのプライシングにCSSを追加することについて、貸し手が反発に直面するのは確実でしょう。
※本コンテンツは、PwCが2020年11月に発刊した「LIBOR Transition Market update: November 16-30, 2020」の一部を抜粋し翻訳したものです。
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