2021年、産業革命前の水準と比較して温暖化を1.5℃以内に抑えたいという目標から、私たちはさらに遠ざかってしまいました。2021年の世界全体の脱炭素化進展率(炭素集約度すなわちGDP単位当たりのエネルギー関連CO2排出量の低減率)は0.5%にとどまりました。これは、過去10年以上で最低の水準です。パンデミック収束後、急速に活発化した経済活動の煽りを受け、コロナ禍からの回復は(少なくとも短期的には)環境に優しいものではありませんでした。
2021年の世界の脱炭素化進展率はわずか0.5%
経済全体でネットゼロを目指す野心的目標の採用が広がり続けているものの、脱炭素化の進展は過去12カ月間にむしろ減速しています。
PwCのネットゼロ経済指標(NZEI)は、G20各国がエネルギー関連のCO2排出量をどれだけ削減し、経済の脱炭素化を推進したかを示す指標です。このNZEIによれば、2021年の全世界の脱炭素化率は0.5%と過去10年以上で最低水準でした。
強まる経済への逆風、そしてエネルギー価格の高騰という難題が待ち受ける中、各国と企業は、脱炭素化の取組みをそれぞれの経済の未来の中心に据えるのであれば、重要な決断を下さなければなりません。
「2022年の結果は、野心的なネットゼロ目標を達成するためには行動を起こさなければならないことを私たちに気づかせる緊急のメッセージです。各国は、政策転換と投資機会の加速を通じて、レジリエンスが高く、手頃な価格のエネルギー、クリーンで生産的な産業、そして健全で公正な社会への道を拓くことができます。企業もまた、新たな機会を捉える準備を整えているようです。しかし、どうすれば私たちは気候アクションを変革アジェンダのトップに据えられるでしょうか」
「悪化する気候非常事態から強く持続可能な経済への移行を果たすためには、脱炭素化を毎年15.2%進展させることが今、求められています。変化への意欲は見られますが、世界は現在、不安定な地政学的、経済的状況のただ中にあります。エネルギー価格の高騰、パンデミックで傷んだ経済を回復させ必要といった事情が最近の脱炭素化の進展を妨げています。今こそ、アクションと投資を辛抱強く続けることにより、各国はネットゼロ経済に向けて正しい道を歩むことができるのです」
2021年の世界の脱炭素化進展率はわずか0.5%
平均気温上昇を1.5℃以内に抑えるには、世界の脱炭素化の年間進展率を15.2%まで加速する必要があります。
地政学的、経済的に不安定な状況の中、2030年までに世界の炭素集約度を77%低減させる必要があります。
ネットゼロ達成への道程は国やセクターによって異なる
企業と投資家にとって、気候アジェンダはますます重要な意思決定の一部になりつつあります。
戦略的協力がかつてないほど喫緊の課題に
燃料係数、エネルギー原単位を含むPwCのメソドロジーと主要評価指標の詳細については、以下の「メソドロジーと評価指標」の項をご覧ください。
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