
シリーズ「価値創造に向けたサステナビリティデータガバナンスの取り組み」 第2回:統合管理を含めたデータガバナンス/マネジメントの要諦
多様なテーマを抱えるサステナビリティの領域におけるデータガバナンス/マネジメントを推進するにあたり、個別最適に陥りデータの全社的な利活用に至らないことが課題とされています。本コラムでは、組織横断的なデータガバナンスが必要な理由、そしてその推進の要諦を解説します。
食料や水、原材料の供給、花粉媒介、土壌・水質の浄化、災害抑制、観光やレクリエーションの場の提供など、人類の生活や経済活動は、生物、水、土壌、清浄な空気などの自然資本に依存しています。世界経済フォーラムによれば、世界のGDPの半分以上にあたる44兆米ドル相当が、自然資本に依存しているとされます。
その人類の生活や経済活動の基盤である自然資本が急速に毀損しています。「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)」によれば、重要な自然資本である生物多様性は1970年から2016年の間に平均68%減少しており、陸地の75%は改変され、海洋の66%は累積的な影響下にあり、湿地の85%が消失したとされています。
そのため、急速な自然資本の毀損が経済活動をリスクにさらしていることに対する懸念が高まっています。特に、多くの企業に投融資する金融機関のポートフォリオは、多様な自然資本リスクにさらされています。これまで、自然資本を含む環境リスク評価では、企業が環境に与える影響が問題となっていましたが、自然資本リスクについては、自然資本の毀損が企業に与えるリスクに、注目する必要があります。
本レポートでは、金融機関がそのポートフォリオに存在する自然資本リスクを迅速に評価することを可能にするプロセスを紹介します。当該プロセスを用いることで、企業がどう自然資本に依存しているか、そうした依存が環境の変化によっていかなる危機に直面するか、またその結果、金融機関にどのようなリスクが発生するかを、迅速に特定することができます。
本レポートで紹介する自然資本リスク評価は、気候変動に続いて、今後グローバルの要請が強まることが確実な自然資本について、日本の金融機関が従来見逃してきた重大なリスクを明らかにするでしょう。本レポートをぜひご活用ください。
※本コンテンツは、国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP FI)とGlobal Canopyとの協調的取り組みであるNatural Capital Finance Alliance(NCFA)が、PwCに委託して実施したプロジェクトに基づいて発行した「INTEGRATING NATURAL CAPITAL IN RISK ASSESSMENTS:A step-by-step guide for banks」の翻訳版です。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
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