2024年の見通し

テクノロジー・メディア・情報通信業界における世界のM&A動向

Global M&A Industry Trends in Technology, Media & Telecommunications hero image
  • 2024-04-24

2024年もTMTのディールメーキングは戦略的M&Aが主流で、新しいパターンと関係を示す経済環境において好機が広がるでしょう。

2024年を展望すると、テクノロジー・メディア・情報通信(TMT)セクターのディールメーキングを楽観視する理由があります。生成AIやその他の新技術の進展、金利の不確実性の後退、プライベート・エクイティ(PE)による記録的な投資資本の水準、ディールへの繰越需要など、すべてが2024年のTMTディール活動の増加を指し示しています。

2023年のディール金額は、過去2年間を大幅に下回りました。この1年間はディール活動にも大きな変動が見られ、2023年上半期には記録的なディール件数となったものの、下半期には大幅に減少しました。2023年下半期のディール活動の減少は、金融政策の制限強化、消費者へのインフレの影響、地政学的な紛争、規制環境の変化などの要因によるものです。加えて、TMT業界では、企業のバリュエーションが他業界に比べて銀行金利の影響を受けやすいため、買い手と売り手の間にバリュエーションギャップが生じています。

2024年には、各取引からより多くの価値を引き出すことに焦点を当てることが、M&Aの一貫したテーマになると予想されます。資本コストの上昇を考えると、その必要性はさらに高まります。

「資本投下と戦略的なM&A取引の追求に対するプレッシャーが、2024年のTMTセクターのディールメーキングを下支えするでしょう。2023年のマクロ経済と地政学的な不確実性がTMTセクター全体の自信とディールメーキングの活動を低下させたことを受け、現在、バリュエーションは再調整されています」

Barry Jaber,PwC英国 グローバルテクノロジー&テレコミュニケーションディールリーダー、Strategy&パートナー

2024年にM&Aが活発化が予想される分野は以下の通りです。

M&Aが活発な分野

  • 機会としてのソフトウェア:ソフトウェアは、そのサブスクリプションベースの事業モデルの特性から、投資家の関心を引き付け続けており、特にPEプレーヤーは現在、ソフトウェア関連のディール全体の約3分の2を占めています。より予測可能な経常収益とキャッシュフローを持つソフトウェアセクターは、現在の低成長環境においても投資家にとって魅力的であり続けるでしょう。その結果、2024年もテクノロジー関連のディールの中心はソフトウェアになると予想されます。2023年上半期には、2021年と2022年初頭に記録した記録を上回る5,000件以上のソフトウェア関連のディールが発生しましたが、全体的なマクロ経済環境と案件の資金調達における課題から、下半期にはディール件数が大幅に減少しました。成約した案件の規模は小さく、資金調達が容易な傾向がありました。メガディールが顕著に減少したため、ディール金額は以前の水準を大きく下回っています。しかし、エンタープライズソフトウェアの全体的な魅力は、2024年においてもTMTのM&A活動のホットスポットであり続けるでしょう。
  • 情報通信業界の再編とNetcoモデルの再登場:情報通信市場の構造は、再編と、シナジーの実現やコストの業界負担化、およびオルタナティブ投資を引き付けることを目的としたNetcoモデル(通信事業者がネットワークインフラを所有・運用し、他の通信事業者やサービスプロバイダーにリースするモデル)の再登場によって、変革が続いています。このような傾向は、特に主要プレーヤーが投下資本への適切なリターンを上げるのに苦労している欧州において、固定・モバイルの両セグメントで見られるようになると予想されます。これは、戦略的投資家、PE、インフラ資本にとって大きなチャンスです。
  • ストリーミング分野の再編:米国の脚本家と俳優のストライキが終結したことで、ストリーミングサービスは、今後のコストに関する曖昧さがなくなり、制作プロセスの予測可能性が高まりました。これによって、ストリーミングサービス事業者は、現在進行中の事業をより適切にモデル化し、分析できるようになります。さらに、データへのアクセスが改善されたことで、ストリーミング事業者は、消費者が購読を希望するプラットフォームの数、主要市場での普及率、消費者の行動を促すコンテンツの好みなど、消費者の嗜好に関する可視性を高めることができます。私たちは、エコシステムは統合の機が熟していると考えており、今後6~12カ月の間に、市場の一部のストリーミング事業者が戦略的パートナーを探すと予想しています。

「エンタテイメントプラットフォームが進歩し、提供サービスが拡大し続ける中、サービス一式を提供するプレーヤーは、安定した加入者基盤を享受できるはずです。一方、その他のプレーヤーは、進化し続けるエコシステムの中で、消費者が自由に使える時間とお金を奪い合いながら存在感を維持するために、M&Aや合弁事業、パートナーシップを模索する必要があるでしょう」

Bart Spiegel,PwC米国パートナー、グローバルエンターテイメント&メディアディールリーダー

2023年のM&A件数と金額

テクノロジー、メディア、情報通信のディール件数と金額(2019~2023年)

タブをクリックすると、各地域のチャートと解説が表示されます。

Bar chart showing M&A volumes for the technology, media and telecommunications sectors. Deal volumes in TMT increased by 5% between 2022 and 2023 although deal values declined by 55% due to a lower number of megadeals.

出所LSEGとPwCの分析

世界:2023年上半期のTMT分野のM&Aは新記録を樹立し、約8,500件が発表され、従来の記録である2021年上半期の8,400件を100件上回りました。しかし、下半期は様相が異なり、ディール件数は上半期から31%減少し、6,000件を下回りました。2023年全体では、ディール件数は前年比1%減少しました。2023年のディール金額は前年比44%減少しましたが、これは主にディールの小規模化とバリュエーションの低下によるものです。さらに、TMTメガディールの件数は2021年の42件から2022年は24件、2023年はわずか11件と減少しました。

世界のTMTディール数とディール金額:PE関与の割合(2019~2023年)
  • 2023年のTMTのM&Aは、引き続きテクノロジーセクターがディール件数とディール金額の約85%を占めました。2023年にTMTで発表された7件のメガディール(50億ドル以上のディールと定義)のうち、6件はテクノロジーセクターのもので、その中には2023年最大のディールであったCiscoによる281億ドルでのSplunk買収提案も含まれています。
  • テクノロジー分野のディール件数は、欧州・中東・アフリカにおける2023年上半期の好調な2四半期に牽引され、過去最高を記録しました。2023年の世界のテクノロジーディール件数はわずかながら増加したものの、ディール金額はディールの小規模化とバリュエーションの低下により60%近く減少しました。
  • テクノロジーディールの大半は引き続きソフトウェアが占め、次いでITサービスが続きます。

PEによるディールへの関与(直接の買い手として、投資先企業の買収を通じた間接的な買い手として、あるいは売り手として)は、2019年のディール件数・金額の約3分の1から、2023年にはディール件数・金額の2分の1を超えるまで、過去5年間で増加しています。

テクノロジーセクターは依然としてM&Aを牽引する領域

世界のテクノロジーディール件数とディール金額(2019~2023年)
  • テクノロジーセクターは、2023年のTMTディール件数の85%を占め、過去2年間で12,000件以上のディールがあり、世界のM&A市場全体の重要な構成要素となっています。デジタル化と技術的ディスラプションの動向が続く中、テクノロジーセクターは2024年以降もM&Aを牽引する領域であり続けると予想されます。
  • 2023年には、ソフトウェアサブセクターがテクノロジー分野のディール件数のほぼ4分の3を占め、約9,000件のディールが行われました。これは2022年比で2%増加となります。次に活発なサブセクターはITサービスであり、2023年には約2,000件のディール、次いで半導体・装置で600件強のディールでした。
  • 2023年のディール金額では、ソフトウェアがテクノロジーディールの3分の2を占め、前年の4分の3近くから減少しました。これは主にメガディールの減少とバリュエーションの低下によるものです。2023年に発表された最大のテクノロジーディールはソフトウェアディールで、CiscoによるSplunkの約280億米ドルの買収提案でした。
67%

のTMT企業のリーダーが、テクノロジーやテクノロジーを活用したプロセスの導入を促進するためにトランザクションを利用する予定です

出典:PwC英国、Value Creation Transformation Survey

2024年にM&Aを促進する主なテーマ

マージン重視の投資家

金利の上昇と不透明で不安定な経済見通しにより、不採算あるいは低採算のTMT企業に対する2023年のバリュエーションは悪化しました。その結果、特にテクノロジーセクターのTMT企業は、近年よりもコストの削減や回避に注力するようになり、投資家は案件の評価において売上の増加よりも収益性を優先するようになっています。この傾向は2024年も続くと予想されます。

規制の逆風

規制当局が世界的に調査や規制を続けている中、当局による規制上の監視は2023年にM&Aでも大きな話題となりました。いくつかのTMTディールは、特に米国、英国、EUの規制当局から厳しい監視を受けており、大手企業の市場支配力を強めるビッグテックの買収や、ライバルと目されるスタートアップが関与する買収に懸念を示しています。規制当局の承認を得られなかった大型ディールもありますが、成功したディールもあります。例えば、MetaはWithin Unlimitedを4億米ドルで買収しましたが、ディールを進めるために必要な承認を得るのに1年以上かかりました。同様に、Microsoftは、687億米ドルを投じたActivision Blizzardの買収の承認を得るために、規制当局の手続きを経ています。EUの規制当局は最近、ビッグテックの力と反競争的行為を抑制することを目的としたデジタル市場法を導入しました。また、EU規制当局はGoogleに対し、広告テクノロジー事業の一部を売却するよう命じました。2024年には、規制当局からの圧力が続くことでM&Aへの機運が削がれ、大型ディールの成約に要する時間が延びると予想されます。

IPOと上場廃止

新たな投資機会に対する需要は旺盛で、株式公開を待ち望むハイテク企業やその他の企業の数が増加していることから、2024年にはこれらの企業の一部が市場に登場することになるでしょう。しかし、米国、英国、その他の国々で選挙が予定されているため、IPOのチャンスは限られています。市場の受け入れ態勢が整うのを待つ間、TMT企業は財務体質の強化と売却の可能性を含む代替シナリオの立案に注力しています。

株式市場での資金調達というハイテク企業にとっての課題に加え、このセクターにおけるIPO後の業績不振によって、いくつかの重大な評価額が低下し、非公開化取引が増加する傾向が見られています。注目すべきハイテク企業の上場廃止には、Francisco PartnersとTPGによるNew Relicの65億米ドルの買収や、EQTによる2年前にIPOを通じて上場したドイツのソフトウェア会社SUSEの再買収などがあります。現在の市況を考えると、投資家は特にハイテクセクターでさらなる機会を見出すと予想され、PEファンドは引き続き、高い収益ポテンシャルを持つ優良公開企業をより低いバリュエーションで取得し、非公開化することに意欲的です。

テクノロジー・メディア・情報通信の世界のM&A動向

ソフトウェア

  • PEが引き続きソフトウェアM&Aの展望を形成:PEは引き続きソフトウェア M&A を牽引し、2023年のソフトウェア案件の約3分の2を形成しています。Silver Lakeによる Qualtrics と Software AG の買収、Blackstoneによる Civica への投資など、PEファームはソフトウェア企業のレジリエンスと成長の可能性に魅力を感じ、継続的な関心を示しています。
  • ソフトウェアベンダーによる新機能の獲得と新市場への参入: ソフトウェアベンダーは2024年も買収戦略を継続し、新たな機能の獲得と市場参入を目指すと予想されます。バイ・アンド・ビルド・プラットフォームは2023年もボルトオン買収を実行しており、この傾向は2024年も続くと予想されます。コスト削減と AI への投資に注力する中、2023 年 9 月に発表された Ciscoによる 280億米ドルのSplunk買収を除き、2023 年の企業によるメガディールは控えめでした。

ITサービス

  • ITサービスの成長領域:マクロ経済の先行きが不透明なため、多くの企業が新たなITプログラムの導入を遅らせており、2024年のITサービス市場はより厳しい見通しとなり、M&Aの妨げになると考えられます。ITサービスマネジメント、サイバーセキュリティ、DevOpsはアウトパフォームが期待され、その結果、これらの分野でM&Aが活発化すると予想されます。
  • 生成AIがITサービスに与える影響:生成AIはITサービスに多面的な影響を与えるでしょう。一方では、デリバリーにおける生産性を向上させる機会をもたらし、ひいては競争力と利益率を改善します。その一方で、例えばソフトウェアテストなど、現在のビジネスモデルに対する挑戦ともなります。生成AIは投資家の関心を集めていますが、多くのディールメーカーは、生成AIのインパクトがより確かなものになるまでは、この分野への投資に消極的な姿勢を維持するでしょう。

半導体

  • 規制の複雑さと地政学が半導体のM&Aに影響する: 2024年の半導体M&Aにおいて、規制上の課題は引き続き重要な役割を果たすでしょう。NvidiaによるARMの買収計画やSai MicroElectronicsによるElmos Semiconductorの買収提案に見られるように、規制上のハードルによる影響は、世界的に複雑な力学が働いていることを物語っています。特に地政学的な緊張を背景とした規制当局の監視が続き、ディール構造に影響を与え、国境を越えたメガディールが制限されることが予想されます。
  • 半導体はサプライチェーンのレジリエンスとポートフォリオ戦略に注目: 特にAIアプリケーションに使用されるチップの不足とグローバルサプライチェーンの混乱によって、サプライチェーンのレジリエンスに注目が集まっており、M&Aよりもオーガニック投資が優先されるでしょう。多角化した大手半導体企業がポートフォリオを評価し、事業を売却することが予想されます。例えば、Intelは将来の IPO を視野に入れ、Programmable Solutions Group(PSG)を分離する意向を表明しています。

個人、企業、そして国家経済のすべてが、エンタテイメントやライブイベントへの支出から多大な恩恵を受けています。映画、テレビ、音楽、ゲームなどのサブ産業における重要なリリースやイベントは、エンタテイメント産業だけでなく、観光、食品、さらにはテクノロジーなどの他の分野での成長も促しています。PwCの「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2023-2027の視点」に記載されているように、エンタテイメントとメディアへの支出は2024年に4.2%成長すると予測されており、投資や将来のM&A活動にとって魅力的なセクターとなっています。

  • 盛り上がる体験経済:コンサート、映画、スポーツイベントの成功は、世界的なパンデミック後のライブ体験や没入型体験への渇望を浮き彫りにし続けています。体験経済の隆盛の最も顕著な例は、テイラー・スウィフトやビヨンセといったアーティストや、『バービー』や『オッペンハイマー』といった大ヒット映画です。ブルームバーグ・エコノミクスは、上記2組のアーティストのツアーと2本の米国の大ヒット映画を合わせると、2023年第3四半期の米国の成長は85億米ドルに達すると推定しています。これらのイベントは、2023年第2四半期から第3四半期にかけての米国のGDP成長率を4.9%押し上げ、大幅な増加となりました。2024年にはテイラー・スウィフトの海外ツアーが開催され、他国の経済成長も同様に押し上げられる可能性があります。
    テイラー・スウィフトの音楽、ツアー、映画、そして個人的な関係が、音楽、メディア、さらにはスポーツの消費支出に与える影響は、「テイラー効果」と呼ばれています。メディアの報道によると、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)は、テイラー・スウィフトがある試合を観戦したことで、視聴率が大幅に上昇し、その試合は、直近のスーパーボウル以来、最も視聴された日曜のテレビ番組となったとのことです。ライブ体験に対する新たな興奮は、可処分所得を持つ新興層の嗜好の変化と相まって、この勢いを利用しようとするPEや政府系ファンド、その他の投資家の関心を集めることになるでしょう。パンデミック以前から、PEファンドはこの分野の案件評価に積極的に関与していましたが、ライブ体験が再び盛り上がりを見せている今、PEファンドと企業プレーヤーの双方から再び注目が集まることが予想されます。
  • 知的財産:強力な知的財産(IP)ポートフォリオを持つ市場プレーヤーは、高いエンゲージメントとキュレーションを特徴とするエコシステムを採用・開発することで、双方向性を求める消費者のトレンドを活用してIPを収益化すると予想されます。ライブでの没入感のある体験により、ブランドは消費者と関わりを持つことができ、消費者は好みのソーシャルメディアを通じてこれらの体験を簡単に共有することができます。
  • 地理空間テクノロジー:ライブイベントに注目が集まる中、2024年の経験をより充実したものにする可能性がある技術の1つが、衛星を利用したシステム、GPS、地理情報システム、リモートセンシングなどを駆使して空間データを収集・分析する地理空間技術です。この技術は、事業者に魅力的な消費者データと消費者の習慣や傾向に関する洞察を提供することができ、事業者は体験の前後でより良いマーケティング、広告、消費者との関わりを持つことができます。事業者が収益性の向上を目指す中で、ライブ体験の分野に関連する技術(地理空間やダイナミックプライシングなど)がM&Aのターゲットになると予想されます。

多くの地域におけるインフレ圧力、設備投資の制約、資金調達コストの増加、競争的な市場環境を考慮し、情報通信事業者はM&Aを通じて事業のトランスフォーメーションを図っています。PwCの「グローバル・テレコム・アウトルック2023-2027」で述べられているように、情報通信事業者は、合併を通じて、規模の経済と相乗効果を得ようとしています。これにより、リソースをプールし、顧客が必要とする統合された拡張可能な5Gネットワークへの投資の負担を分散させることができます。情報通信業界は、後述するようなさまざまな取引形態を通じて、効率化を推進し、規模を拡大し、キャッシュを確保し、外部からの投資を呼び込むことに引き続き注力しています。

  • 業界再編:厳しい資本収益率と規制当局の姿勢の軟化により、モバイル通信事業者間の統合が再び活発化しています。英国のVodafone/ThreeやスペインのOrange/MasMovilのような合併は、両社のネットワークやより広範な事業機能にわたって、設備投資と営業支出のシナジーを実現することを目的としています。このような統合により、(米国やドイツで見られるように)新規参入のためのスペースや規制上の支援が生まれる可能性もあります。
  • Netcoによるさらなる遅延:主に規制当局の主導または誘導によるNetco分離の第一波(オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、英国など)の後、固定およびモバイルのNetco(KKR/Telecom Italia、EQT/Windtre、Zegona/Vodafone Spain、Cellnex/Polkomtelなど)の新たな波が押し寄せており、他の地域でも多数のNetco分離が検討されています。これらの取引は、基盤となるインフラ資産への資本配分を最適化し、効率性を高め、規模の経済性を高めることを目的としています。
  • 非中核サービスの拡大・売却:情報通信事業者は引き続き、ポートフォリオの最適化や非中核資産の売却を通じて、事業プロファイルを簡素化し、設備投資資金やデレバレッジに充てるキャッシュを確保しようとしています。こうした売却には、非中核地域の事業、近接地域を対象とする事業部門、キャプティブ・サービス・プロバイダーなどが含まれます。コモディティ化が進む市場環境において切実に必要とされる効率化を推進するため、グローバルなキャプティブサービスやシェアードサービスの機能の強化に再び焦点が当てられており、情報通信事業者がデジタル変革の実現・資金調達とキャッシュ解放のためにキャプティブ事業の売却を検討する最初の兆候が見られます。
  • デジタルインフラ事業者の統合:通信タワー事業者の取引は次のサイクルに入っても続いており、さらなる統合の余地が残されています。通信タワー事業者は、投資適格格付けの維持・回復を目指し、特定の市場で既存の地位を提供できる資産を中心にポートフォリオの合理化を進める一方、小規模な資産の売却・統合を進めると予想されます。細分化された光ファイバー市場でも同様の力学が働くとみられ、小規模な事業者は統合し、大規模な事業者は規模拡大のために選択的に買収することになるでしょう。

M&A動向の解説は、業界で認知された情報源から提供されたデータに基づいています。具体的には、本文で言及している金額と件数は2023 年 12 月 31 日時点でロンドン証券取引所グループ(LSEG)が提供し、2024 年 1 月 3 日にアクセスした、正式に発表されたディールに基づいています(噂や取り下げられた取引を除く)。本データは、S&P Capital IQおよび当社独自の調査による追加情報によって補完されています。PwCの業界マッピングと整合させるため、ソース情報に一定の調整が加えられています。

Barry Jaber
PwC英国 グローバルテクノロジー&テレコミュニケーションディールリーダー、Strategy&パートナー

Bart Spiegel
PwC米国パートナー、グローバルエンタテイメント&メディアディールリーダー

※本コンテンツは、PwC米国が2024年1月に公開した「Global M&A trends in technology, media and telecommunications: 2024 outlook」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

各国・地域別のテクノロジー・メディア・情報通信業界のM&A動向については、下のボックスから選択してご覧ください。

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