不動産業界における世界のM&A動向:2023年上半期最新情報

不動産投資家は、進化し続ける環境に対応しながら、将来の成長とリターンを獲得するためにM&Aを活用することになるでしょう。

米国連邦準備銀行や欧州中央銀行などによる利上げなど、インフレ対策のための金融政策の変更による課題に直面し、不動産のM&A活動は引き続き緩やかなものとなっています。これらの要因により借入コストが上昇し、世界的にバリュエーションが圧迫されています。商業用不動産は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後の世界で企業運営や人々の生活、仕事、娯楽の変化によって深刻な影響を受けており、こうした変化の一部はパンデミック以前からすでに存在していました。しかし、投資家が新たな投資テーマを活用し、運営モデルを変革し、将来の成長に向けて再構築しようとする中、こうした選好の進化が今後もM&Aの機会を生み出し続けると予想しています。

資本市場は依然として逼迫しているものの、M&Aに資金はまだ利用可能であり、プライベートキャピタルや一部の上場企業の投資家は、環境の変化を利用して不動産への投資活動を加速させようとしています。今後6~12カ月の間に、プライベート・エクイティファーム、ファミリー・オフィス、ソブリン・ウェルス・ファンド、その他潤沢な資本を持つ投資家が、低いバリュエーション、ディストレスト、新たなテーマ、特に体験型施設(カジノ、ウェルネスリゾート、スポーツエンターテイメント方面など)に魅力を感じ、M&Aの場面でより積極的になると予想されます。

オーストラリア、中国、インド、日本、米国などの市場では、より多くの資本が投入され、世界の特定の地域におけるM&A活動が他の地域よりも活発になることが予想されます。歴史的に対外投資を行ってきた中東では、国際投資に関する法整備が進み、インバウンド投資増加への道が開かれつつあります。

Global M&A Trends in Real Estate: 2023 Mid-Year Update image

「アメリカ大陸から中東、ヨーロッパ、そしてアジアに至るまで、ディールは行われ、資本は利用可能であり、ユニークな投資機会も引き続き存在しています。全体的な環境は複雑ですが、これらのテーマは私自身を楽観的にさせ、ディールメーカーを前向きにさせてくれます」

Tim BodnerPwC米国、パートナー、グローバル不動産取引リーダー

2023年下半期の不動産業界におけるM&A見通し

マクロ経済の不確実性が長期化し、規制による制約が強まっていますが、ビジネスリーダーは長期的なアプローチを採用し、持続的な成果をもたらす価値創造に注力することで、こうした循環的な課題を乗り越えています。M&Aに利用可能な資本によって、世界中の優良不動産に対する需要と、特に中東とアジア太平洋地域における新たな機会が、今後6~12カ月のより活発なディール活動につながると楽観的な見通しをしています。

※本コンテンツは、PwC米国が2023年6月に公開した「Global M&A Trends in Real Estate: 2023 Mid-Year Outlook」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

不動産業界における各国のM&A動向については、以下の国・地域を選んでご覧ください。

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