
顧客への提供価値拡大のアイデア創出に向け、組織間連携・協働をどう強めていけるか
各企業には事業の継続的成長が求められ、その実現に向けて顧客体験を強化する重要性が各所でうたわれるなか、競争優位の源泉として「人」の存在がよりクローズアップされてきています。本稿では、組織間連携に焦点を当て、具体的な実践方法などを解説します。
2020-04-23
ビジネス環境は急速に変化しています。当然、カスタマーサービスに求められる役割や期待も、これまで通りの業務効率化によるコスト削減だけではなくなっています。顧客と企業の重要な顧客接点として、「顧客との長期的なつながりの強化」「テクノロジーを活用した従業員の支援と顧客体験の向上」「顧客接点部門のサイロ化からの脱却と一貫性のある顧客体験の提供」、そして、これらを通じた収益への明確な貢献が求められています。
英語字幕版はこちらをご覧ください。Optimizing Customer Engagement(English subtitles)
これまでは、顧客が自身の問題やニーズを認識した後に企業に対して働きかけを行うことで、初めてカスタマーサービスを提供してきました。これは完全に受け身型の対応です。しかし、これでは、自身の問題やニーズを認識できなかった場合、企業との関係性を深めることはできませんでした。結果として、顧客が突然解約を申し出ることにつながっていたのです。
この状況を打開するためには、顧客エンゲージメントを最適化する必要があります。顧客エンゲージメントは、企業が全ての顧客接点で顧客とつながり、時間をかけて関係を構築する方法です。1回だけの顧客とのやり取りの最適化や最大化を意味するものではありません。これまでのあらゆる顧客とのやり取りから予測分析技術を活用して、顧客の潜在ニーズを捉え、あらゆる潜在ニーズに対応するアクション(行動)を検討する必要があります。このアクションは、サポートだけに限ったものではありません。セールスオファーやチャーン抑止オファーも含むものです。また、これらのアクションは、どの時点でも、どのチャネルでも実行すればよいというものではありません。個人の現在の状況に合わせた最適な行動があるはずです。
この最適な行動を分析技術で見極め、従業員に提示することで、従業員は顧客との応対に集中することができます。膨大なデータと格闘することではなく、人間的な応対を提供し、顧客の潜在ニーズを支援することが可能になるのです。
テクノロジーを活用し、CX(customer experience:顧客体験)とEX(employee experience:従業員体験)を融合し、長期的な顧客とのつながりを強化し、収益に貢献するのです。
この取り組みは、カスタマーサービスのみで完結するものではありません。カスタマーサービスはもとより、マーケティング、セールス、そしてAIアシスタントやチャットボット、各種センシングデバイスなどのデジタルチャネルも統合したアクションの最適化を実施していく必要があります。これによって、全ての顧客接点を通じて一貫した顧客体験の提供が可能となります。
これらを実現するためには、Chief Customer Officer(CCO)/Chief Experience Officer(CXO)のリーダーシップが非常に重要となります。まずは、顧客との長期的なつながり強化の役割を担うカスタマーサービスの改革に着手し、全チャネルの最適化を目指すべき時に来ています。
今「その時(Real Time)」に「最適な行動(Next Best Action)」を「最適なチャネルで実行(Best Channel)」するためには、全てのチャネルを横断した意思決定やエンゲージメントの最適化を行う「Customer Engagement Engine」の構築が必要となります。
本レポートで、顧客エンゲージメントの最適化に向けて、対象顧客の変化や最適化するための4つのアクション、提供チャネルおよび効果を示します。そして、「Customer Engagement Engine」の概要を示すとともに、カスタマーサービス部門への導入ステップを解説します。
各企業には事業の継続的成長が求められ、その実現に向けて顧客体験を強化する重要性が各所でうたわれるなか、競争優位の源泉として「人」の存在がよりクローズアップされてきています。本稿では、組織間連携に焦点を当て、具体的な実践方法などを解説します。
急速な技術進歩や顧客の期待の高まりに対し、企業は限られたマーケティング予算で対応しなければならない状況に直面しています。こうした状況のなか、 PwCは、国内企業のマーケティングの現状や課題を把握するべく、売上高500億円以上の国内企業の経営層280名を対象にCxO実態調査を実施しました。各社のマーケティング成熟度の違いなどを分析した結果、マーケティング基盤の現状だけでなく、取り組むべき課題や重視する指標も成熟度の違いによって大きく異なることが浮き彫りになりました。
人間の行動は、さまざまな影響を受け、時には最適解から外れることもあります。本稿では、顧客や従業員などとの関係に焦点を当て、企業が取るべき対応策を提示するとともに、日本市場での可能性について解説します。
デジタルコマースが1990年代に始まって以来、企業による取り組みは進化しており、関連の市場は今後も拡大すると予想されています。本レポートでは、世界の最新動向や事例などを紹介するとともに、日本企業がとるべき対応策を解説します。