インフレ時代の上場企業の資本政策

インフレ時代の上場企業の資本政策
  • 2025-12-12

日本はインフレ時代に入りました。

デフレ時代とは異なり、インフレ時代はモノ・サービスの価格が継続的に上昇します。企業はバランスシートを縮小し危機対応を万全にすること以上に、バランスシートを活用し、レバレッジを効かせて企業価値を最大化することが求められる時代になったと言えるかもしれません。

株式市場は、こうした変化を既に先取りしています。増配や自社株買いで貯まった現金を株主に還元する動きに加え、足元では不動産等のアセットの使い道に注目が集まっています。アクティビスト*がキャッシュリッチ企業からアセットリッチ企業にターゲットを変え始めているのは象徴的な変化でしょう。

投資家だけでなく証券取引所も上場企業に成長を求めています。東京証券取引所(以下、東証)は新興企業や中堅企業に対して上場維持のハードルを上げることで成長を促し、株式市場の活力を高めようとしています。

上場企業の多くは資本政策のアップデートが必要です。本稿では、上場企業が企業価値向上のために取るべき戦略を提示します。

インフレ時代の資本政策は、キャッシュだけでなくアセットの使い道も重要になります。

上場企業は保有するアセットを活用して資本コストを上回る利益を生み出しているのかを株式市場から厳しく問われます。上場企業として成長を続け企業価値を高める未来を目指すのなら、株式市場のルールに則り、エクイティガバナンスを強化する体制作りが必要です。東証がIR体制の整備を求め、アクティビストが株主利益の最大化を迫る中では、資本政策のアップデートは喫緊の経営課題です。

その一方で、非公開化も中期的な成長戦略を遂行する上で有力な選択肢となります。自社の課題解決に腰を据えて取り組み、持続的な成長軌道に乗せることを最上位の経営目標に掲げ、それを実現するためには上場継続にこだわらず非公開化を選ぶ――これは事業の後退や経営の失敗ではありません。非公開化とは、中期的成長のための戦略の策定と実行、資本調達の場としての株式市場の活用、そして株式上場そのものの意義を、企業があらためて問い直すプロアクティブな選択肢なのです。

* 「物言う株主」とも呼ばれる。資産価値に対し株価が著しく低い上場企業の株式を数%~数十%取得し、増益または余剰資本の株主還元を要求し、株価を引き上げた後は株式を売却して短期間で利益を上げる投資手法を取る。

PDF版ダウンロードはこちら

( PDF 1.37MB )

PwC Deals Newsletter

1~2カ月に一度、無料で配信しているeニュースレターです。当社の主要サービス領域であるM&A、事業再編・再生、インフラ構築などに関連する最新情報をお届けします。

執筆者

守山 啓輔

ディレクター, PwCアドバイザリー合同会社

Email


{{filterContent.facetedTitle}}

{{contentList.dataService.numberHits}} {{contentList.dataService.numberHits == 1 ? 'result' : 'results'}}
{{contentList.loadingText}}

{{filterContent.facetedTitle}}

{{contentList.dataService.numberHits}} {{contentList.dataService.numberHits == 1 ? 'result' : 'results'}}
{{contentList.loadingText}}

本ページに関するお問い合わせ