【開催報告】

産業アーキテクチャを見据えスマートモビリティをどう戦い抜くか?

  • 2026-04-27

PwCコンサルティング合同会社 スペシャルアドバイザーでスマートモビリティ総合研究所 副所長の川原英司は、2025年12月10日、株式会社イードが主催するオンラインセミナー「産業アーキテクチャを見据えスマートモビリティをどう戦い抜くか?」に登壇しました。その概要をお伝えします。

産業アーキテクチャを見据えスマートモビリティをどう戦い抜くか?

DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)の進展は、自動車産業を「モビリティ産業」へと本質的に変えようとしています。

自動車のスマート化で生まれる新たな市場

CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)の進展はデジタル化による価値創出(モビリティDX)と環境対応(モビリティGX)が融合した「スマートモビリティ社会」を生み出しています。この社会では自動車のようなハードウェアに加え、エネルギー、金融、通信、資源循環といったサービス領域で新たなエコシステムが形成されます。この市場は、現在の約130兆円から2030年には約390兆円に達すると予測されています。
しかし、市場拡大が日本企業の利益に直結するとは限りません。過去にリチウムイオン電池や半導体市場で日本企業のシェアが低下したように、この成長市場でシェアを落とすリスクが指摘されています。

サービス領域の収益化と新たな設計思想

特に高い成長が見込まれるサービス領域では、多くの企業が個別にサービスを立ち上げたことから、規模の経済が働かず収益化に苦戦しています。利益を上げるには、「儲かる仕組み」としてのアーキテクチャを産業全体で構築することが不可欠です。
その鍵として、叶えるべきユーザーニーズ(ミッション)と、それを実現する機能(ファンクション)を分離して考えるアプローチが必要です。多様なニーズに対し、共通で使える機能を水平分業で効率的に提供する仕組みが重要になります。

図表1:産業アーキテクチャ

「ものづくり」ハードウェアの水平展開と日本の課題

ハードウェア領域では、半導体企業や新興系自動車企業の成功例も踏まえると、自社が持つバッテリーや自動運転技術などを他社や他産業へ展開する「水平展開」が重要になります。これは、日本企業が得意な「良い車を作って売る」ビジネスモデルからの転換を意味します。
一方で、サービス領域における日本の大きな課題は、データ連携基盤の未整備です。各社がデータを囲い込む傾向が強く、効率的なサービス開発を阻害しています。

オペレーションに日本企業の強みを見いだす

こうした状況下ですが、日本企業は高品質なハードウェア製造能力と、それを活用したきめ細かい「オペレーション」の構築・運用に強みがあります。データ連携基盤を整備・活用し、この強みを発揮することが勝ち筋になると考えられます。「良いものを作れば売れる」時代は終わり、新たな産業アーキテクチャの中で自社の役割を再定義することが、日本のモビリティ産業に求められています。

主要メンバー

川原 英司

スペシャルアドバイザー, PwCコンサルティング合同会社

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