SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を取り巻く事業環境は、今大きな転換点を迎えています。これまでサステナビリティ対応をリードしてきた欧州で発表された「ドラギレポート」は気候変動対策と産業競争力の両立という現実的な課題を示し、地政学リスクの高まりも先行きの不確実性を増大させています。これらはSXの「後退」ではなく、理想論を超えて経済合理性も踏まえた「現実的な実行・実装」が求められるサステナビリティ新時代への移行を意味します。こうした中、多くの企業が規制対応やサプライチェーン変革、投資効果の可視化といった課題への対応に迫られていますが、新時代においては、SXの本質を見抜き、環境・社会価値と経済合理性を真に両立させるビジネスを目指すことが求められます。
本書では、PwC Japanグループの前著『SXの時代 究極の生き残り戦略としてのサステナビリティ経営』、『2030年のSX戦略 課題解決と利益を両立させる次世代サステナビリティ経営の要諦』で示した潮流や指針からさらに実践段階に踏み込み、複雑化するSX課題に対する明確な対応策として、「ホリスティックアプローチ」と「システミックアプローチ」という新たな方法論を提示します。前者は環境・社会・経済の3要素を統合的に捉え全体最適を図る評価および意思決定手法、後者は組織の枠を超えエコシステム全体で変革を実現する手法です。さらに、サステナビリティ経営を強化するM&A戦略や、情報開示の潮流と対応といった具体的手法から、自動車・電機・建設・食品・化学などの5つの業界における先進事例まで詳述しています。
日本企業には、国際ルールを実直に遵守する姿勢に加え、現場力や技術力、高度に多様化した産業構造、経営層の変革意欲といった強みがあります。本書のアプローチは、その強みを活かし、経済的価値と環境・社会的価値を両立させる好循環ビジネスを創出する方法論を示します。サステナビリティ新時代において、日本企業が価値を最大化し、世界のSXをリードしていく道筋を提示するものとして本書を活用いただくことを願っています。
PwC Japanグループは、サステナビリティに関連した戦略から新規ビジネス創出、オペレーション、トランスフォーメーション、リスク対応、開示・エンゲージメントといった幅広い経営アジェンダを包括的かつ実践的なアプローチで支援します。
サステナビリティの知見とサステナビリティに関する各国法規制や国際ガイドラインを熟知したメンバーが企業の情報開示を支援します。
PwCコンサルティングの「ソーシャル・インパクト・イニシアチブ」は、社会課題の解決を第一義に捉え、社会課題の構造を解き明かし、価値観を共有するステークホルダーとともにコレクティブインパクトの創出を目指しています。
PwC Japanグループでは、再生可能エネルギーや脱炭素経営、会計、税務などの専門知識を有するプロフェッショナルが「カーボンニュートラルソリューショングループ」として組織を横断して活動しています。