税務判例検討:株式譲渡対価の調整(減額)と損害賠償(和解に基づいて支払われる金員の法的性質)(東京高判令和3年3月11日判決)

2021-07-30

PwC Legal Japan News
2021年7月

本ニュースレターでは、令和3年3月11日付けで、東京高裁において判断が下された、株式譲渡契約における補償金の取扱いに係る裁判例(東京高判令和3年3月11日判例集未登載。以下「令和3年東京高判」又は「本件判決」といいます)を紹介します。

株式譲渡等により企業買収・企業統合を実行する際には、その手法の選定の際の課税関係の詳細な検討に加え、対象会社グループに係る税務リスクの当事者間での適切な分担等の観点からの株式譲渡契約等の検討が必要です。その検討事項の一つとして、いわゆる表明保証条項への違反等に基づき売主が買主へ支払う補償金の性質が譲渡価格の調整(減額)である旨を当事者間で確認する条項(以下「譲渡価格調整確認条項」といいます)があります。このような条項を設ける背景は、当該補償金を譲渡価格の調整として受領する場合に、買主(法人税法2条3号所定の「内国法人」(以下「内国法人」といいます)を想定)の課税関係において、当該補償金の額を益金の額に算入せず、同額を対象会社株式の取得価額から減額するという処理(以下「取得価額減額処理」といいます)を想定しているというところにあります。

令和3年東京高判は、表明保証違反に基づく補償金の取扱い、より具体的には取得価額減額処理の適用の可否が問題となった事案に関する数少ない裁判例であるため、その裁判所の判断(納税者敗訴:本件における事実関係の下では、取得価額減額処理を否定)の概要を説明し、当該判決が実務に与える影響について検討することとします。

  1. 事案の概要
  2. 争点
  3. 判旨
  4. 令和3年東京高判(本件判決)の検討と実務への示唆

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執筆者

北村 導人

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パートナー, PwC弁護士法人

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黒松 昂蔵

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