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2023-02-01
棚卸資産は事業経営の根幹となる要素であり、特に消費財・小売業においては在庫品目が多いことが特徴です。
今回は物流コスト、リベートなどの棚卸資産に関する論点、および、開発コスト、ブランド(商標権)、広告宣伝などのその他の支出より「棚卸資産の評価―売価還元法」「予想される返品に対する棚卸資産引当金」「減耗に対する棚卸資産引当金」「棚卸資産の評価―後発事象の検討」について解説します。
小売業者Cは売価還元法を用いて棚卸資産を評価しています。棚卸資産の価値の計算に使用される原価率は、過去4週間で稼得した売上総利益に基づいているため、永続的な値引きを織り込んでいます。
| 当初の棚卸資産原価 | CU60 | 過去4週間の原価率 | 67% |
| 当初の小売価値 | CU100 | 現在の小売価値 | CU90 |
小売業者Cはどのように売価還元法を適用すべきでしょうか?
IAS第2号は、棚卸資産を原価と正味実現可能価額のいずれか低い方の金額で測定することを要求しています。売価還元法は一部の小売業者が棚卸資産の評価に用いる仕組みであり、その評価は期末棚卸資産の小売価値に対する原価率に基づいています。IAS第2号第22項は、原価の近似値として売価還元法による棚卸資産評価を認めており、原価率には永続的な値引きが含まれるべきであると言及しています。
小売業者Cは、売価還元法を用いて、CU60(現在の小売価値 × 67%)で棚卸資産を評価しなければなりません。この結果、計算に使用される現在の小売価値と原価率の双方に永続的な値引きが含まれるため、原価と近似する棚卸資産評価となります。原価率は永続的な値引きを含まなければなりません。このような値引きを除外すると、正味実現可能価額が当初の取得原価を上回るのに棚卸資産が当初の取得原価を下回るように減額されてしまいますが、これはIFRSでは認められないためです。
小売業者Aは、単価CU50で商品を販売しています。顧客には、購入後90日以内であれば、理由の如何にかかわらず、追加の手数料なしに、商品を返品して全額返金を受ける権利があります。各商品の原価はCU40です。小売業者Aは期待値法に基づき売上の10%が返品されると見積もっており、返品率は10%を超えない可能性が非常に高いと考えています。
IFRS第15号B21項に従い、小売業者Aは返品が見込まれない商品についてのみ収益を認識します。販売する商品1,000単位ごとに、小売業者Aは、収益CU45,000(CU50 × 商品900単位)、売上原価CU36,000(CU40 × 商品900単位)、および返金義務に対する負債CU4,500(販売価格の10%)を認識します。また、予想される返品に対してCU3,600(CU40 × 商品90単位)の資産を認識します(売上原価に同額の調整を行います)。
小売業者Aは、棚卸資産の減損を検討する際に、返品が予想される商品を考慮する必要があるでしょうか?
はい。小売業者Aは減損に関して返品が予想される棚卸資産を考慮する必要があります。IFRS第15号B25項は、資産を、当該商品の販売時の帳簿価額から当該商品の回収のための予想コストおよび予想される価値の下落を控除した額で当初測定することを要求しています。資産として計上される金額は、返金負債の変動および資産の減損を示す可能性のある状況の変化について、見直さなければなりません。
返品時に返品された商品の価値が減少している(またはゼロになる)と当該企業が予想する場合、資産が直ちに減損処理される可能性があります。例えば、棚卸資産が返品される時点で期限切れになると予想される、または返品される時点で棚卸資産が「季節外れ」になると予想されることから、原価以下での販売または廃棄が必要となる可能性がある場合、こうしたことが起こり得ます。
小売業者Bは盗難やその他の損失を通じて減耗を経験しています。実績によれば、全在庫の約0.5%が減耗の対象であることを示しています。
小売業者Bはどのように減耗を会計処理すべきでしょうか?
棚卸資産は、原価と正味実現可能価額とのいずれか低い方の金額で測定します[IAS第2号第9項]。発生した減耗は売上原価として会計処理しなければなりません。経営者は実際の数量に基づいて棚卸資産を測定しなければならず、その数値は最後の実地棚卸以降に発生した減耗を反映するように減額しなければなりません。したがって、減耗は最後の実地棚卸以降に発生した減耗を反映して見積もらなければなりません。企業は、見積もられた減耗がIAS第1号第125号で要求される追加開示を必要とする重要な見積りであるかどうかを検討しなければなりません。
C社は、特定の部品を大手自動車メーカーに供給しています。同社は、期末日現在、帳簿価額CU1百万の当該部品の棚卸資産を保有していました。しかし、期末日後に自動車メーカーが一部のモデルチェンジを行ったため、棚卸資産が陳腐化しました(部品は別のモデルへ転用することができませんでした)。
C社は、期末日現在、棚卸資産に対して引当金を認識すべきでしょうか?
企業は、貸借対照表日に既に存在していた状況について、期末日後により有用な情報を入手したかどうかを判断しなければなりません[IAS第10号第3項]。これは、修正を要する情報と修正を要しない情報とを区別するためであり、判断および事実と状況の分析が必要です。IAS第10号は、貸借対照表日に認識された金額の修正を要する事象の例を示しています。このような例の一つは、IAS第10号第9号(b)に記載されている貸借対照表日後における棚卸資産の販売状況で、貸借対照表日における正味実現可能価額の情報を提供する例とされています。報告日時点に把握していたものより有用な情報がその後に入手された場合には、報告日後に正味実現可能価額の評価を見直さなければなりません。
この場合、企業は、モデルチェンジを行うという自動車メーカーの決定が報告期間の末日時点で存在した条件であったかどうかを評価しなければなりません。その評価を行うに当たり、企業は、モデルチェンジを行うという顧客の決定が報告日時点で入手可能な情報に基づくものであり、そのため、そのモデルチェンジが貸借対照表日後まで完了しなかったとしても、報告期間の末日時点で合理的に予想できたかどうかを検討しなければなりません。その場合、引当金は期末日現在の棚卸資産の帳簿価額に反映されることになります。企業がモデルチェンジを合理的に予想できなかった場合、そのモデルチェンジは修正を要しない後発事象となります。顧客の計画が仕入先企業によって予測できたかどうかの判断が必要となる可能性があります。棚卸資産への影響は、重要な範囲での開示が必要になると考えられます。
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