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2023-01-31
棚卸資産は事業経営の根幹となる要素であり、特に消費財・小売業においては在庫品目が多いことが特徴です。
今回は物流コスト、リベートなどの棚卸資産に関する論点、および、開発コスト、ブランド(商標権)、広告宣伝などのその他の支出より「棚卸資産への間接費の配賦」「棚卸資産へ間接費を配賦する際の『正常生産能力』の決定」について解説します。
A社に関する情報は以下のとおりです。
A社は、正常生産能力に基づきどのように棚卸資産へ間接費を配賦すべきでしょうか?
IAS第2号は、棚卸資産の原価には、購入原価、加工費、および棚卸資産が現在の場所と状態に至るまでに発生したその他のコストのすべてを含めなければならないと定めています。A社は、固定製造間接費と変動製造間接費を、それぞれ1時間当たりCU0.2とCU0.4の割合で各生産単位に配賦する必要があります。
固定製造間接費配賦率:
= 固定製造間接費 ÷ 正常生産能力の労働時間
= CU1,500 ÷ 7,500
= 1時間当たりCU0.2
したがって、当期に生産された6,500単位に配賦される固定製造間接費(1時間当たり1単位)は、6,500 × CU0.2 = CU1,300となります。発生した間接費のうち配賦されなかった残りのCU200は、費用として認識されます。
生産水準が低下しても、正常生産能力を用いて固定製造間接費を配賦することによって、棚卸資産に対する固定製造間接費の配賦額は増加しません。
変動製造間接費配賦率:
= 変動製造間接費 ÷ 当期の実際の労働時間
= CU2,600 ÷ 6,500
= 1時間当たりCU0.4
上記の配賦率を用いることによって、すべての変動間接費が当期に生産された製品に配賦されます。
1単位を生産するのに1時間を要するため(6,500時間/6,500生産単位)、棚卸資産の取得原価の一部として認識される固定製造間接費および変動製造間接費の合計額は、以下のとおりとなります。
= 期末棚卸資産の単位数 × 1単位を生産するのに要する時間数 × (固定製造間接費配賦率 + 変動製造間接費配賦率)
= 2,300 × 1 × (CU0.2 + CU0.4) = CU1,380
残りのCU2,720((CU1,500 + CU2,600) – CU1,380)は、以下のように、損益計算書に費用として計上されます。
| 売上原価に含まれる製造間接費(先入先出法による)(6,500 – 2,300) = 4,200 × CU0.6 | 2,520 |
| 配賦しなかった固定間接費(これも売上原価に含まれる) | 200 |
| 合計 | 2,720 |
A社はビジネスウェアを製造しています。最近の市況を受けて、A社の製品に対する需要は大幅に減少しています。そのため、A社は、今後12カ月間は製造能力の50%で稼働し、その後はフル稼働を再開させると予測しています。これは、A社が事業を展開している地域の他のほとんどのビジネスウェア製造業者の動向と一致しています。
A社は、今後12カ月間の固定製造間接費を削減することができず、また、固定製造原価の単価の上昇を補うために製品の販売価格を引き上げることもできませんでした。
「正常生産能力」を決定する際には、どのような要因を考慮すべきでしょうか?
IAS第2号第13項では、固定製造間接費が生産設備の正常生産能力に基づいて加工費に配賦されることを要求しています。仕損に係る材料費、労務費またはその他の製造コストのうちの異常な金額は、発生した期間の費用として認識します[IAS第2号第16項]。したがって、未使用の生産能力のコスト、および仕損に係る材料費、労務費またはその他の製造コストに相当する追加コストは、発生した期間の損益に償却しなければなりません。
IAS第2号は「正常生産能力」を決定する際に考慮すべき要素を詳細に規定していません。PwCでは、当該コストが「正常」生産能力の一部を構成しない場合、また企業がフル稼働している設備を有していない場合には、未使用の生産能力のコストは当期において償却すべきであると考えています。何が「正常」であるかを決定する際には、以下の要因が考慮される場合があります。
A社は、今後12カ月間において生産能力を減少させて操業すると見込んでいるにもかかわらず、生産設備の正常生産能力および生産設備の操業に関する長期計画を変更していません。他のほとんどのビジネスウェア製造業者も需要減少のために減産を決定したという事実も、この件に影響を与えません。したがって、各生産単位に配賦する固定製造間接費の額は、生産水準の低下や遊休設備の存在によって増額すべきではありません。配賦しなかった固定製造間接費は、発生した期間の費用として認識されます。
経営者は、間接費配賦率を変更すべきか、またはIAS第1号に従って追加コストを資産計上すべきか、純損益に費用計上すべきかを評価する際に行われた重要な判断および見積りを開示しなければなりません。企業はまた、資産が遊休化する可能性がある場合や資産が属する事業を中止またはリストラクチャリングする計画がある場合には、事業慣行の変化が減損の兆候となる可能性があるかどうかを検討しなければなりません。
需要の減少が市場の永続的な特徴となること、またA社が競合他社と同様に中長期的に固定製造間接費を削減できないことが、時間の経過とともに顕在化する可能性があります。この結果、正常生産能力と見なされるものが変化する可能性があります。
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