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2023-01-30
棚卸資産は事業経営の根幹となる要素であり、特に消費財・小売業においては在庫品目が多いことが特徴です。
今回は物流コスト、リベートなどの棚卸資産に関する論点、および、開発コスト、ブランド(商標権)、広告宣伝などのその他の支出より「物流コストの会計処理」「仕入先へ支払うリベートおよびその他の変動対価」について解説します。
小売業者Aは、完成品を製造業者から購入し、これらの商品を小売店舗で最終顧客に販売しています。同社が必要とする運送と保管の双方が同社の流通網に備えられています。保管コストには、使用権資産の減価償却費、リース金利、梱包・荷役費用、水道光熱費が含まれます。
小売業者Aは、物流コストおよび保管コストを棚卸資産に資産計上できるでしょうか?
IAS第2号第10項では、棚卸資産の原価には、原材料の原価およびそれらの原材料を完成品に加工するためのコストが含まれると規定されています。これには、購入価格、ならびに現在の場所および状態に至るまでに必要なその他のすべてのコストが含まれます。この場合、製造業者から小売店舗へ商品を運送するために発生したコストは棚卸資産の原価に含めることができると小売業者Aが結論付けるのは、合理的であると考えられます。これは、特定の場所において適切な条件で商品を販売するためには運送が不可欠であるためです。
保管コストは、一般的に、製造工程において不要と見なされるため、費用計上されます[IAS第2号第16項(b)]。
保管作業は、棚卸資産を現在の場所に至るまでに必要なサプライチェーンの不可避な部分を構成する(そして、棚卸資産の取得原価に含めて資産計上される)可能性がありますが、そのようなケースは非常に限定的です。当初の販売地点への商品の移動を容易にするために必要な短期間の中間保管である場合がこれに該当します。
どのコストが棚卸資産として資産計上されるかの評価には、どのコストが棚卸資産を現在の場所および状態に至らせるまでに必要かを決定するための判断が必要になる場合があります。例えば、
どのコスト要素が棚卸資産を現在の場所および状態に至らせるまでに必要なコストであるかの判断は、複雑なサプライチェーンおよび/または複数の物流チャネルの状況においては困難な場合があります。
企業が費用を機能別に分析する場合、IAS第2号第38項では、「売上原価」には、過去に棚卸資産の測定に含まれていて現時点では販売されている原価や、棚卸資産の製造原価のうちの未配賦製造間接費および異常発生額が含まれると規定しています。
小売業者Bは、再販用の商品を製造業者から単価CU100で購入しています。小売業者Bは、各暦年(1月1日から12月31日)の間に購入された商品の数量に基づき、製造業者からリベートを受け取ります。リベート契約の概要は以下のとおりです。
シナリオ1-リベートは期中に購入された全単位に適用される
| 全単位に対するリベート | 平均単価 | |
| 0–100,000単位 | 0% | CU100 |
| 100,000–500,000単位 | 10% | CU90 |
| 500,000単位超 | 20% | CU90 |
シナリオ2-リベートは段階的に設定され、基準値を超える単位のみに適用される
| 全単位に対するリベート | 平均単価 | |
| 0–100,000単位 | 0% | CU100 |
| 100,000–500,000単位 | 10% | CU92(500,000単位を購入した場合) |
| 500,000単位超 | 20% | CU86(1,000,000単位を購入した場合) |
小売業者Bは、3月31日現在の年次財務諸表を作成しています。20X0年1月1日から3月31日までの期間に、小売業者Bは200,000単位を購入しました。20X0年4月1日から12月31日までの期間に、小売業者はさらに600,000単位の購入を見込んでいます。
小売業者Bは、20X0年3月31日までに購入された200,000単位の棚卸資産の取得原価をどのように測定すべきでしょうか?
IAS第2号は、変動リベートの認識および測定原則に関する具体的な指針を定めていません。リベートからのキャッシュ・フローに対する権利は、将来の購入を条件としており、そのため、金融資産には相当しません。他のIFRS基準における資産認識に関する一般原則は、予想キャッシュ・フロー(加重平均法または期待値アプローチのいずれかに基づいて見積もられる)の概念に依拠しています。したがって、これらの概念を棚卸資産の取得原価の見積りに適用することが適切であると考えられます。IAS第34号の設例B23は、取扱数量に基づくリベート、割引――および原材料、賃金、あるいはその他の購入した財およびサービスの価格の契約による変更――は、支払側と受取側の双方にとってそれらが稼得されるか実行される可能性が高ければ、期中報告期間に見積計上することとしており、このアプローチを裏付けています。
何が発生する可能性が高いかの決定には多くの要素に基づく判断が必要となり、類似商品に関する企業の実績や、企業の将来の購入能力に影響を与える可能性のある、企業の影響力の及ばない要素などを考慮します。したがって、基準値がほぼ満たされている場合にのみリベートが稼得される可能性が高くなるケースもあるかもしれません。
受け取るリベートの金額の見積りは、判断を要することが多くあります。この判断が重要な場合には、IAS第1号第122項に従って開示を行わなければならず、さらにIAS第1号第125項に従って見積りに関する開示が要求されます。
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