{{item.title}}
{{item.text}}
Download PDF - {{item.damSize}}
{{item.text}}
2022-10-23
消費財・小売・流通業における会計論点の中で、売上収益は最も重要な財務指標の1つであり、論点の多い会計領域でもあります。
収益認識においては、売上取引の内容を整理し、該当する論点を適切に把握することが重要です。
今回は、顧客に提供されたインセンティブおよびその他の類似の取引による収益認識の中から「顧客インセンティブ - 値引きクーポン」「顧客インセンティブ - 購入なく提供される値引き前提」「カスタマー・ロイヤルティ・プログラム」「他の当事者のみがロイヤルティ・ポイントを引き換える場合」「複数の当事者がロイヤルティ・ポイントを引き換える場合」について解説します。
小売業者Xは、総額がCU1,500を超える財を購入した顧客に値引クーポンを提供する販促キャンペーンを開始しました。値引クーポンは、キャンペーン直後の90日間、一定の商品の購入に対して50%の値引きが付与されるものです。
小売業者Xは、キャンペーン期間中に総額CU100,000の財を購入した高額消費者に、50%値引クーポンのうち60枚を発行しました。過去の傾向に基づいて、小売業者Xは次のことを期待しています。
小売業者Xは、クーポンが利用された場合でも、取引のマージンをプラスにできると結論付けました。したがって、小売業者Xは、IAS第37号に従って認識すべき不利な契約を有していません。
小売業者Xは、顧客に発行された値引クーポンをどのように会計処理すべきでしょうか?
追加的な財またはサービスを取得する顧客のオプションには、販売インセンティブ、カスタマー・ロイヤルティ・ポイント、契約更新オプション、およびその他の値引きが含まれます。オプションが顧客に重要な権利を提供している場合には、当該契約の中で顧客は2つのもの、すなわち、当初購入した財またはサービスおよび将来において無償での提供または値引きが予定されている財またはサービスに対する権利を購入し、実質的に将来の財またはサービスに対して前払いをしています。[IFRS第15号付録B第B40項]
小売業者Xは、総額CU100,000の財を販売し、同時に、推定75%の顧客が将来の購入に利用する50%値引クーポンを顧客に付与しました。値引クーポンは重要な権利を表すため、契約上は独立した履行義務として会計処理されます。
小売業者Xは、個々の契約にIFRS第15号を適用する場合と比較して財務諸表に対する影響に重要な相違は生じないと合理的に見込まれることから、ポートフォリオ・アプローチを使用することを決定しました。
IFRS第15号第74項にしたがって、履行義務への取引価格の配分は独立販売価格の比率に基づいて行われます。重要な権利の独立販売価格の見積りは、顧客がオプションを行使することなしに受けることのできる値引き(すなわち、他の顧客にも利用可能な値引き)およびオプションが行使される可能性を調整した、顧客が権利を得ることになる値引きを反映したものでなければなりません。
ポートフォリオによるオプションの独立販売価格の決定: 取引価格の配分: 当初購入時の仕訳: クーポンの引き換えに関する仕訳: |
企業は、クーポンの引き換えに関して未行使部分の金額に対する権利を得ると見込んでいるかどうかを判断するため、変動対価の制限に関するガイダンスを考慮しなければなりません。企業が未行使部分の金額に対する権利を得ると見込んでいる場合には、企業は見込まれる未行使部分の金額を、顧客が行使する権利のパターンに比例して(すなわち、クーポンが引き換えられるにつれて)収益として認識します。企業が未行使部分の金額に対する権利を得ると見込んでいない場合には、見込まれる未行使部分の金額を、顧客が権利を行使する可能性がほとんどなくなった時に収益として認識します。未行使部分の見積りの評価は、報告期間ごとに更新しなければなりません。未行使部分の見積りの変動は、引き換えが見込まれる残りのクーポンを反映するように契約負債を調整することで会計処理しなければなりません。
かなり長期間にわたるクーポンや失効期限のないクーポンもあることから、クーポンに関する未行使部分の見積りとその見積りの更新は特に複雑なものとなる可能性があります。これらの項目の会計処理には、報告期間ごとに見積りを更新するために、かなりの量のデータの追跡が必要となることが多いです。経営者は、未行使部分の見積りの更新(例えば、顧客による引き換えが見込まれるクーポンの数の更新)の際には、当初に顧客のオプションに配分された独立販売価格を調整してはなりません。
衣料品小売業者Xは、全国紙にクーポンを掲載し、小売業者Xのどの店舗においてもCU50を超える購入につき5%の値引きを提供するという販促キャンペーンを開始しました。クーポンの影響を考慮しない場合、同様の取引における小売業者Xのマージンは30~40%です。したがって、小売業者Xは、IAS第37号に従って認識すべき不利な契約はないと判断しました。
小売業者Xは、このクーポンをどのように会計処理すべきでしょうか?
クーポンの発行によって、顧客との拘束力のある契約が発生するわけではありません。これは、顧客がCU50超の購入を行って初めて発生します。小売業者Xは、クーポンの配布に関して財務諸表に負債を認識すべきではありません。
小売業者Xは、顧客がクーポンの引き換えを行った時にのみ、取引価格の調整として値引クーポンを会計処理すべきです。
小売業者Yは、顧客に発行されたロイヤルティ・ポイントをどのように会計処理すべきでしょうか?
この取引において、小売業者Xは以下の履行義務について約束しています。
小売業者Xは、個々の契約にIFRS第15号を適用する場合と比較して財務諸表に対する影響に重要な相違は生じないと合理的に見込まれることから、ポートフォリオ・アプローチを使用することを決定しました。
IFRS第15号第74項にしたがって、履行義務への取引価格の配分は独立販売価格の比率に基づいて行われます。重要な権利の独立販売価格の見積りは、顧客がオプションを行使することなしに受けることのできる値引き(すなわち、他の顧客にも利用可能な値引き)およびオプションが行使される可能性について調整した、顧客が権利を得ることになる値引きを反映したものでなければなりません。
オプションの独立販売価格の算定: 取引価格の配分: 当初購入時の仕訳: |
企業は、ロイヤルティ・ポイントの引き換えに関して未行使部分の金額に対する権利を得ると見込んでいるかどうかを判断するために、変動対価の制限に関する指針を考慮しなければなりません。企業が未行使部分の金額に対する権利を得ると見込んでいる場合には、企業は見込まれる未行使部分の金額を、顧客が行使する権利のパターンに比例して(すなわち、ロイヤルティ・ポイントが引き換えられるにつれて)収益として認識します。企業が未行使部分の金額に対する権利を得ると見込んでいない場合には、見込まれる未行使部分の金額を、顧客が権利を行使する可能性がほとんどなくなった時に収益として認識します。
未行使部分の見積りの評価は、報告期間ごとに更新しなければなりません。未行使部分の見積りの変動は、引き換えが見込まれる残りのロイヤルティ・ポイントを反映するように契約負債を調整することで会計処理しなければなりません。
かなり長期間にわたるカスタマー・ロイヤルティ・プログラムや失効期限のないカスタマー・ロイヤルティ・プログラムもあることから、カスタマー・ロイヤルティ・プログラムに関する未行使部分の見積りとその見積りの更新は特に複雑なものとなる可能性があります。これらのプログラムの会計処理には、報告期間ごとに見積りを更新するために、かなりの量のデータの追跡が必要となることが多いです。経営者は、未行使部分の見積りの更新(例えば、顧客による引き換えが見込まれるロイヤルティ・ポイントの更新)の際には、当初に顧客のオプションに配分された独立販売価格を調整してはなりません。
小売業者Yは、航空会社Bと提携したカスタマー・ロイヤルティ・プログラムに参加しており、顧客は小売業者Yでの財購入にCU1を支払うごとにエアトラベル・ポイントを1ポイント付与されます。プログラムの参加メンバーは、ポイントを航空会社Bの航空券とのみ引き換えが可能です。
見積独立販売価格の比率に基づいて各ポイントに配分される取引価格はCU0.01です。小売業者Yは、1ポイントの引き換えごとに、航空会社BにCU0.009を支払います。
小売業者Yは、当期において合計CU1百万の財を販売し、1百万ポイントを付与します。小売業者Yは、発行ポイント数(1百万)に1ポイントあたりの配分された取引価格(CU0.01)を乗じて算出した取引価格CU10,000を、ポイントに配分します。
小売業者Yは、その履行義務が航空会社Bによる顧客へのロイヤルティ・ポイントの提供を手配することであるため、IFRS第15号B34項からB38項の指針に従い、自社は本取引における代理人であると結論づけています。
小売業者Yは、顧客に発行されたロイヤルティ・ポイントをどのように会計処理すべきでしょうか?
小売業者Yは、自社をロイヤルティ・ポイントの履行義務の代理人であると結論づけているため、ポイントの引き換えごとに留保する手数料としての収益を測定することになるでしょう。手数料は、ポイントに配分される取引価格(CU10,000)と航空会社Bに支払われるCU9,000との差額であるCU1,000です。小売業者Yは、顧客にポイントを譲渡する際(小売業者Yでの財購入時)に手数料を認識します。なぜなら、このとき小売業者Yは、航空会社Bが顧客に提供するロイヤルティ・ポイントを手配するという約束を充足しているからです。
小売業者Zは、ホテルCと提携したカスタマー・ロイヤルティ・プログラムを提供しており、顧客は小売業者Zでの財購入にCU1を支払うごとに、カスタマー・ロイヤルティ・ポイントを1ポイント付与されます。
プログラムの参加メンバーは、ポイントをホテルCでの宿泊や、将来の小売業者Zでの購入時の値引きとして引き換えが可能です。
見積独立販売価格の比率に基づいて各ポイントに配分される取引価格はCU0.01です。
小売業者Zは、当期において合計CU1百万の財を販売し、1百万ポイントを付与します。小売業者Zは、発行ポイント数(1百万)に1ポイントあたりの配分された取引価格(CU0.01)を乗じて算出した取引価格CU10,000を、ポイントに配分します。小売業者Zは、顧客がホテルCとのポイント引き換えを行わないことを選択した場合、財またはサービスを移転するために待機する義務があるため、履行義務を充足していないと結論づけています。
小売業者Zは、顧客に発行されたロイヤルティ・ポイントをどのように会計処理すべきでしょうか?
小売業者Zは、履行義務を満たしていないため、ポイントの発行時点に配分されたCU10,000の収益を認識すべきではありません。ポイント残高は契約負債として計上されることになります。小売業者Zは、顧客が小売業者Zとポイントを引き換えた時点、または義務がホテルCに移転した時点、もしくはポイントの失効時に、収益を認識します。顧客がホテルCとのポイント引き換えを選択する場合には、小売業者Zは、当該取決めにおける本人であるか代理人であるかを評価する必要があります。
{{item.text}}
{{item.text}}