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2022-10-03
消費財・小売・流通業における会計論点の中で、売上収益は最も重要な財務指標の1つであり、論点の多い会計領域でもあります。
収益認識においては、売上取引の内容を整理し、該当する論点を適切に把握することが重要です。
今回は財の販売による収益認識の中から「委託販売契約」「ギフトカードの販売」「製品保証の延長」について解説します。
X社は、チーク材家具を小売業者Yに販売しており、小売業者Yは委託販売ベースで園芸用品店を経営しています。製品は、小売業者Yの園芸用品店で直ちに販売されます。X社は、製品が最終顧客に販売されるまで、製品の法的所有権を保持します。小売業者Yは、製品が販売されるまでX社に対する支払義務を負わず、未販売の製品はすべてX社に返品することができます。X社は、未販売の製品を取り戻す、または別の小売業者に移転する権利も保持しています。小売業者Yが製品を最終顧客に販売した時点で、X社はそれ以上の義務を負わず、小売業者Yはそれ以上の返品の権利を有しません。
X社は、どの時点で収益を認識するでしょうか?
X社は、小売業者Yが製品を最終顧客に販売した時点でのみ収益を認識すべきです。
小売業者Yは、X社から製品を引き渡された時点で、製品を物理的に占有しますが、製品の支配は有していません。小売業者Yは製品を販売する権利のみを有し、最終顧客への販売が発生するまでは、製品に対する無条件の支払義務を負いません。X社は、小売業者Yの未販売の製品を取り戻す権利も保持しています。IFRS第15号B78項の観点から、これは、この契約が委託販売契約であることを示すものです。
そのため、IFRS第15号B77項およびB78項のガイダンスに従い、X社は、製品を小売業者Yに引き渡す時点では収益を認識しません。
X社は、自社の顧客が小売業者Yなのか、最終顧客なのかについて評価する必要があります。X社の顧客が最終顧客である(つまり、小売業者Yが代理人として行動している)場合、X社は、最終顧客から受取った金額を収益として認識し、小売業者Yが受領する金額を手数料費用として認識することになります。X社の顧客が小売業者Yの場合、X社は、小売業者Yから受取った金額を収益として認識することになります。
X社は、ギフトカードを販売しています。ギフトカードは、購入日から1年間有効で、X社の直販店でのみ交換可能です。さらに、顧客は、使用しなかった分または未使用ギフトカードについて、現金での払い戻しを受けることはできません。
X社は、過去の情報に基づき、ギフトカードの価値の10%は使用されずに失効すると見込んでいます。1年を過ぎて使用されなかった金額分はX社が保持し、顧客による権利放棄がなされます。X社には、未使用のギフトカードを最終顧客または第三者(例えば、政府機関)に送金する義務はありません。
20x1年8月31日現在、60人の顧客がX社からCU100のギフトカードを購入しました。20x1年12月31日現在、そのうちの36人が、総額CU3,600分のギフトカードをX社の製品と全額交換しました。
X社が収益を認識すべき時期は、ギフトカード販売時でしょうか、それとも交換時でしょうか?
X社は、ギフトカードの交換時に収益を認識する必要があります。顧客の企業に対する返金不能の前払は、将来において財またはサービスを受け取る権利を顧客に与えます。X社は、顧客の未行使の権利に帰属する受取対価について契約負債(収益ではない)を認識しなければなりません。しかしながら、顧客がすべての契約上の権利を行使しない場合もあり、その未行使の権利は、多くの場合「未行使部分」と呼ばれます[IFRS第15号付録B B45項]。
X社は未行使部分の金額に対する権利を得ると見込んでおり、未行使部分の見込み額を、顧客が行使する権利のパターンに比例して収益として認識します[IFRS第15号付録B B46項から第B47号]。X社は、未行使部分からの収益を、顧客が行使する権利の実績パターンに比例して見積もるための、十分な過去情報を持っていると評価しています。この評価にあたり、X社は、10%の未行使部分を認識することが、重大な戻入れが発生しない可能性が非常に高い収益の金額のみを認識することになると判断しました。
ギフトカードが購入された時に、X社は以下の仕訳を行う必要があります。
借方:現金(B/S)CU6,000
貸方:契約負債-ギフトカード(B/S)CU6,000
CU6,000分のギフトカードに対する未行使部分の見積額はCU6,000です。顧客によって交換が見込まれる価値はCU5,400です。20X1年12月31日までの期間において、X社はCU3,600の購入を、以下の方法で認識する必要があります。
借方:契約負債 CU4,000
貸方:収益 CU3,600(製品の販売価格を反映)
貸方:未行使部分からの収益 CU400(CU3,600 ÷ CU5,400 × CU600)
未行使部分からの収益は、交換されたギフトカードの価値÷ギフトカードの価値の合計×未行使部分からの収益の見込み合計額という計算式で算出されます。未行使部分の見積りは、通常、各報告期間の末日に更新され、必要に応じて修正されます。
ギフトカードを定期的に販売し、有効期限が1年以上または無期限のギフトカードを販売する企業の場合、未行使部分の算定はさらに複雑になる可能性があります。IFRS第15号は、財務諸表に与える影響が、IFRS第15号を個々の契約に適用する場合と比較して重要性のある相違を生じないであろうと企業が合理的に見込んでいる場合には、実務上の便法として、ポートフォリオによるアプローチを用いることを企業に認めています。
ギフトカードの交換時期は顧客の裁量で決まるため、ギフトカードに関する前払は、通常、重大な金融要素を含む取引になるとは見なされません[IFRS第15号第62項(a)]。
小売業者Xは、製造上の欠陥に対する製造業者の1年保証付きの電気製品を販売しています。小売業者Xは、また、製造業者の保証期間終了後さらに3年間をカバーする延長保証の購入オプションを、電気製品を販売した日に顧客に提供しています。
製品の販売価格はCU500であり、延長保証料はCU120です。
この契約は、「製造業者、販売業者または小売業者が、顧客への財またはサービスの販売に関して提供した製品保証」に関連しているため、IFRS第17号の範囲から除外されています。
小売業者Xはこの契約をどのように会計処理すべきでしょうか?
顧客との契約には以下の財またはサービスが含まれています。
(1)電気製品
(2)製品の延長保証
顧客が関連する財またはサービスから独立して購入することのできる(つまり、独立して価格設定または交渉が行われる)製品保証は、独立した履行義務です。独立して販売されているという事実は、製品が意図したとおりに機能することの保証を超えたサービスが提供されていることを示します。独立して購入できない製品保証の場合は、当該製品保証が独立した履行義務として会計処理すべきサービスを提供するかどうかを評価しなければなりません。
製品が、期待されたとおりに、および特定の仕様に従って機能するというアシュアランスを提供する製品保証は、独立した履行義務ではありません。
小売業者Xは、(製造上の欠陥に対する)製品保証をIAS第37号に従って会計処理し、予想される製品保証義務に対する費用および負債を認識すべきです。小売業者Xは、製品の延長保証を独立した履行義務として会計処理し、当該義務が3年間にわたり充足されるにつれて収益を認識すべきです。
現金またはクレジットとの交換による返品は、通常、返品権として会計処理すべきです。顧客が現金、クレジットまたは代替製品のいずれかと交換に欠陥製品を返品できるオプションを有している場合、経営者は、返品見積りの会計処理の一部として、現金またはクレジットと交換となることが予想される返品を見積もらなければなりません。
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