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2023-08-14
昨今の自動車業界では、脱炭素社会の実現に向けた主要施策の一つとして電気自動車(EV)化が進行中である。国際エネルギー機関(IEA)によると、2022年のEV・PHEV(プラグインハイブリッド車)販売台数は初めて年間1千万台を超えた。地域別にみると新車販売に占めるEVシェアは中国29%、欧州21%、米国でも8%を占めるまで進行している。
また、EV化を考える上で重要な点は、EV化を環境問題として捉えるだけでなく、経済安全保障や自国産業保護・育成を企図した地産地消のブロック経済化として背景を捉える視点である。
欧州では、EUにて2035年までの内燃機関販売禁止を先駆けて宣言、また、バッテリーパスポート規制、国境炭素税規制などにより素材・原材料のリサイクル促進や脱炭素化の方向で規制をかけて、サーキュラーエコノミーに強みのある企業を優遇している。米国では、2022年8月にインフレ抑制法(IRA)が成立。クリーンビークル1台当たり最大7,500ドルの税額控除対象となる車両の要件として、最終組み立てが北米で行われていることや、対象となる車両のバッテリーに使用される重要鉱物の抽出または処理が一定の割合で米国あるいは米国とFTA(自由貿易協定)を締結する国で行われていることを定めるなど、地産地消でのEV、EV主要部品の製造が事業継続のうえでは不可欠である。
そのような状況の中、自動車OEMはEVへの投資に積極的だ。EV製造自体への投資は過去から進めているが、昨今特徴的な点は、特に欧米系OEMでバッテリー原材料の領域にも投資を進めていることである。例えば、リチウム採掘や銅鉱山開発、レアメタルリサイクルに関する投資案件であり、前述の地産地消でのEVエコシステム構築の流れに対応した投資促進と考えられる。日系企業においてこのような領域の投資は自動車OEMよりも総合商社やエネルギー事業会社が得意とする投資領域であり、日系自動車OEMは従来企業間連携に加え、バッテリー関連資源の調達を含めた新しい戦略的な連携拡大・深化が必要になると考える。
サプライヤー領域でのEV関連投資に関しては、バッテリー製造関連とともにeアクスルの開発に注目があたっている。eアクスルは3in1をベースとしつつ、それ以上の機能統合を狙うXin1タイプなど自動車OEMによって方針が異なる。また、複数の機能を全て自社開発するよりもM&Aなどを活用し事業拡大のスピードアップが求められることが予想されるが、ここでも将来の地産地消の考え方をベースとした規制に対応した事業拡大へのフィージビリティスタディは常に求められることになる。
各国の経済安全保障、自国産業保護・育成を企図した規制に対応したEV投資を検討していくことが今後、各企業のEVシフト成功の鍵となるといえる。
※本稿は、日刊自動車新聞2023年7月31日付掲載のコラムを転載したものです。
※本記事は、日刊自動車新聞の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。
LCAとは、製品やサービスのライフサイクル全体(原料調達、製造、使用、破棄・リサイクル)におけるCO2排出量などの環境負荷を算出し、環境への影響を定量的に評価する手法を指します。これに基づき、例えば自動車・モビリティ産業においては、走行時だけではなく、サプライチェーンやバリューチェーン全般に亘るCO2排出量の算出と削減が課題となります。
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