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2022-02-28
COVID-19の影響や、環境課題に対する企業の姿勢が問われています。自動車製造業においても、サプライチェーンが混乱する不確実性、環境社会に対する影響を受けており、経済産業省が「2021年度版 ものづくり白書」で「グリーン(ESG)」や「デジタル」などを生き残り策として掲げています。
自動車業界でもグリーンに対応して電気自動車(EV)や水素エンジン開発など、さまざまな技術革新が行われており、自動運転人工知能(AI)などのデジタル化と合わせて半導体が主要な部品となり、需要も拡大しています。
この潮流は自動車業界にとどまらず、デジタル化の進展により半導体の需要が増したことに加え、コロナ禍によって発生したサプライチェーンの混乱による半導体不足をきっかけに、半導体の偽造被害が顕在化しています。業界団体によれば半導体の偽造被害は年間8千億円に上り、非正規ルートで仕入れた半導体の約3割が偽造品という報告も存在します。こうした課題に対して、業界団体ではブロックチェーンを用いたトレーサビリティー(物品の流通経路の追跡)のグローバル標準策定が進められています。
ブロックチェーンを用いる有効性という観点において、従来のテクノロジーと比べた根源的な違いは「非中央集権性」にあります。製品の真正性を保証するため、長いサプライチェーンを可視化するには、業種、国を跨ぎ、競合を含むあらゆる当事者からデータ協力を得ることが必要となります。中央集権型では、ある特定の管理者が特権化して扱う形ですが、競合を含む当事者間が合意して特権管理者を選定することは現実的には起こりえないものでした。
ブロックチェーン技術に注目する自動車産業では、部品などを台帳化し、トレーサビリティーを確保する取り組みが見られます。例えば、交通手段をより環境に優しく効率的で、手頃な価格で利用できる社会の実現を目指し、関連技術の標準化と普及を推進する国際コンソーシアムが立ち上がっており、トレーサビリティー関連の標準化のための国際ガイドラインも発行しています。
欧州自動車産業では一歩進んでブロックチェーンを実装段階で活用しています。ある自動車メーカーではリチウムイオン電池の調達、生産、廃棄、再利用というライフサイクルをブロックチェーンで管理するとともに、同時に紛争鉱物であるコバルトのリサイクルを実現するプロジェクトを既に推進しています。また、別の自動車メーカーは、原材料/副資材のトレーサビリティープラットフォームにブロックチェーンを採用し、サプライチェーン全体の温暖化ガスを可視化するプロジェクトにまでプラットフォームを拡大させています。
これらの取り組みはデジタルを活用したESGへの取り組みであり、循環型経済を目指し、環境意識の高い消費者を取り込むことに成功しています。
2022年4月から東京証券取引所の市場区分が再編され、各市場においてESGへの取り組み開示基準が定められます。企業は喫緊の課題としてESGへの対応が迫られています。経済成長と社会的責任を同時に果たすために、ブロックチェーンなどの先端技術を活用して資源循環を可視化し、製品の真正性を担保する仕組みづくりの現実性が増しており、これらを注視した計画を立てることが推奨されます。
※本稿は、日刊自動車新聞2022年2月28日付掲載のコラムを転載したものです。
※本記事は、日刊自動車新聞の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。
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