これからどうなる?─「排出量取引制度」Q&A

第2回 本格稼働する排出量取引制度の特徴と概要および制度対象者

  • 2025-05-01

※本稿は、2025年4月1日号(No.1739)に寄稿した記事を転載したものです。
※発行元である株式会社中央経済社の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。

この記事のエッセンス

  • 2026年より本格稼働が開始する排出量取引制度は、2023年より試行されている現行の排出量取引制度とは異なり、義務化される。たとえば、一定規模以上の排出者を排出量取引制度の対象とし、制度への参加が義務づけられるとしている。また、業種特性や移行期の取組みなどを勘案した一定の基準に従って算定した排出枠の割当が行われ、制度対象者は、毎年度、排出実績と等量の排出枠の償却が求められる想定である。
  • 本格稼働後の排出量取引制度は、制度対象者を法人単位とする取扱いが想定されている。諸外国制度と同程度の規模の排出源を捕捉する観点から、制度対象者を直近3カ年平均でCO2の国内直接排出量10万トン以上とする閾値の設定も想定されている。また、企業がグループ単位で排出量の管理や脱炭素に必要となる投資判断を行っている実態を踏まえ、親会社等が密接な関係にある子会社等も含めた報告等の制度対応を可能とするための認定制度の創設および導入も想定されている。

はじめに

カーボンニュートラル目標を表明する国および法域が増加するなか、海外において、排出削減と経済成長および産業競争力の強化を共に実現するグリーントランスフォーメーション(以下、「GX」という)に向けた投資が進んでいる。

国内では2023年5月に、GXの実現を目指す投資(以下、「GX投資」という)の促進に向けた政策パッケージである「成長志向型カーボンプライシング構想」を反映した「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」(以下、「GX推進法」という)が成立した。これは、GX経済移行債を財源とする20兆円規模の先行投資支援と排出量取引制度を含むカーボンプライシングとの組み合せにより、企業のGX投資の促進を含んでいる。2023年度から排出量取引制度が試行され、クライメート・トランジション利付国庫債券は2024年2月から発行されている。

また、GX実現に向けたカーボンプライシング専門ワーキンググループ(以下、「CP専門WG」という)において、排出量取引の制度化に向けた論点整理が行われた。議論は排出量取引制度の骨格の形成を中心に行われ、制度運営における詳細は、今後の法制化において明確にされるが、現在試行されている排出量取引制度とは異なる点がある排出量取引制度の本格稼働が予想されている。本連載においてはCP専門WGにおける資料をもとに排出量取引制度の議論を中心に解説していく。

第2回は、本格稼働する排出量取引制度の特徴と概要および制度対象者について、概要を解説する。なお、記載については、筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。


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執筆者

川端 稔

監査事業本部 パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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石川 剛士

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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