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世の中には数多くのコミュニティが存在し、参加メンバーのモチベーションやコミットしているテーマなどはさまざまです。そして社会課題を解決する原動力となるほどのパワーを持つコミュニティもあれば、形骸化しておりほとんど活動ができていないコミュニティもあります。
そのコミュニティの中では、各々が関心事項を発信し、受け取っています。気が合う人同士が密なやり取りをして、何か新しい取り組みを始めるといった強い関係性が生まれるケースもあれば、そこに所属していることで「何かおもしろい情報に触れることができればいいな」と思い、おだやかにつながっているケースもあります。
どちらにせよ、何となく興味があるものに、軽く誘われたら入ってしまう。それがコミュニティではないでしょうか。
さまざまなコミュニティが存在しますが、その目指すべき姿は「ビジョン実現に必要なリソースやサポーターを引き寄せて力を1つにする場」「ビジョン実現に向けて動くこと・考えることをともにする場」であると、筆者は考えています。つまり、コミュニティは達成したいビジョンの実現を存在意義とし、一人ひとりの中に芽生えたビジョンに共感する気持ちや、何かやってみようという気持ちを集め、連結させ、1つの力や声にしていくことが価値であると考えます。1つになった声は、環境を変え得る力を持ち、イニシアチブ自体の存在意義を後押しし、その力を大きくしていくことにつながっていくからです。
しかし、世の中にあるコミュニティの多くはいくつかの問題を抱えています。よく見られるのは、ある種のノリと雰囲気で「つながっている」という感覚が満たされるだけのケースです。
コミュニティが持つ本来の力を発揮していくためにはどういう要素が必要であるかを考えるにあたって、本稿では、多くのコミュニティによく見られる課題を洗い出していきます。
たいていのコミュニティの中心部には、緊密度が高く非常に熱心に取り組んでいる一部のメンバーが集まり、高いエネルギーを放っています。
例えば、バーチャルな会合でもチャットツールでも、またはリアルでのディスカッションの場でも、発言回数もダントツに多く、知り合いも多いというような人のイメージです。その人が関心ある話になった際には「そうだ!」と大きな声を出して熱狂する。そして、一部の人にしか伝わらないような言葉を使って、ずっと話し続ける。周りの人たちは、明らかに「ちょっと近寄りがたい」と思ってしまいます。
こういう人たちは、コミュニティの思考をリードするソートリーダーという存在ではなく、一部の人たちにしか通じない内輪感を強烈に放っていることが目立ち、結果的に排他的な印象を回りに与えてしまいます。
高いエネルギーやつながりの強さは、社会変革に向けての大いなる推進力の源となるものの、周りから近寄りがたい存在に見られてしまうと、取り込める仲間も取り込めません。特に、自身が持つ知識や経験を絶対的なものとして、それに理解を示さない相手を拒絶するようなスタンスをとる人には注意が必要です。
コミュニティをビジョンの実現を目指す場としていくためには、熱量や知識の多少を問わず、ビジョンに共感するメンバーを取り込み、人と人とのつながりを増やし、さまざまな観点から課題解決の方法を検討していく必要があります。これからコミュニティを作っていこうと考えている人は、この点を心得ておく必要があります。
コミュニティを作るうえでは、雰囲気を良くし、誰もがオープンで、楽しいワクワク感で満たされていることが必要です。しかし、ある種のノリで「つながっている」という感覚が満たされているだけというケースがあります。参加している人たちにとっては「楽しくて盛り上がっているけれど、学びがない」と思うことになります。「学びがない」とは、「知的好奇心がくすぐられない」ということです。つまり、自分が知らなかったようなことを知って「これって、どういうことなんだろう」という経験がないということになります。
意欲がある人ならば、1人でも学びます。ただ、それ以上のことを得ることができると思っているからこそ、コミュニティに所属しているわけです。
同じ関心事項を持つ人と一緒に学んだり、振り返ったりして、「これはこういう解釈ではないか」「それについては、好事例を知ってるから教えてあげる」など、人とのコミュニケーションを通して、自らの学びを補強・補完していきます。自分1人では考え切れないようなことを、仲間と議論し、その結果アイデアが沸き起こる場であることが望ましいと考えます。
コミュニティに所属していても、自分自身から、あるいは近い仲間から、さらにはコミュニティのあちこちから、何かが生み出される気がしないという点が、幽霊部員を生み出してしまう一番の原因となります。
その理由としては、コミュニティの管理者のモチベーション低下や燃え尽き、あるいは雰囲気のマンネリ化などが挙げられますが、筆者は、その場に非同質性・多様性があるかどうかが大きなポイントであると思います。
何かを考えたい人、何かをやろうとしている人、何かに困っている人が、1人で考えられることや実行できることは限られています。さらに言えば、社会課題は社会システムに広く横たわっています。つまり、その解決に向けて考え、動くためには、その社会課題に関係する人たちのいくつもの視点を取り入れながら考えなければなりません。例えば、自分が民間企業の社員だとすると、官公庁、自治体、NPOやNGO、大学、当事者などさまざまな人の声、多くの社会の担い手の視点から課題を捉え、解決策を考えていかなければなりません。
そういう視点がもたらされるコミュニティであるか否かが、コミュニティの存続にあたっての大きなポイントとなります。
本稿では、コミュニティによく見られる課題を棚卸しました。次回からは数回にわたって、コミュニティが課題解決に向けた1つの原動力となるためには、どういう機能を備える必要があるか、具体的に考察していきます。
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