Social Impact Initiative 社会を変える旅に出る ―社内外で仲間を集め、コレクティブインパクトを創出していく―

第4回 多様化する仕事観とありたい姿に近づくための動機

  • 2023-11-22

自分のありたい姿が描けないという焦燥感

多様性の必要性がうたわれる昨今、職場の世代間ギャップも多様性の1つとして捉えられるようになってきました。

それぞれの世代が生き抜いてきた社会の情勢も、その時々によってさまざまです。定年退職を迎える世代は、社会人になった当時に男女雇用機会均等法が施行された世代であり、法律は整ったものの、多くの女性は仕事を通しての自己実現にまだまだ限界を感じていたことでしょう。いま会社を支えるベテラン40代後半は、厳しい就職氷河期を経験し、思ったような仕事に就けなかった人も多いと思われます。ゆとり世代やZ世代、さらにその下のデジタルネイティブ世代は、多くの蓄積された環境問題や社会問題と向き合うことを余儀なくされています。

そして近年は「多様性が確保された組織がイノベーションを生む」あるいは「多様な考え方を包摂し合うことで、よりよいワークプレイスを実現できる」といった考えが浸透してきており、多くは自分の価値観を大事にしつつ、他者の価値観も理解しようという風潮になっています。

一方で、それぞれの世代が育ってきた社会情勢を踏まえた考え方や、その世代で一般的とされていた働き方を無視することはできません。例えば、ベテラン世代は、経済的価値を最優先することに疑いなくやってきた人が多いでしょう。クライアントや会社の要求に高いレベルで応えることや、上司からの高い期待に必死に応えて昇進することを目標にしてきた人が多いのではないでしょうか。

しかし最近の若者の傾向は、それとは異なります。デジタルデバイスを通じて自分が知りたいと思う情報を世界中から瞬時に入手することができ、ひと昔前のように情報入手に時間や労力を割く時代ではもはやありません。そして、情報に直接触れることが可能となり、誰かを介してバイアスのかかった情報を得るというケースも少なくなったため、情報の透明度が上がり、それをどう解釈するかは個人の考え方に委ねられるようになってきました。

ベテラン世代も社会人生活を送る中で多くの社会課題に直面してきましたが、現在のより複雑で変化の激しい社会において、若い世代はこれまでに未解決とされてきた社会課題や、今までにない新たな社会課題と対峙することになります。そのため、より一層社会の中での自分を意識する機会が多くなり、働く際にも自身の高い報酬を得ることや昇進することにフォーカスするのではなく、自分自身が携わっている仕事の意義を問うようになっていると考えられます。そして、これまでとは異なる自己実現の方法を模索しているのです。

執筆者

下條 美智子

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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