{{item.title}}
{{item.text}}
{{item.text}}
2021-02-24
2020年5月から6月にかけて内閣府が実施した「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下において「地方移住への関心が高まった」と回答した三大都市圏居住者の割合は15.0%に上りました。特に、東京都23区に住む20歳代の35.4%が「地方移住への関心が高まった」と回答しています。こうした地方移住の意向の高まりを裏付けるように、2020年7月から、東京都では転出超過の状況が継続しています。
本稿では、こうした都市部から地方への移住意向増加の潮流と、PwCが考える住民起点のスマートシティ、すなわち、”社会課題を解決する「仕組み」を有し、新たなテクノロジーを活用しつつ、継続的に住民満足度を高めるまち”との接続点を論じます。
1970年代の高度経済成長の反動に端を発するUターン現象と脱都市の動き、1980年代から90年代のアウトドアや田舎暮らしブーム、1990年代後半から2000年代のスローライフや二地域居住の提唱、リーマンショック後の若者の地方回帰、東日本大震災以降の安心安全を求めての移住というように、時代によって移住意向を持つ年齢層やその目的に変動はあるものの、都市部から地方への移住のトレンドは繰り返し発生してきました。
一方、有事のリスクヘッジ、地方創生などの観点から、都市部への人口集中、特に東京一極集中の解消について国も議論を重ねてきています。
直近では、コロナ禍におけるテレワークの普及と地方への関心の高まりを背景として、2020年12月に閣議決定された第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の2020年改訂版に地方創生テレワークの推進に対する新たな支援策が盛り込まれるなど、政策面から地方への移住を後押しする取り組みが次々と検討されています。
個人の意識レベル・国の政策レベルで都市部から地方への移住の潮流が進行する中、移住者を受け入れる側である地方も、そのための態勢を整える必要があります。
そのキーワードの一つが「関係人口」です。総務省の定義によると「関係人口」とは、 「移住した『定住人口』でもなく、観光に来た『交流人口』でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々」のことです。関係人口の創出・拡大は地方移住の裾野拡大や地域課題解決に向けた取り組みとして「まち・ひと・しごと創生総合戦略」でも重点施策に掲げられています。
また、「関係人口」の考え方は、COVID-19対策としてテレワークが広まったことでトレンドとなったワーケーションとも親和性が高いと考えられます。ワーケーションは、地方に都市部の仕事を持ち込むことを前提としている点や、一時的に滞在するといった点が、移住・定住とは異なります。また、ワーケーション実施者は一定程度、地域との関わりを求める傾向もあり、「関係人口」化や将来的な移住につながる可能性を秘めています。
住民起点のスマートシティを目指すにあたっては、こうした「関係人口」や将来的な移住者について考慮することも、あるべきまちづくりの重要な要素の一つになると考えられます。そのためにまず必要になるのが、「関係人口」や将来的な移住者の見える化です。
鳥取県日野町の「ふるさと住民票」や長崎県五島市の「心のふるさと市民」のように、地域外に住むファンをバーチャル市民として位置づけ、継続的な関係を構築する取り組みを行う自治体があります。また、島根県が2012年に始めた関係人口創出事業はポストコロナを見据え、県外のファンと県内でインターンシップを行うようなことはせず、オンライン上での取り組みに転換して関係人口創出を図っています。こうしたオンラインを通じて広がる関係人口のデータを蓄積し、活用していくことで「関係人口」や将来的な移住者をも考慮した、あるべきまちづくりにつなげられると思います。
このような取り組みを行うことで、地域外から見えるまちの魅力が向上し、さらに「関係人口」や移住者を引き寄せるという、正の循環が生まれるでしょう。
こうした考え方を各地域が取り入れることで、都市部から地方への移住意向増加の流れが進み、国の長年の課題である東京一極集中からの脱却につながるかもしれません。
伊賀 泰佑
シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社
総人口と労働力の減少、高齢化の進行が予測される昨今の日本において、「スマートシティ」の取り組みが注目されています。PwCはSociety5.0時代の社会課題の解決に向け、クライアントである行政とその先に暮らす住民の価値創出を、ワンストップで支援します。
人口減少・高齢化といった地域の住民・企業が直面する課題に対して、地域資源や外部の知見も活用し、新たな価値を創出することで、持続可能な地域づくりを支援します。
PwCでは、多様なプロフェッショナルが豊富な経験と独創的な発想力を生かして、官公庁や地方自治体、公的機関が抱える課題の解決を支援しています。