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2022-08-30
事業を推進する際の主な経営資源として、ヒト・モノ・カネ・情報が挙げられます。本シリーズ第1号では、このうちの「ヒト」に着目して駐在員派遣に伴う移転価格上の論点について、主に海外現地法人・支店の観点から取り上げました。
第2号では、「モノ」の観点から機能移転税制を紹介します。コロナ禍の影響を受けて2021年はコンテナ不足による物流の停滞により、アジアの製造拠点で製造したモノを販売拠点である欧州に輸送できなかったり、採算を度外視してやむを得ず航空貨物便を利用せざるを得なかったりといった状況に、多くの企業が直面したのではないでしょうか。また、2022年に入ると、ロシアによるウクライナ侵攻を契機に自社の物流網を改めて確認し、これまで以上に地政学リスクを意識して事業最適化の検討を始めた企業もあると思います。
外部環境の著しい変化に適切に対処すべく、サプライチェーンや事業ポートフォリオの見直し・最適化の一環として事業再編、事業移管や事業集約などを検討する際、税務の検討は必須項目のうちの1つとなります。特にドイツでは、このような事業の再編、移管、集約などが機能移転税制における機能の移転に該当するか否か、該当するとしたら対価はいくらか、といった検討が必須となります(便宜上、本号では、サプライチェーンや事業ポートフォリオの見直し・最適化を「事業再編等」と呼ぶこととします)。
2008年1月より効力を有するドイツ機能移転税制に関して、ドイツ税務当局の見解を記した機能移転通達が2010年10月13日に公表されました。本号では全81ページから構成される本通達の全容について触れる代わりに、事業会社の担当者・駐在員が事業再編等の検討を進めるにあたって、把握すべき点・見落としがちな点を中心に解説します。
本シリーズではドイツを念頭に話を進めますが、他にも機能移転税制に類似する法律が施行されている国もありますので、その他の国・地域の現地法人・支店の多くが抱えているであろう課題を認識するきっかけとしていただけますと幸甚です。
石神 則昭
シニアマネージャー, PwC税理士法人
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