移転価格税制とは

適正な国際課税を実現

移転価格税制とは、国境をまたいだ関連会社間の取引価格を適正に設定することで、企業の所得移転や租税回避を防止するルールです。

企業が海外の関連企業等の国外関連者との棚卸資産の売買、役務の提供などの取引価格(移転価格)を通常の価格と異なる金額に設定すれば、一方の利益を他方に移転することが可能となります。そのため、移転価格税制は国外関連者との取引価格を資本・支配関係のない独立の第三者と取引した価格(独立企業間価格)で計算し直すことで、適正な国際課税の実現を目的とするものです。移転価格税制の運用上は、企業に租税回避の意図があったかどうかは問われません。

日本は、国外関連取引を通じた所得の海外移転に対処することにより、適正な国際課税を実現することを目的として、1986年に移転価格税制を導入しました。これは法人の国外関連者との取引価格を独立企業間価格(ALP:Arm’s Length Price)とみなし、課税所得を計算することを規定しています(租税特別措置法第66条の4)。

所得の海外移転とは

日本親会社から国外関連者への販売価格を変更することによって、二国間の利益配分が変わります。関連者間の価格操作を通じた所得移転を防止することを目的とした制度です。

国外関連者とは?

「外国法人」で「特殊の関係」のある者をいいます。「特殊の関係」には、形式的支配関係と実質的支配関係の2つがあります。

(1)形式的支配関係 (AB間の出資関係)
  • 親子関係等:一方の法人が他方の法人の株式等の50%以上を直接または間接に保有している場合
  • 兄弟関係等:二の法人が同一の者にそれぞれの株式等の50%以上を直接間接に保有されている場合
(2)実質的支配関係(その他特殊な関係)
  • 役員および使用人の状況
  • 事業活動の状況
  • 資金調達等の状況
  • 無形資産の状況

独立企業間価格の算定方法とは?

CUP(カップ): Comparable Uncontrolled Price Method
RP(アールピー): Resale Price Method
CP(シーピー): Cost Plus Method
PS(ピーエス): Profit Split Method
TNMM(ティーエヌエムエム): Transactional Net Margin Method
DCF(ディーシーエフ): Discount Cash Flow