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連載コラム第一弾では、社会動向の変化に伴い、社会の基盤である市区町村の存在意義を再定義する必要性、取り組みを進めやすい領域について紹介しました。
一方、投資余力があれば取り組みたいが、余力が無いので困っていると感じた方も多いのではないでしょうか。
第二弾では、全国で多数の自治体が存在し、類似業務を進めている現状から市区町村同士が協働・連携し進めることで、「割り勘効果」を生み出すことができるのではないか、という点について解説します。
住民は市区町村をどの程度意識しているでしょうか。もしくは、引っ越しをする際に、市区町村の施策がどの程度決め手になっているでしょうか。最近では、移住促進の補助やこどもの医療費低減、こどものいる家族への減税など独自性の高い取り組みを進めている自治体も増えています。
しかし、多くの場合で行政サービスの大小が住民の決め手になっていないのが実情です。それは、どの地域も同じように見えてしまうからであり、サービスの類似性が高いことが原因です。言い換えれば「どの地域も、似た施策を、単体で実施している」ということです。
もしも似た施策を“複数の自治体で、共同実施”できたとしたら、投入する職員と予算を抑えることが可能となります。そうして生み出した投資余力で、住民にとって「決め手」となるサービスを展開し、満足度を高めていくことができるのではないでしょうか。
自治体にもリモート会議が定着し、リモートワークに取り組む地域が増えてきた今だからこそ、改めて「割り勘効果」を考えることが有用です。
市区町村の多くは、改革を進めるための資本(職員と予算)をどれだけ準備できるのか、という点で悩まれることが多いのではないでしょうか。
そのため、優先順位をつけ、徐々に改革を進めているのが実情です。しかし、近年では市区町村から民間企業へ転職される方も増え、改革スピードの低下は優秀な職員の離職増加にも繋がります。
一方、投入可能な資本を生み出す方法がなく、堂々巡りに陥っているケースが少なくありません。こうした課題を打破するための打ち手を図表1に示します。
大きく捉えると、全国1718の市区町村は似た業務を実施しており、共通項が多いと言えます。つまり、人口や産業、街の規模や構成を踏まえ、似た特徴・状況を持つ自治体と連携し、テーマを分割することで、初期コストと時間を抑えることができるのではないでしょうか。
共同開発により初期投資の予算を抑え、相乗りする市区町村を増やすことで、ランニングコストも抑制することが可能となります。
割り勘効果のイメージを示したのが図表2です。業務フローの見直しが未着手の自治体Aと既に業務フローの見直しを完了済の自治体Bがあるとします。両者ともに業務フローの見直し後、Sier(システムインテグレーター)に委託し、システム開発を予定しています。
この場合、課題を単純化して考えると、業務フローの見直し結果を共有し、現行の業務フローとの差分を確認し、運用に大きな不備やリスクが無いのであれば、共通化することで、業務フローの見直し費用を削減することができます。また、システムを共同開発することで開発費用を半分にすることができます。そうすることで、自治体Aは3,250万円、自治体Bは3,500万円の費用削減を行うことができます。実際の現場ではさまざまな変数があり、上記のような理論通りにいかないことも多いと思います。しかし、単独で進めるより金額を抑えることができるのは間違いありません。
業務フローの確認や既存システムとの差分調査など、推進にあたり、双方で工数が発生することが想定されます。
一方、2つの自治体が協働することで、数千万円単位での費用削減が実現されます。
こうした割り勘効果を生み出す手法は民間企業で進んでいます。地域金融機関では基幹システムの共同開発・共同利用や新サービス開発から人材育成、株主優待まで幅広く用いられており、一部の自治体でもシステムの共同開発・共同利用が進んでいます。収入増加を見込むことが難しい状況であっても、既存の枠組みにとらわれない発想を持つことで、費用対効果の高い推進が可能となります。
既存業務フローにこだわった検討は、独自性の高い業務フローとシステムに繋がります。一見、使い勝手が良く業務効率が向上したように見えるかもしれません。しかし、独自性の高い業務フローとシステムは特定企業への委託に依存する傾向が高く、公共調達による費用圧縮が効きにくくなります。同時に、割り勘相手を探すことが困難になります。
直近では、業務標準化・ガバメントクラウドなど、全国で同時発生するシステム構築のイベントが重なります。そのため、既存システムの改修スケジュール遅延や既存事業者の撤退、大幅な見積金額の上昇などの傾向が見られます。できる限り、公共調達による費用圧縮効果を発揮しやすく、割り勘相手を探しやすい状態をつくることが投資余力を生み出すポイントです。
これまで、広域連携の多くは隣り合った地続きの自治体で取り組むことが多いのが実情でした。しかし、システムはクラウド化が進み、自治体でのリモート会議も定着している現代では、地続きにこだわらないデジタル広域連携を進めることが可能です。
つまり、北海道と沖縄県の市町村がリモート会議で業務フローの共有を進め、共同開発したシステムを利用することも十分可能ということです。図表3に示すように、市区町村がつくったシステムを共通プラットフォームに載せ、そうしたプラットフォームから自らの状況に合ったシステムの利用申請を進め、開発主の市区町村に費用を支払い、システムに相乗りする世界が実現するのもそう遠くありません。
どこから取り組むべきか悩んだ際には、役場の強みや現場の事情を熟知する「名物職員」に焦点を当てることで、割り勘相手を巻き込みやすい検討を進めることが重要です。全国の役場で活躍する名物職員のナレッジを、システムや仕組みを経由して自治体同士で共有できるとすると、検討工数や構築費用を大幅に下げるだけでなく、市区町村のベースアップに繋がり、それらは日本の社会基盤をアップデートすることと言えます。
ここまで割り勘効果により余白(職員や予算)を生み出し、改革への投資余力を創出し、改革を進めることが可能である、割り勘相手は全国にいる、というメッセージをお伝えしました。しかし、「デジタル広域連携の可能性は理解したものの、割り勘相手を探す時間が無い」という方も多いのではないでしょうか。
そこでコラム第三弾では、割り勘相手を探す時間的余裕を生み出すための具体的なアプローチと変革のストーリーを紹介します。
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