企業分析アクセラレーター／Company Analysis Accelerator

既存業務の効率化を超えたAI活用に向けて

私たちは、AIは既存業務の効率化だけでなく、業務自体の変革につながる企業の戦略策定や、経営の方向性の検討にも活用するべきだと考えています。そのようなAI活用の姿を具現化するために、社内ツール「企業分析アクセラレーター」を開発しました。このツールは、アナリストの高度な企業分析をAIで再現し、コンサルタントがクライアントをより深く理解することを支援します。これにより、コンサルタント個人のバイアスに左右されることなく、客観的かつ多角的な視点から企業課題を的確に捉え、最適なソリューションを提案することが可能となります。

企業分析アクセラレーターとは

企業分析アクセラレーターは、生成AIと統計モデルを組み合わせたハイブリッド型の企業分析AIエージェントです。本ツールは、統合報告書などの公開資料や、データホルダーとの連携によって入手した情報などの多様なデータを、PwC独自の統計モデルと生成AIによる組み合わせで分析します。加えて、コンサルタントによる、クライアント課題の発掘や、PwC Japanグループ全体の専門知見・サービスメニューを組み合わせた施策立案も支援します。現在は、クライアントへの提案計画を策定するチームでの活用を進めており、現場からのフィードバックを基に機能改善を繰り返しながら進化を続けています。

図表1：サービスにおける企業分析アクセラレーターの活用

企業分析アクセラレーターの活用の流れ​

• 企業分析
  従来はコンサルタントチームの専門的な知見を活用して実施していた企業分析を、生成AIと統計モデルによるハイブリッド手法で自動化します。これにより、誰もが高度な企業分析を行うことができます。

• 課題発掘・施策ドラフト
  企業分析結果を基に課題を発掘し、その課題の解決に資するPwCのソリューションを網羅的に探索して紐づけます。

• クライアントとの対話と意思決定支援
  クライアントの担当者役職や所属部署に応じて適切な提案ストーリーラインをドラフト。PwC独自のAIツール「Knowledge Fusion Platform」とも連携し提案活動の高速化／高度化を実現します。これにより、PwCのコンサルタントは、クライアントとの対話に今までよりも多くの時間を充てることができ、よりスムーズな意思決定の支援が可能となります。

企業分析アクセラレーターの特長

企業分析アクセラレーターは、企業活動に関連する膨大なデータや公開資料をデータホルダーと連携しながら収集しています。これらの情報に、社内のアクチュアリーやクオンツの統計・数学的知見と生成AIを掛け合わせた独自の企業分析モデルを適用することで、分析の高度化と自動化を実現しました。

また、PwCならではの企業分析を基に分析対象企業の課題も発掘し、そこにコンサルタントチームが持つ知見を重ねることで、より本質的な課題の特定を実現します。加えて、その課題の解決に資するPwCのソリューションを自動的にチームへ推薦します。PwC Japanグループ内の知見活用とコラボレーションを促進することで、特定領域に閉じない広い視点からの提案につなげ、クライアントの課題解決・価値創出に貢献します。

企業分析アクセラレーター開発で培ったデータ／AI活用のノウハウ

企業分析アクセラレーターは、クライアントと直接関わる担当者からの現場の声を基に、ツールの企画から開発、運用・保守までをすべて社内で一貫して対応しています。これらを社内のオンデマンドサービスとして素早く展開することで、構想から実装、改善、保守に至るまで、実践的でスピーディなツール開発のノウハウを蓄積しています。

加えて、クライアントのデータ管理において最適なシステム構成を設計・構築するとともに、公開情報からクライアント固有の情報まで多様なデータを収集・統合し、企業分析を行っているのも特徴です。これによって得た、複数のデータソースを活用したデータマイニングの実践的スキル、クライアントデータの活用におけるデータガバナンスに関する知見は、クライアントのAI導入支援におけるより質の高いサービス提供にもつながっています。

企業分析アクセラレーターでは、PwCの厳格なリスク管理基準に即しながら、AIエージェントによる、高度に自動化された企業分析を実現しています。この開発を通して得た実践的なAIエージェント開発・導入の知見は、リスク感度の高い環境での、クライアントの業務特性に応じた「分析プロセスのAIエージェント化」とそれを実現するためのプロセス構築支援の基盤となります。