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2025年9月にNIST(National Institute of Standards and Technology、米国立標準技術研究所)より製造業(OT/ICS)および関連ステークホルダーを対象とした、サイバーセキュリティフレームワーク(CSF)2.0のコミュニティプロファイルであるManufacturing ProfileのIPD(Initial Public Draft、初期公開ドラフト)が公開され、業界関係者への意見募集(パブリックコメント)が行われました。本稿では、Manufacturing ProfileのIPD版の概要およびCSF 2.0との違いを解説する他、製品セキュリティ領域における規制やガイドラインなどとの関係性について考察します。
NIST CSF 2.0は、あらゆる規模・分野の組織がサイバーセキュリティリスクを理解・評価・優先順位付け・コミュニケーションするための「成果(アウトカム)」の分類体系です。コアは6つの機能(ガバナンス[GV]、識別[ID]、防御[PR]、検知[DE]、対応[RS]、復旧[RC])で構成され、各機能はカテゴリー、サブカテゴリーに分解されます。CSFは達成すべき成果を提示する一方で具体的手段は規定しておらず、オンラインの参考情報(Informative References)や実装例、クイックスタートガイドなどで補完されます。さらに、組織はCSFの成果に基づく「組織プロファイル(現状/目標)」と「ティア(部分的/リスク情報活用/反復可能/適応の4レベル)」を用いて、現状把握と目標状態の定義、ガバナンス・マネジメントの厳重さを証明することができます。
Manufacturing ProfileはCSF 2.0のコミュニティプロファイルであり、製造セクターの共通ニーズに合わせてCSFコアの成果をOT/ICS文脈に具体化したものです。ベースのCSF 2.0(セクター・技術中立)に対し、以下の点が特徴です。
また、変更履歴では、CSF 2.0への再整合(ガバナンス機能の追加、カテゴリー23から22、サブカテゴリー108から106への更新)や、サプライチェーン、プラットフォームセキュリティ、技術インフラのレジリエンスのガイダンス追加が示されています。
主な対象は、以下を含む製造システム関係者です。
アセスメントによる期待効果は次のとおりです。
本プロファイルはIPDとして2025年9月に公表、パブリックコメント期間は2025年9月29日~11月17日でした。関連情報・更新・文書履歴は公開ページで提供され、提出コメントは情報公開法(FOIA)に基づき公開される場合があります。また関係組織には、公開期間中のレビューとフィードバック、進捗の継続フォローが推奨されています。
CSF 2.0およびManufacturing Profileは、NIST SP 800シリーズやISA/IEC 62443との整合を前提にしていますが、主な目的は組織のミッション(安全・品質・生産・機密)に沿ったサイバーリスクの把握・優先付け・改善を支援するための枠組みです。
一方で欧州サイバーレジリエンス法(CRA)は欧州における「デジタル要素を有する製品」に対する法規制であり、欧州規格ETSI EN 303 645およびTS 103 701は消費者向けのIoT製品のベースライン要求とその試験方法を提供するものであることから、本質的な目的は異なります。ただしCSFをCRA適合のための枠組みとして利用することや、CSFの成果に基づいた達成要件にETSI EN/TSを活用するといった可能性は考えられます。
CSF 2.0はセクター中立の共通土台であり、組織横断の「共通言語」と成果体系を提供するものです。Manufacturing Profileはその上に、製造ミッション(安全・品質・生産・機密)の観点、影響レベル別の実装ガイダンス、C-SCRMやライフサイクル管理の具体策を追加し、OT/ICS現場に即した「実践の道しるべ」を与えます。これらの活用により、企業はサイバーセキュリティにおける現状と目標のギャップを定量的に把握し、優先度に基づく投資・是正を推進することで、サプライチェーンを含む全体レジリエンスを高め、経営から現場まで一貫した意思決定を実現できるようになるでしょう。
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