多様な視点で狭山茶・農業の未来をひらく「狭山茶フェス 2026」開催

  • 2026-05-12

1月24日、PwC Japanグループは「多様な視点が、狭山茶の未来をひらく」をグランドメッセージに掲げて開催された「狭山茶フェス 2026」に、協力という立場で参画しました。

本イベントは、生産者、研究者、企業、若手挑戦者、生活者など、異なる立場の人々が集い、狭山茶の未来を考える場として開催されました。

当日は、PwC Japan有限責任監査法人、パートナーの三澤伴暁さん、ディレクター 三橋敏さん、アソシエイト 西藤悠馬さん、PwCアドバイザリー合同会社の木村瑞希さんが、狭山茶を「楽しむ」だけでなく「今を知り、未来を考える」ことを目的とした本イベントに参加し、地域の皆さまと協力しながら盛り上げました。

多くの来場者でにぎわうマルシェ会場の様子

当日、狭山茶フェス会場には、狭山茶や関連商品が並ぶ「マルシェ」が、そして、併設されたセミナー会場では「トークセミナー」や「パネルディスカッション」が行われました。

マルシェ会場には、狭山茶農家を中心とした計14の出店があり、お茶以外にもお菓子、お弁当、カレー、ビールなど、お茶にまつわるさまざまな商品が並びました。各店舗では商品の試飲を提供しており、来場者にお茶の淹れ方をレクチャーしながら、それぞれのお茶の特徴を丁寧に説明する姿が見受けられました。会場には、そうした体験を彩るように、緑茶やほうじ茶、紅茶の爽やかな香りが広がっていました。

それぞれの特徴ある香りや甘み、余韻の違いを確かめながら「同じ狭山茶でもこんなに味が違うとは思わなかった」「普段はペットボトルでしか飲まないが、茶葉から淹れる楽しさを知った」と、家族や友人同士で自然と感想を交わす様子も見られました。

トークセミナー:狭山茶の“これから”を語る

マルシェと並び、本イベントの中心となったのが、茶業に携わる方々によるトークセミナー「狭山茶の“これから”を語る」です。

本セミナーでは、日本茶を美容成分として活用する可能性や、スタートアップによる新たな挑戦、さらには海外市場への展望など、多様な切り口からお茶の未来について議論が交わされました。お茶は単なる飲み物にとどまらず、文化や健康、観光、海外展開といった幅広い可能性を持つ地域資源であることが、あらためて示される時間となりました。

三澤さん、西藤さんが登壇したトークセミナーの様子

企業と農業の新しい関係性

PwC Japanグループからは、「会社員だけど農業が気になる!企業と農業の関わり方を考える」をテーマに、 PwC Japan有限責任監査法人の三澤さんと西藤さんが登壇しました。

セミナーでは、私たちがこれまで取り組んできた農業との関わりを切り口に、企業活動と社会課題、そして職員のウェルビーイングについて語られました。それは農業を「支援すべき対象」や「CSRの一環」として捉えるのではなく、企業自身の価値創出や人材の成長にもつながる重要なフィールドとして捉える視点を提示するものでした。まず示されたのは、企業が農業に関わる3つの動機です。一つ目は、農業分野が持つビジネスチャンスです。スマート農業や経営の高度化など、農業が抱える構造的な課題に対して、企業の知見や技術が活用できる余地は大きいと語られました。二つ目は、社会課題への貢献です。高齢化や担い手不足といった農業の課題に向き合うことは、企業の存在意義や社会的評価とも深く結び付いています。そして三つ目が、従業員のウェルビーイング向上です。土に触れ、自然の中で作業する体験は、デスクワーク中心の業務では得られない気付きやリフレッシュ効果をもたらし、社員の内発的なモチベーションを高めると説明されました。

現場と向き合うことで見えてくる、農業の価値と豊かさ

PwC Japanグループではこうした考え方の下、農業に関する課題意識を持つ有志メンバーによるコミュニティを起点に農業体験や現地との交流を継続的に行ってきました。単発のイベントにとどめるのではなく、現場との関係性を積み重ねることで、参加者一人一人が農業のリアルな課題や価値に触れる機会を創出しています。

実際に農家の方々と対話し、作業をともにする中で、収益性だけでは測れない農業の価値や、長期的な視点で土地や環境を守る姿勢に気付かされる場面も多かったと本セミナーでは紹介されました。

またウェルビーイングについては、OECDの「ベター・ライフ・インデックス(BLI)」にも触れながら、金銭的価値だけでは生活の質は測れないという視点が共有されました。

農業との関わりは、所得の増加といった直接的な効果よりも、人とのつながりや自然との関係性といった非金銭的価値を通じて、心身の健康や幸福感に寄与する側面が大きいこと、そして、こうした非金銭的価値こそが企業活動においても見過ごせない重要な要素であることが強調されました。

価値観の違いを越えて、ともにひらく次の可能性

また、農家と企業との価値観の違いも、印象的なテーマとして本セミナーで語られました。企業が効率性や利益を重視しがちであるのに対し、農家は「良い作物をつくり、良い畑を守り、次世代につなぐ」ことを何よりも大切にしています。そうした姿勢に触れることで、自身の仕事における価値基準をあらためて見直し、自らの業務が社会や自然とどのようにつながっているのかを考えるきっかけになりました。

さらに、現場で得られた気付きを起点に、観光や商品開発、海外展開など、農業の価値を広げるためのアイデアも生まれていることが紹介されました。

これは、企業側の視点を一方的に持ち込むのではなく、農家の思いや現実を理解した上でともに考えているからこそ生まれる動きであり、今後の発展可能性を感じさせる内容でした。

百年先を見据えた社会づくりへ

セミナーの終盤では、「企業という社会的影響力の大きい存在に属する一人一人が、農業や地域と関わることの意義」があらためて語られました。

短期的な成果や数値だけを追うのではなく、百年先を見据え、無理なく続く社会をどのようにつくっていくのか。その問いに対し、農業との関わりは多くの示唆を与えてくれるとし、「今後もPwC Japanグループは、企業と農業がともに価値を生み出す関係性を模索し、実践していきます」という言葉で、本セミナーは締めくくられました。

パネルディスカッション:みんなで考えるお茶の価値

単なるイベントにとどまらず、「体験を通じてお茶の価値を再発見し、お茶産業の未来をともに考える場」として位置付けられた「狭山茶フェス 2026」。その締めくくりとして行われたパネルディスカッションでは、生産者、流通・輸出事業者、消費者視点の参加者が一堂に会し、「みんなで考えるお茶の価値」をテーマに活発な議論が交わされました。

多くの来場者を集めたパネルディスカッションの様子

多様な立場が集い、狭山茶の魅力を見つめ直す

パネリストには、江戸時代より350年以上の歴史を持つお茶農家として狭山茶を守り続ける生産者である奥富園オーナーの奥富雅浩 氏、伝統産業の外からお茶の世界に入り発信を続ける若手お茶農家の方、日本茶を海外へ届ける輸出事業者の方、消費者視点を持つPwC Japan有限責任監査法人の西藤さんが登壇。ファシリテーターはPwC Japan有限責任監査法人の三橋さんが務めました。

それぞれの立場から、お茶の魅力や課題、可能性について率直な意見が交わされました。

議論の冒頭では、「日本茶は本来、香りや味わい、地域性など、嗜好品としての楽しさを非常に多く持っている」という指摘があった一方で、「その魅力が十分に伝わっていない」という共通認識が示されました。

キーワードは「翻訳」と「ストーリー」

議論を通じて何度も登場したのが、「翻訳」という言葉です。生産者にとって当たり前になっているお茶の魅力を、消費者や海外の人々にも伝わる言葉に置き換えること。その重要性が繰り返し語られました。

「お茶屋は、お茶の魅力を伝えるのが実はあまり得意ではない」

そんな率直な自己分析もありつつ、だからこそ、生産者だけでなく、理解し、共感し、外へ伝えてくれる「翻訳者」の存在が不可欠だという意見が共有されました。

また、味や香りの言語化が難しい日本茶においては、「背景にあるストーリー」が重要な役割を果たします。茶畑の風景、家業として受け継がれてきた歴史、製法へのこだわり。そうした物語が、お茶を「選ばれる存在」にしていくことが強調されました。

体験が生む価値と、広がるコラボレーション

「お茶×体験」も大きなテーマとなりました。茶畑を訪れ、実際に摘み、揉み、淹れる。その体験そのものが、お茶の価値を深く理解するきっかけになるという声は、登壇者の間で共通していました。さらに、観光、アパレル、音楽、マインドフルネス、化粧品など、「お茶×○○」の可能性にも話題が広がり、必ずしも茶葉そのものに限定せず、日本茶が持つ歴史やイメージ、文化的価値を生かした柔軟な発想が、これからの認知拡大には欠かせないという提案も印象的でした。

終盤では、「お茶は単なる飲み物ではなく、コミュニケーションツールなのではないか」という意見もあがりました。誰かに淹れてあげ、感想を交わし、物語を共有する。その積み重ねが、ファンを生み、文化をつないでいくのだと語られました。

一方で、茶業を取り巻く厳しい現実にも触れられました。市場の不安定さ、将来への不安。それでもなお、「この素晴らしい仕事とお茶文化を次世代につなぎたい」というお茶農家の方々の強い思いが、会場全体に静かな共感を広げました。

「語るだけでなく、ぜひ現地に足を運んでほしい」、一面に広がる茶畑の風景、そこに息づく人の営み。それらを実際に体感することこそが、お茶の価値を理解する最良の入口ではないでしょうか。ファシリテーターのそんな呼びかけとともに、パネルディスカッションは幕を閉じました。

お茶摘み体験で「知る」ことから始まり、狭山茶フェスを契機に「広げる」ことへ

今回の狭山茶に関する取り組みでは、まず「お茶摘み体験」を通じて生産現場を実際に訪れ、日々の工夫や作業の難しさ、生産者が直面している課題について学びました。続く「狭山茶フェス」ではそうした学びを土台に、狭山茶や日本の農業の未来について考える場が設けられました。

来場者アンケートでは、「今後は意識して狭山茶を選びたい」「生産者の方と直接話せたことが印象的だった」といった声が多く寄せられました。体験を通じて、お茶を単に味わうだけでなく、「知った上で味わう」意識へと変化していた様子がうかがえました。

PwC Japanグループは、今回の「狭山茶フェス」に協力という立場で参画しました。飲料だけでなく食材としても、私たち日本人にとって親しみ深いお茶ですが、お茶に関わるステークホルダーの皆さまの思いを、社会一般に届けるお手伝いをすることは、PwCのPurpose(存在意義)である「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」ことにつながると考えたからです。会場に設けたブースでは、「PwCはこういう活動もしているのですね」と声をかけてくださる来場者もいました。

本イベントは、生産者と消費者が同じ場で未来を語り合う、象徴的な時間となりました。単発のイベントとして終わらせるのではなく、開催を契機とした継続的な対話の積み重ねが地域の価値を育み、生産と消費を結ぶ新たな循環へとつながっていくことを期待しています——狭山茶フェスは、その未来への確かな第一歩となったのではないでしょうか。

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