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PwC Japanグループは3月26日、富士通株式会社と共同で、企業で社会課題解決に取り組むCSR・サステナビリティ担当者を中心とした交流会を開催しました。
多くの企業がサステナビリティ経営に取り組む中、社会と企業の接点となるCSR推進部門が果たす役割と重要性が増しています。ビジネスと社会貢献の両輪で根本的な社会課題解決を目指すために、さまざまなステークホルダーとの連携も期待される中で、課題や悩みも多岐にわたり、複雑化してきています。当日は36社から74名の担当者が集まり、分科会形式で日ごろの悩み、成功事例や失敗体験から得た学びやヒントを互いに共有し合い、将来のより大きなソーシャルインパクト創出への道筋を探る活発な意見交換を行いました。
本稿では、冒頭のオープニングトークの内容をレポートします。
富士通株式会社でFujitsu Uvanceをリードし、社会課題解決を組み入れたビジネスの拡大に向けて事業ポートフォリオの変革に取り組む藤井剛氏と、PwC JapanグループのCollective Impact Baseプラットフォームを立ち上げ、グループ内外の連携、ボトムアップアプローチによる社会課題解決を推進する辻信行が登壇し、それぞれの立場から見た社会課題解決のアプローチについて、パネルディスカッションを行いました。
【パネリスト】
富士通株式会社 グローバルソリューション ビジネスグループ Strategy & Transformation本部長, SVP
藤井 剛 氏(写真右)
プロフィール:2024年に富士通に参画。同社の事業ポートフォリオ変革の核となるUvanceの戦略策定・実行推進をリード。富士通の事業ポートフォリオ変革、イノベーションの加速を通して、社会課題解決にも貢献していくことを目指す。前職は20年以上、経営コンサルタントとして活躍し、CVO(Chief Value Officer)の経験も有する。
PwC Japan有限責任監査法人 パートナー 上席執行役員 地域共創推進室長
辻 信行(写真中央)
プロフィール:地域共創推進室長として、プロボノやボランティアを通じた従業員の社会参画を推進し、法人のコレクティブインパクトの実現を推進している。個人としても、ソーシャル領域の小規模事業者に対するプロボノ経験を複数有し、ソーシャルビジネスのコンテスト審査員、スタートアップのメンター経験も豊富。
【モデレーター】
PwCコンサルティング合同会社 ディレクター ソーシャル・インパクト・イニシアチブ リード
下條 美智子(写真左)
プロフィール:プロフィール:独立系システムインテグレーターにおけるシステムエンジニアを経て、PwCコンサルティングに入社。会計業務改革チーム所属からスタートし、社会課題解決を主とする「Social Impact Initiative」を立ち上げ、リード。
下條:今日ここにきている参加者のほとんどが、事業部と「社会課題」や「重要性」という非常に抽象的な言葉の持つ意味の方向性をすり合わせることに苦労しているのではと思います。藤井さんの視点から、こういうところは注意したほうがよいといったポイントはありますか?
藤井氏:一言でいうと、割り切りと突き抜けは大事だと思います。あくまでCSV(Creating Shared Value)的な事業に取り組む立場でのコメントになってしまいますが、世界的な揺り戻しもある中で、社会課題解決の取り組みは、いずれにしても中途半端はダメだと考えています。あくまで社会課題解決を組み入れて事業創造を狙うのであれば、割り切って必ず数字を創ることをゴールとして何をすべきかを考える。逆に、社会的価値は大きいがどうしても簡単にマネタイズできない活動というのは当然多くあります。そこは無理やり事業につながるロジックをつけても厳しいので、最低限必要な予算だけは確保したうえで、あえて中途半端に取り組むのではなく、突き抜けるくらいにやる。例えば、何かグローバルのコミュニティに参加するとしても、自らリーダーとしてのプレゼンスを作る動き方を意図的にする。ただ参加しているのでは意味がなく、突き抜けるくらいの取り組み方をしなければ、それは予算削減の対象になりかねないとは思うというのが事業側で見たときの考え方です。
下條:全てがマネタイズにつながるものではない。社会貢献的な活動も必ず必要で、そこはそこで振り切って推進する必要があるというお話と理解しました。辻さんは、中長期で見ると全てがビジネスにつながっているのであるというお話をよくされていると思います。価値創造モデルでいうと、必ずしも還流するのは財務資本だけではなく、社員育成による人的資本や、ネットワークによる関係資本といった、インプットとして戻ってくるものは財務だけではないというお話かと思いますが、辻さんから見たご意見はいかがですか。
辻:過去は、経済的指標で人々の幸せを測れると考えられていましたが、近年になって、そこには相関性がないと言われるようになりました。経済的指標だけで幸せが測れない時代において、会社が社会とどう向き合うべきなのかということを整理しないと、人材の確保も難しくなり、事業も成立しにくくなるのではないかと思っています。例えばBtoCの企業は、株主=消費者=従業員だったりもする中で、自社のファンをどう作るか、という観点で、社会貢献の活動を捉える必要があるのではないでしょうか。
下條:私自身は、社内における経営資源確保の調整、新しいことを始める際の「抵抗勢力」との調整、活動を始めてからの無関心層に障壁を感じながらも、粘り強く、辛抱強く会話する方法で克服してきました。お二人は難しい障壁をどのように乗り越えていますか?
辻:個人的に合理性が一番の障壁だと考えています。企業で働く多くの社員は、私を含めて合理的です。自分が担当していないことは手を出さない。新しいアクションを起こさないほうが平和で波風も立たないと考えてしまいます。だからあえて社会課題解決に取り組むべき理由の理解を期待せず、やってみるというのも一案と考えています。
藤井氏:「合理性」の考え方を組織としての合理性と、個人としての合理性という別のレイヤーで両方推進する方策はあると思います。組織の合理性に見合う活動と、そこには見合わないけれど個人としての合理性を刺激して推進する活動を2つ並列して考える。巻き込みでいうと、全員巻き込むのは難しいので、「2:6:2」の法則でいわれる“2”の人をどう捕まえるか、さらに“6”の人の半分の3にどう広げるか、という点が勝負だと思います。
下條:今日来ていらっしゃる皆さんは、企業で何かしらの社会課題テーマや活動にコミットされている担当者の方々です。いずれの企業でも事業部の巻き込み、社員の巻き込みが難しいという声を聞きます。取り組みを推進するうえで、事業部や営業の方など社内を巻き込むためのポイントはありますか?
辻:私はコミットさせないようにしています。ほとんどの社会人は責任感を持っているので、コミットしようとすると参加へのハードルが上がってしまうように思います。そのため、途中でやめてもいいよ、緩い関わり方でもいいよ、と背中を押すことで、最初の一歩を踏み出しやすい雰囲気を作るようにしています。最近それで嬉しいことがありました。そういう形でしばらく参加してくれていたメンバーの話を聞いた事業部側が、もっとコミットしたほうがよい、と言ってくれて送り出してくれるケースが出てきました。
藤井氏:組織図や予算に縛られる「ハード」な世界ではないところで、個人のパーパスを促進する方法はあると思います。以前よく、「コミュニティは第五の経営資源」という話をさまざまな経営者としていたことがあります。緩い活動でつながるコミュニティを、トップダウンで大事にする。そういうことをしないと、特に若い世代はもうついてこない時代になっていると思います。
辻:コミュニティを作るのはとても大事だと思います。1人、あるいは1社で実施できないことが、さまざまなつながりによって実現可能になることがたくさんあると思います。
下條:今日この会場にも業種や競合他社の境を超えて、さまざまな方が集まっています。そういうのが成り立つのもこの領域ならではと感じます。共感できるコミュニティから力をもらうというのも大いにあると思いますので、是非活発に交流いただけたらと思います。
【当日のプログラム内容】
14:00~14:40 オープニングトーク「企業が社会課題解決のためにできること」
14:40~15:20 事例紹介
15:20~15:30 休憩
15:30~17:30 分科会「エンパワメント・コネクション―CSR担当者 情報共有会―」
17:30~17:50 全体共有
17:50~18:00 クロージング
18:30~20:30 懇親会
【次回予告】
次回は2025年7月ごろ開催を予定しています。詳細が確定次第、こちらのページでご案内予定です。