グローバルに活躍する日本企業の伴走者として、ともに未来を切り開く存在であり続ける
久保田 正崇
PwC Japanグループ 代表
PwC Japan合同会社 代表執行役会長
PwC Japan有限責任監査法人 代表執行役
PwC Japanは会計・監査や税務、法務、経営戦略、リスク管理、テクノロジー、M&Aなど幅広い専門家によるプロフェッショナル・サービス・ファームとして、企業や社会における信頼の構築と複雑な課題の解決に取り組んでいます。2025年度の業務収益は前年度比16.8%増となる3,086億円を計上しました。サービスの品質、グループの事業規模、職員一人一人への還元という3つの観点から高い成長を継続することができたと考えています。
PwC Japanは2024年に新たな経営体制を発足し、経営目標として「Trust and Transformation(信頼と変革)」を定めました。過渡期の今、多くの企業が「変革」に取り組んでいますが、その変革を社会に受け入れられるものとするには「信頼」が不可欠です。私たちは「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というパーパスの下、企業や社会に起きる変革を信頼に基づいたものにするべく、不断の努力を積み重ねていきます。
生成AIに代表される革新的なテクノロジーは私たちの日常へとさらに浸透し続けています。ビジネスのあり方はもちろん、人材の育成方法やキャリアモデルにも根本的な変化が求められます。また、ますます予測が難しくなっている国際情勢に頭を悩ませる経営者も多いでしょう。そのような中、2025年4月にPwCは、自らのブランドを14年ぶりに刷新しました。
私たちが携わっているビジネスには社会的な意義があり、私たちはその役割を果たすことを使命としています。一方で、時代の変化は、私たちが担うべき領域や役割を絶えず見直すことを求めています。新しいロゴの一部である「モメンタムマーク」は、現状に安住せず社会にとって有益な存在であるために変革を続けるという姿勢を表しています。
またブランド刷新に合わせ、「Value in motion」と題した調査レポートをグローバルで発行しました。産業の垣根が崩れ、テクノロジーによる劇的な変化が起こる一方で、「人間として根源的に必要なもの、変わらないもの」も存在しています。「Value in motion」ではその人間の根源的な欲求に合わせて産業の括り方が変わっていく、という分析をしています。
産業の形が従前と大きく変わる中にあっては、自ら課題やそれに向けた解決策を設定し、社会に向けて提言していくことが必要となります。詳細は第2章にて、ともに戦略会議メンバーを務める吉田あかね・PwC Japanグループ副代表と高島淳・税務法務サービスリーダーよりお話しいたします。
一方で、こうした変化の中でも私たちのパーパスは変わることはなく、これからも世界136カ国のグローバルネットワークを生かし、分断が進む世界や経済をつなぎ、社会に貢献し続けるプロフェッショナル・サービス・ファームとして、信頼の構築と課題の解決に取り組み続けていきます。「変えるもの」と「変えないもの」を考え抜くことで、社会に必要とされ続ける新しいPwCとなることを目指します。
今回のブランド刷新に連動し、PwCが社会やクライアントに対して果たす役割を再定義するブランドキャンペーンを、全世界で展開しています。
2025年2月にPwC Japanが公表した「世界CEO意識調査(日本分析版)」では、「今後12カ月間における自社の売上成長見通しについて、どの程度自信を持っているか」という質問に対し、日本のCEOからは「極めて強い自信がある/非常に自信がある」(22%)、「ある程度自信がある」(52%)との回答が得られました。
一方で「現在のビジネスのやり方を変えなかった場合、10年を超えて自社が経済的に存続できない」という回答も47%に上りました。経営に携わる多くの方々が、足元の自社業績に自信を持ちつつ、将来に強い危機感を抱いていることがうかがえます。
PwCは世界が直面する大きな事象を、「気候変動」「テクノロジーによるディスラプション(劇的な変化)」「人口動態の変化」「世界の分断化」「社会の不安定化」という5つの「メガトレンド」として定義しています。そして残念ながら、その負の側面が日増しに大きな課題となって私たちの前に立ち現れています。
これらの複雑化する社会課題と、「Value in motion」において分析された産業変化とを踏まえ、PwC Japanは「産業アーキテクチャ」という考え方を軸にビジネスに取り組んでいきます。サプライチェーンの構造から関連する法規制・ルール、これまで数値化が難しいとされてきた企業の効率性やネットワークの広さといった要素までを精緻に把握し、それら全てに関係する大量のデータを構造化して分析するというアプローチです。これにより、産業における変化が社会全体の変化にまでどうつながるかを予想して、広範なエコシステムを構築していくことができます。
その中でも特に重視しているのはAIとデータです。これからの社会やビジネスの変化を予測する上で、AIの存在を無視することはできません。そして、AIがその有効性を最大に発揮するためには、高度で信頼の置けるデータの存在が欠かせないからです。また、クライアントのビジネス創出や変革を支援するマネージドサービスも注力分野と位置づけています。2025年7月には中核となる新法人、PwCビジネストランスフォーメーション合同会社を設立しました。産業アーキテクチャを軸とした戦略の詳細は、第3章でチーフ・ストラテジー・オフィサーの桂憲司よりお伝えします。
PwC Japanは業績、人員ともに拡大を続けていますが、これは山積する社会課題の解決に誠実に取り組んできた結果だと考えています。今後も単に売上や利益を追求していくという考えはなく、新たな社会課題の登場や既存課題の複雑化が進む現代において、その解決に携わった結果としての成長にこだわっていきたいと思います。
PwC Japanは他にはない専門性を持つ集団として、信頼の構築と変革の実現に総力を挙げて取り組んでいきます。社会の変化を的確に予測し、グローバルに活躍する日本企業にとって本当に必要な助言をする伴走者として、ともに未来を切り開いていく存在であり続けたいと考えています。
Profile
PwC Japanグループ 代表
PwC Japan合同会社 代表執行役会長
PwC Japan有限責任監査法人 代表執行役
公認会計士、公認不正検査士(CFE)。
2020年7月より監査法人の執行役副代表(アシュアランスリーダー/監査変革担当)を務める。2024年7月にPwC Japanグループ代表に就任するとともに、監査法人の代表執行役を兼任。