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困難な課題から機会を見出し、不透明な時代を乗り越える「変革の原動力」に

吉田 あかね
PwC Japanグループ 副代表
PwC Japanグループ チーフ・コマーシャル・オフィサー
兼チーフ・インベストメント・オフィサー
PwC Japan合同会社 代表執行役副会長
PwCアドバイザリー合同会社 代表執行役会長

高島 淳
PwC Japanグループ 税務法務サービスリーダー
PwC Asia Pacific Americas タックス・リーダー
PwC税理士法人 代表

PwC Japanは変革に挑むクライアントの支援を通じて新たな価値の創出に取り組んでいます。
第2章では、複雑化する社会課題や産業構造の変化をPwCがどのように捉え、その解決に向けて果たしていきたい役割をどう考えているのかについて、グループ副代表の吉田あかねと税務法務サービスリーダーの高島淳が意見を交わしました。

メガトレンドが生み出す脅威と機会

吉田:
第1章でもご紹介したように、PwCは「気候変動」「テクノロジーによるディスラプション(劇的な変化)」「人口動態の変化」「世界の分断化」「社会の不安定化」という5つの事象を、世界を変える「メガトレンド」として捉えてきました。現在の世界を見渡すとその影響は着実に顕在化し、複雑に絡み合って社会やビジネスを取り巻く環境を不透明なものにしています。従来の常識が通用しない時代にどう対応するか、頭を悩ませる企業や経営者も少なくないでしょう。これまでの延長の発想でビジネスを展開するだけでは立ち行かず、難しいかじ取りを迫られています。

一方で、変化の激しい環境は多くの機会をもたらします。地政学的な対立が深まる中、世界ではサプライチェーンの再編が進みつつあります。そこでは新たな競争が生まれ、テクノロジーや社会インフラ、サービスといった領域で次の革新が起ころうとしています。重要なのは、複雑で困難な課題の背後にある機会をつかむことです。例えば、アライアンス(提携)などを通じて新たなビジネスモデルを描くことで、10年後の存続や成功を実現していく道筋が見えてくるはずです。

高島:
メガトレンドが複合的に組み合わさって今日のビジネスに影響を及ぼしていることは、私自身も肌で感じています。テクノロジーの進化が加速する一方、それに対応するルールや規制の整備は追いついていません。 関税や貿易を巡って混乱が起きており、保護主義の台頭や地政学的な分断がさらに深まることも懸念しています。

多くの企業が現在、サプライチェーンの再構築を迫られていますが、通商や物流のネットワークを一国で閉じることには限界があります。リスクと機会は表裏一体であり、現在のような困難な環境をどう乗り越えるかが問われています。大きな変化の中で、企業にとっては自社の状況を「見える化」することも難しい環境です。まずは経営層も含めて的確に現状を分析することが大切であり、そこから対策や戦略の方向性を導き出すことが重要です。私たちがクライアントに伴走することで、貢献できることも多いと考えています。

産業の再編が生む新たな領域

吉田:
PwCが2025年4月に発表した調査レポート「Value in motion」は、今後10年の間に社会的な環境の変化に応じて産業の再編が進み、従来の業種やセクターの枠を超えた新たな「領域」が形成されることを指摘しています。企業に求められるのは未来を見据えて自らを変革するビジネスモデルの再構築であり、自社の業種そのものを見直すような大胆な行動が必要な場合もあるでしょう。

変革はリスクを伴うものであり、恐れを抱いたり、躊躇したりすることもあると思います。成功の鍵となるのはリスクを取り、停滞を超えて未来を志向しようとする意識の改革、そしてリーダーシップの覚悟やコミットメントです。社内の合意形成は当然重要ですが、内向きになるのではなく、外部の競争に目を向けて新たな価値を創造することが必要だと考えます。

PwC自身もクライアントに必要とされ続けるための変革に取り組んでおり、2025年4月にはその象徴として14年ぶりにブランドを刷新しました。新しいロゴの一部である「モメンタムマーク」には、クライアントの変革の原動力になるという考えを込めています。スピード感を持って挑戦しようとするクライアントの皆さんと、私たちはともに走り続けたいと考えています。

高島:
これまで私たちは産業ごとに切り分けた「インダストリーフォーカス」の発想でクライアントを支援してきました。しかし、従来の業界の区分自体が崩れていく中で、社会課題や顧客ニーズにフォーカスして新たな価値を創出することが重要になっています。まさにビジネスの再定義です。例えば自動車業界では、エネルギーやテクノロジー、金融の領域のプレーヤーとの連携を通じた「移動の価値」そのものの再定義が始まっています。こうした業界の垣根を越えた連携がますます加速するでしょう。

内向きの考え方を改める上では、企業における組織のアップデートやアップグレードも不可欠です。従来の縦割り型の組織は個々の部門や機能がサイロ化する弊害を招くこともあります。フロントオフィスとバックオフィスが協調しないと見えてこない課題、乗り越えられない課題も存在します。私たちのクライアントに対する支援のあり方も、こうした視点を踏まえて進化しなければならないと感じています。


「Value in motion」はデータに基づくシナリオ分析により作成されたレポートです。以下の動画では、今後10年間のビジネスを新たな視点から再構築するために重要な、3つのポイントについて解説しています。

Value in motion 動画ページ


高まる「信頼」の価値

高島:
高い専門性は絶対に譲れない私たちの強みです。会計・監査、コンサルティング、ディールアドバイザリー、税務、法務といったサービスの総合力、そしてグローバルネットワークを有していることも大きな特徴です。加えて、忘れてはならないのが中立性と客観性です。

PwCはパーパスで「Trust(信頼)」を掲げていますが、不確実な環境だからこそ、よりその価値が増していると考えています。誠実で、客観性を持った助言ができないと、社会からも認められません。長い期間をかけて世界で築いてきた信頼を基盤とし、今の時代に求められる新しい価値の創造につなげていきたいと思っています。

吉田:
PwCは勤続年数や職階にかかわらず、誰もが自由に声を上げることのできるSpeak upのカルチャーを大切にしてきましたが、個人としてもファームとしても「誠実である」ことは大切です。プロフェッショナル・サービス・ファームとして社会から求められる役割や期待が増していると同時に、自らを厳しく律する姿勢を持ち、背筋を正していかなくてはいけないと強く感じています。

ブランド刷新で掲げたとおり、私たちはクライアントの変革の原動力になることを目指しています。そのためには、私たち自身が変わらなければなりません。一人一人が切磋琢磨しながら成長できるよう、私たちはテクノロジーの活用や専門性の育成、グローバルネットワークを通した学びや成長の機会の提供を約束しています。それは、PwCの人材が変革の原動力になるという社会に対するコミットメントでもあります。時代の変化に合わせて絶えず進化を続けるファームであり続けたいと思っています。

Profile

吉田 あかね

PwC Japanグループ 副代表
PwC Japanグループ チーフ・コマーシャル・オフィサー
兼チーフ・インベストメント・オフィサー
PwC Japan合同会社 代表執行役副会長
PwCアドバイザリー合同会社 代表執行役会長

公認会計士。2019年7月よりPwCアドバイザリー合同会社代表執行役を務め、2024年7月より現職。PwC Japanグループのチーフ・コマーシャル・オフィサーとしてブランド・マーケティング戦略を牽引する。

Profile

高島 淳

PwC Japanグループ 税務法務サービスリーダー
PwC Asia Pacific Americas タックス・リーダー
PwC税理士法人 代表

公認会計士、税理士。2020年7月より、PwC税理士法人代表、PwC Japanグループ税務法務サービスリーダーを務める。 2024年7月よりPwC Asia Pacific Americas タックス・リーダーを兼任。PwC関税貿易アドバイザリー合同会社の代表執行役も務める。

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