アセットマネジメントソリューション―設備管理のDXで持続可能な社会の実現へ―

インフラやプラントなどは、これまでの新設・増設中心の時代から転換し、既存設備を安全・効率的に維持することが社会の重要課題になっています。PwCコンサルティングは、デジタル変革(DX)を通じた設備管理(アセットマネジメント)ソリューションを提供し、企業の競争力強化と持続可能な社会の実現を支援します。

日本の設備管理を取り巻く環境

日本の設備管理は、ヒト・モノ・制度・技術の各側面で急速な変化が進んでいます。そして急激な人口減に伴う労働人口の減少と設備需要の低下から、十分な修繕を行えないことによる重大事故の発生が社会問題の1つとなっています。このため、従前の保全担当者による匠の技術の在り方をデジタルの技術で抜本的に変えることが急務の状況です。

ヒト

  • 人材不足:日本の労働力人口(15歳~64歳)はピーク時から大きく減少しており、今後も減少が続く見通しです。単なる労働人口の減少にとどまらず、熟練職員のリタイアによって技能や知識が喪失するリスクが顕在化しています。(図表1)
  • 需要の減少と偏在化:日本全体の人口が減ることで設備需要が減少し、また都市集中による地域格差の拡大とともに地方の衰退が懸念されます。

図表1:労働力人口の推移予測

モノ

  • 設備の老朽化:高度成長期に大量導入されたインフラ設備の老朽化が進行し、一斉更新や突発故障リスクの高まりに直面しています。(図表2)

制度

  • 競争環境の多様化:自由化の進展による競争の激化や、異業種参入も増加し競争環境は多様化しています。
  • 地政学リスク:国際情勢の変化による資源・エネルギー価格の高騰や予測困難な需給変動に直面するリスクが高まっています。

技術

  • 技術革新:IoT(Internet of Things)、AI、ドローン技術の進展により、設備状態監視・故障検知・予知保全に関する技術導入が現実味を帯びてきており、保全業務の効率化・高度化が期待できます。

図表2:設備の新設・更新件数

課題と解決の方向性

経営から現場に至る両面で、複雑化する課題への対応が求められます。

経営レベルの課題

不確実性の高まる事業環境下で「投資判断の複雑化」に対応する際には、投資ポートフォリオの可視化や、勘や経験に頼らない「データに基づく意思決定(データドリブン経営)」の重要性が高まります。

現場レベルの課題

熟練層の勇退による「匠」技術の喪失が迫る中、センサーなどによる状態監視・画像解析や、AIなどを用いた故障検知・予知保全といった、「デジタル」の力による省力かつ高度で再現性のある仕組みが必要です。

図表3:設備管理の目指す姿

アセットマネジメントソリューション

従来のアセットマネジメントソリューションは、企業レベルで設備と作業の情報を一元管理し、設備の価値をライフサイクルで最適化するEAM(エンタープライズ・アセット・マネジメント)を指すことが一般的でした。

しかし、近年ではIoT、AI、アナリティクスなどを活用した状態監視や予知保全に加え、リスクベースメンテナンス(RBM)を実現するAPM(設備パフォーマンスマネジメント)や、長期の投資最適化を実現するAIPM(設備投資計画マネジメント)を併せて指すことが多くなっています。

こうした新しいアセットマネジメントソリューションの導入により、メンテナンスの自動化や、熟練スタッフと同等の保全業務を実現することが可能となります。さらに、ドローンやロボットを活用することでメンテナンスの遠隔化および自動化や、GIS(地理情報システム)・デジタルツインによるメンテナンス計画の精度向上、コスト低減の検討も進んでいます。

図表4:アセットマネジメントソリューションの全体像

アセットマネジメントソリューション導入による効果

1. 設備情報の一元管理

散乱している情報を整備し、EAMで一元管理することで、最新データや過去の実績を必要な時にいつでも誰でも把握できるようになり、一定の業務品質が確保された状態へとつながります。また、情報格差や引き継ぎ時の煩雑さを軽減し、業務継承の問題解消にも役立ちます。

図表5:設備情報の一元管理

2. 保全業務のPDCAサイクル確立・短期化

従来分断されていた情報をEAMで集約することで、蓄積された工事情報や不具合情報を基にした分析・評価の他、PDCAサイクルを確立して継続的な保全業務の改善が可能になります。またPDCAの「Plan」に該当する保全計画策定においては、従来の表計算ソフトなどによる作業からAIPMによる高度なシミュレーションにシフトすることで、工数の短縮や最適化を可能にします。

3. 工事品質の向上

保全業務全体のPDCAとは別に、個々の業務領域においてもPDCAサイクルを確立していきます。工事計画・管理領域においては、工事の実績を基にした評価・改善活動が可能となり、工事品質の向上、工期の短縮、計画保全比率の向上を実現します。

4. 在庫コストおよび数量の適正化

在庫管理の対象・基準が明確でない状態は業務負荷や在庫コスト増大を招きますが、予備品・貯蔵品の管理基準を策定の上で在庫情報を管理することで、在庫管理業務の負荷軽減や在庫コストの低減につながります。

5. 状態監視・予知保全の実現

これまでは故障・不具合の発生検知からの非計画保全が中心であり、また作業者によって故障・不具合の予兆検知能力にもばらつきが見られました。APMソリューションに備わっているAI・機械学習を用いることで、状態監視による故障・不具合の検知や予兆の早期検知、さらには予知保全の実現を通して、計画外停止の削減による保全コストや機会損失の低減を可能にします。

図表6:状態監視・予知保全の実現

6. 設備ライフサイクルコストの低減

これまで定量的な判断が難しかった「設備保全・投資の最適なタイミングと手段」についても、設備故障時のリスクを加味した上でCAPEX(資本的支出)とOPEX(運用・保守費用)の合計値に基づき意思決定することで、設備ライフサイクルコストを「見える化」し、低減していくことが可能になります。

こうした設備管理DXによる効果の下で設備管理を取り巻く厳しい状況に対処することは、企業の競争力維持・向上、ひいては持続可能な社会の実現に寄与します。

PwCのサービス

PwCコンサルティングは、設備管理におけるクライアントの状況やニーズに応じて、これまでの知見やテンプレート・事例を活用し、柔軟な支援を提供しています。

図表7:支援内容

ケース クライアントの取り組み状況 支援内容 活用するテンプレート・事例
1 アセットマネジメント・DXの必要性は理解しているが、具体的な取り組みはこれから
  • 成熟度簡易診断(課題抽出・対策整理)
  • プレ構想策定
  • 成熟度診断モデル
  • 成功事例・失敗事例集
  • 導入効果事例
2 アセットマネジメントの導入を検討しているが、計画策定に頭を悩ませている
  • 構想・ロードマップ策定支援
  • 標準プロセス・フロー
  • 他社事例
3 保全作業の見直しを検討したい
  • PoC(概念実証)支援
  • DXの実現に向けたアプローチの策定、検証、評価
    (例:予知保全、スマートグラス・ドローンなどを活用したメンテナンス高度化など)
  • APM PoC事例
  • 電力広域的運営推進機関(OCCTO)によるガイドラインなど、関連する省庁・団体が発行する文書
4 システム導入中だが、うまく進んでいない
  • 業務/システム設計支援(PMO支援)
  • 標準プロセスモデル(BFC/SFC)
  • 論点一覧、追加開発事例集
  • チェンジマネジメント事例集

略語
PMO:Project Management Office、BFC:Business Function Chart、SFC:System Function Chart

従来のシステム導入手法では「EAM→APM→AIPM」という段階的なステップが一般的でした。一方、近年はリスクを軽減しつつ、効果が見込めるところからアジャイルに進める、継続的な改善を前提としたアプローチも増えてきています。

私たちは、業務改革やシステム導入はもとより、チェンジマネジメント、DX人材育成などを組み合わせ、ビジネスや技術環境の変化に柔軟に対応し成果創出に向けて伴走支援します。

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主要メンバー

藤田 大輔

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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中倉 有希

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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