有事・平常時における組織心理リスクマネジメント支援(不祥事の再発防止・予兆管理)

組織のリスク管理強化に向けて内部統制を整備しても、不祥事や不正は組織の行動様式に潜む兆候から発生します。

PwC Japan監査法人は、有事対応の過程で顕在化した事象について、制度・業務プロセスだけでなく、組織心理やカルチャーの側面を含めて真因を分析し、実効性のある再発防止策の策定を支援します。あわせて、平常時への移行後も、組織心理の変化を継続的に測定・モニタリングすることで、再発防止策の定着状況を可視化し、リスク予兆の早期把握につなげます。

内部統制だけでは防げない不祥事・不正

組織の文化は、制度・規程や内部統制といった「仕組み」と、従業員一人ひとりの行動様式の双方によって形成されます。そのため、制度・規程や内部統制を整備しているにもかかわらず、不祥事・不正やコンプライアンス違反が繰り返し発生するケースは多く見られます。

多くの企業では、ルールや体制が整備されている一方で、以下のような課題が存在します。

  • 従業員のエンゲージメント低下や離職の増加
  • 本社の理念・方針の未浸透
  • 現場から経営層へのリスク情報の未共有

こうした背景には、「仕組み」だけでは捉えきれない、従業員の行動様式に起因する課題があります。例えば、従業員の認識や心理状態に基づく行動様式が、風通しの悪さや組織的沈黙を生み出し、リスクの顕在化につながります。不祥事や事故の再発防止には、事象の背景にある原因がどの層で生じているかを特定し、当該層に応じた対策を講じることが不可欠です。制度や規程の整備のみならず、暗黙の規範や個人の心理状態にまで踏み込んだ分析を行うことが、実効性の高い根本改善の鍵になります(図表1)。

図表1:企業における個人行動に対する規範層と不祥事・事故の発生原因

企業における個人行動に対する規範層と 不祥事・事故の発生原因

行動様式に起因する不正・不祥事

近年の企業で発生する不祥事においても、以下のように行動様式に起因するケースが見られます。

  • 業績目標の過度な重視による不正行為
  • 安全より利益が優先された結果の重大事故
  • 放置されたハラスメントの外部告発

これらは個別の事象として発生しているように見えますが、「業績を過度に優先する」、「問題提起を控える」、「上位者の指示に従うことを過度に重視する」といった行動様式に起因している点で共通しています。

見えないリスクが経営に与える影響

不祥事やコンプライアンス違反が発生した場合、売上低下、事業機会の損失、行政処分、株価下落、ブランド価値の毀損(レピュテーションリスク)など、企業価値に直接的な影響が生じます。さらに、内部通報や外部告発の増加、エンゲージメント低下や離職の増加といった形で組織全体に波及し、人的資本や組織パフォーマンスの低下につながります。

見えないリスクに対する要因分析から対応までのアプローチ

前述の通り、組織における不祥事・不正や不具合は、制度・規程といった仕組みだけでなく、従業員の行動様式に起因して発生する場合があります。そのため、実際に発生した不祥事・不正や社員意識調査などの結果をもとに要因分析を行い、課題が制度・規程といった仕組みに起因するのか、あるいは従業員の行動様式に起因するのかを切り分けて把握することが重要です。

特に、従業員の行動様式に起因する課題については、あるべき行動様式の再定義を行い、現状とのギャップを分析するとともに、優先順位を明確化する必要があります。そのうえで、組織心理の観点に基づいた施策により行動変容を促進し、リスクの低減につなげていくことが重要です(図表2)。

図表2:要因分析から対応までのプロセス

要因分析から対応までの プロセス

「リスクの予兆」とは

本サービスにおけるリスク予兆とは不適切な管理や内部不正などの発生につながる可能性のある兆候を指します。これらの予兆を分析・可視化することで、不祥事や競争力の毀損といった重大なリスクの発生を未然に防ぐことが可能となります。

リスク予兆を捉えるためのアプローチ

見えないリスクを捉えるためのアプローチとして、一般的には、従業員への社員意識調査の実施が挙げられます。しかし、従来のアプローチには以下の課題があります。

  • 回答結果が主観に依存しており、客観的評価が困難
  • ストレスチェックやエンゲージメント調査など、目的の異なる調査が個別に実施されており、結果を横断的に比較・統合できない
  • 組織の文化醸成や行動様式の変化を捉える設問になっておらず、リスクとの関係性が明確にならない

各調査結果が点在したままとなり、組織に潜む見えないリスクを構造的に把握できないケースが多く見られます。このような課題を踏まえ、リスク予兆を捉えるためには、社員意識調査などの定性的な情報を単独で活用するのではなく、労務・業務データなどの定量データと統合し、行動様式の変化と実際の事象との関係性を分析することが重要となります。

PwCによる組織心理を活用した再発防止と予兆管理の支援内容

PwC Japan監査法人は有事対応における組織心理やカルチャーの側面を含めた真因分析および再発防止策の策定支援に加えて、平常時への移行後も、組織心理の変化を継続的に測定・モニタリングするリスク予兆管理を支援します。

①有事対応:組織心理を活用した真因分析・再発防止策の策定

発生した事案について、どのような組織や個人の心理的要因が有事につながったのかを分析し、不適切な行動が合理化されるに至った条件を明らかにします。その際には、心理的要因をフェーズ(時系列)ごとに整理することで網羅的な分析を可能とします(図表3)。

図表3:要因分析のイメージ

要因分析の イメージ

「合理化されるに至った条件」とは、明示的なルールだけでなく、「暗黙の行動規範」を含めたものです。洗い出した組織心理要因を起点に、組織文化醸成に関するPwC Japan監査法人独自の視点で合理化されるに至った条件(組織文化上の課題)を見極め、どこに弱点があったのかを分析したうえで、組織的な根本改善につなげます(図表4)。

図表4:PwCの独自の視点を活用した課題分析イメージ

PwCの独自の視点を活用した 課題分析イメージ

②平常時のモニタリング:リスク予兆管理

まず企業の理念・方針(会社の想い)と不祥事・事故の要因を踏まえて組織心理指標を作成します。次に設定した指標の構成要素を社員意識調査などに紐づけたうえで、労務データなどの客観的なデータを組み合わせることで、リスク予兆を分析・把握します(図表5)。

図表5:組織心理指標策定とリスク予兆分析のイメージ

組織心理指標策定と リスク予兆分析のイメージ

定性データと定量データを結合し、相関分析を行うことで、行動様式と実際の事象との関係性を分析します(図表6)。これにより、不祥事・不正の発生リスクやエンゲージメント低下といったリスク予兆を把握し、リスクが潜んでいる可能性のある状況や部門を特定します。特定された課題に対して、組織心理要因を起点に、行動変容に向けた施策を策定します。

図表6:PwCによる定性データと定量データの相関分析

PwCによる定性データと 定量データの相関分析

策定した施策の実効性を確保するため、次年度以降も社員意識調査などの調査類を活用し、継続的なモニタリングを実施します。

これにより、組織の行動様式や文化醸成の変化を定点観測するとともに、施策の効果検証および必要に応じた見直しを行い、リスク予兆の早期把握と継続的な改善につなげます。

PwCの強み

①組織心理を活用したリスクカルチャーの知見

PwC Japan監査法人は、組織心理のモデルを活用して従業員の行動様式を科学的に分析し、従業員の行動様式とリスクの関係性を独自の知見に基づいて明らかにします。これにより、従来の内部統制や社員意識調査では把握できなかった課題を構造的に捉え、リスクの真因にアプローチすることが可能です。

②ガバナンス・内部統制の専門性

PwC Japan監査法人は、ガバナンス・内部統制に関する豊富な知見を有しており、独自のフレームをもとに、従業員の行動を変容させる手立てを支援します。これは属人的、抽象的な対応ではなく、具体的な仕組みの構築を通じて施策の実装を支援するものです。

主要メンバー

笠井 涼

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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真木 靖人

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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雨宮 弦太

ディレクター, PwC Japan有限責任監査法人

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榎本 雄佑

シニアアソシエイト, PwC Japan有限責任監査法人

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